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マイカ・パーソンズ獲得は32年前のレジー・ホワイト獲得のようにパッカーズをスーパーボウルに導くか?

Bill Bender

石山修二 Shuji Ishiyama

マイカ・パーソンズ獲得は32年前のレジー・ホワイト獲得のようにパッカーズをスーパーボウルに導くか? image

(Kirby Lee)

マイカ・パーソンズはパッカーズにとってレジー・ホワイトの再来となるのか?

グリーンベイ・パッカーズがダラス・カウボーイズのエッジラッシャー、マイカ・パーソンズを獲得し、チーム史上でも屈指の大胆な補強を完了した時、誰もがそう考えたはずだ。

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現地28日(木)、パッカーズはベテランのディフェンシブタックル、ケニー・クラークと2つのドラフト1巡目指名権をカウボーイズに渡し、パーソンズを獲得した。その後グリーンベイはパーソンズと4年1億8800万ドル(1ドル147円換算で約264億6000万円、以下同)の高額契約を結んだ。カウボーイズのオーナー、ジェリー・ジョーンズ氏とパーソンズの契約交渉の膠着状態は終わりを告げ、2025年シーズン開幕に向けて新たな展開が生まれた。

これはグリーンベイにとって1993年4月6日以来の衝撃だ。ディフェンシブエンドのレジー・ホワイトがフリーエージェントでパッカーズと契約した日だ。この移籍が1990年代のパッカーズの運命を変え、最終的に第31回スーパーボウル優勝へとチームを導いた。

パーソンズはチームに同じ効果をもたらすだろうか?

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グリーンベイがパーソンズを獲得した理由

パッカーズのゼネラルマネージャー、ブライアン・グーテクンスト氏は2018年からグリーンベイで指揮を執っている。彼は当時のヘッドコーチ、マイク・マッカーシー(前カウボーイズ・ヘッドコーチ)を解任し、現ヘッドコーチのマット・ラフルアーを招聘した。2年連続で13勝のシーズンを送っている間にジョーダン・ラブをドラフトで指名し、アーロン・ロジャースをニューヨーク・ジェッツへトレードで放出したのも彼だ。

これらの決断はいずれもチームに悪影響を与えていない。ただチームを頂点まで押し上げるにも至っていない。

パッカーズは過去2シーズン連続でプレイオフに出場している。だが昨シーズン、パッカーズはNFC北地区でデトロイト・ライオンズとミネソタ・バイキングスに後れを取った。シカゴ・ベアーズもケイレブ・ウィリアムズを擁し上昇気流に乗ってきている。

そんな中、パッカーズはラブと4年総額2億2000万ドル(約323億4000万円)の契約延長を結んだほか、スーパーボウルに向けて大掛かりな補強をしてこなかったと批判されてきた。

だがその批判が通用するのも今日までだ。クリーブランドのマイルズ・ギャレットは2030年まで1億6000万ドル(約235億2000万円)の契約を結んでいる。ピッツバーグのT.J.ワットは2028年までの3年契約で1億2300万ドル(約180億8100万円)を手にしている。これに対し、パーソンズはパッカーズと年間約4700万ドル(約69億900万円)の契約を結んだ。グーテクンスト氏はこれまでで最大の賭けに出たと言える。

ホワイトがパッカーズにもたらしたインパクト

ホワイトとパーソンズのパッカーズ加入は同じ状況ではない。

ホワイトが史上初の大型FA契約を結んだのは1993年のことだ。その時点でホワイトはUSFLのメンフィス・ショーボーツで2シーズン、NFLフィラデルフィア・イーグルスで8シーズンをプレーし、通算124サックを記録していた。4年総額1700万ドル(約24億9900万円)の契約を結んだ時、彼は32歳だった。この契約は当時としては巨額であり、現在のような有力チームではなかったパッカーズにとって大きなリスクだった。

だが、この賭けは成功した。ホワイトはパッカーズで6シーズンをプレーし、68.5サックを記録した。ホワイトは殿堂入りQBブレット・ファーブと共にチームを真のスーパーボウルに挑むチームへと変貌させた。そして1996年、グリーンベイは攻撃・守備両方の得点ランキングで1位となり、13勝3敗の成績でレギュラーシーズンを終えると、第31回スーパーボウルでニューイングランド・ペイトリオッツを35-21で下した。その試合、ホワイトは3サックを記録し、スーパーボウル記録を樹立した。

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パーソンズ獲得はパッカーズに何をもたらすか

マイカ・パーソンズは自身がNFL最高の守備選手であることを証明するチャンスを手にしている。

AP通信のスポーツ記者ジョシュ・デュボウ氏によれば、NFLでの最初の4シーズン全てで12サック以上を記録した選手はNFL史上ホワイトとパーソンズの2人だけだ

パーソンズはエリート級のパスラッシャーであり、ダラスは2022年と2023年にディフェンスの得点でリーグ5位以内に入っていた。しかしパーソンズは足首の捻挫で4試合を欠場した昨季は31位に急落した。それでもパーソンズは最終9試合で11サックを挙げ、トータルで計12サックを記録した。

パーソンズはまだAP通信選出のNFL最優秀守備選手賞を一度も受賞したことがない。ホワイトは1987年にフィラデルフィアで、1998年にはグリーンベイで2度受賞している。

パーソンズにとっては今回のトレードはその実力を証明する絶好の機会だ。もし彼がNFC北地区で圧倒的なパスラッシャーとなれば、最優秀守備選手賞の候補者にも名があがるだろう。

パッカーズにとって、パーソンズは守備陣に欠けていたピースを埋める存在となる。グリーンベイでは2020年にザダリアス・スミスがチーム・トップの12.5サックを記録して以来、二桁のサック数を記録する選手は出ていない。その年のパッカーズはNFCチャンピオンシップでトム・ブレイディ率いるタンパベイ・バッカニアーズに31-26で敗れた。

ラシャン・ゲイリーは昨季は7.5サック、2023年は9サックをマークし、過去2シーズン連続でチーム最多サックを記録している。ゲイリーの昨季のハリーは32回だったが、パーソンズは4試合欠場しながらも44回を記録している。

パーソンズが加わることで、ゲイリーは今シーズン、守備コーディネーターのジェフ・ハフリーのスキームの中で、ハイエンドのセカンド・パスラッシャーを務めることになる。2年目のラインバッカー、ルーカス・ヴァン・ネスも恩恵を受けるだろう。今シーズンすでに良いと目されていたディフェンスの評価はさらに高まるだろう。クラークを失ったのは痛手だが、パーソンズを獲得できるとしたら決断しないチームはないだろう。

仮に失敗したとしても、ディビジョン内で停滞するよりは挑戦する価値があるトレードと言える。

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パーソンズはパッカーズをスーパーボウルに導くことができるか?

ホワイトはパッカーズを2度のスーパーボウルに導いた。

ホワイト以外にも、フリーエージェントとしてパッカーズに加入し、チームを成功に導いた選手がいる。2006年に加入したコーナーバックのチャールズ・ウッドソンだ。彼はそれまで8シーズンをレイダースでプレイしていた。

ウッドソンはパッカーズ在籍8シーズンで38回のインターセプトを記録した。2009年にはAP通信選出のNFL最優秀守備選手賞を受賞し、グリーンベイを第45回スーパーボウルへ導いた。この試合でパッカーズでスティーラーズを31-25で破っている。パッカーズにとってはこの勝利が最後のスーパーボウル出場となっている。

今回のパーソンズ獲得は、このホワイトとウッドソンのインパクトを組み合わせたものをパッカーズにもたらすと考えられる。加えて、パーソンズは今まさに全盛期にあるというプラス要素もある。確かに契約額は高額だが、ここ最近のパッカーズのドラフト1巡目の実績を考えればそれだけの価値はある。今のパッカーズはロジャースがプレーしていた頃のようにNFC北地区をリードするチームではないからだ。

ロジャースと言えば、グリーンベイは第8週のサンデーナイト・フットボールでスティーラーズと対戦する。その4週前には同じくサンデーナイト・フットボールでカウボーイズと対戦する。この2試合は今季のNFLで最も高い視聴率を獲得する試合となる可能性が高い。もしジョーンズ氏がパーソンズをトレードすることで今シーズンのドラマ性を高めようとしたのなら、見事に成功したと言えるだろう。

現在のパッカーズはスーパーボウル制覇へ向けて全力を注いでいるという見方が広がっている。彼らが本気を出した時は、結果につながることが多い。

原文:Will Micah Parsons trade have same Super Bowl effect as Reggie White signing in Green Bay?
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)

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Senior Writer

Bill Bender

Bill Bender is the 2025 president of the Football Writers Association of America. He graduated from Ohio University in 2002 and started at The Sporting News as a fantasy football writer in 2007. He has covered the College Football Playoff, NBA Finals and World Series for SN. Bender enjoys story-telling, awesomely-bad 80s movies and coaching youth sports.

石山修二 Shuji Ishiyama

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。生まれも育ちも東京。幼い頃、王貞治に魅せられたのがスポーツに興味を持ったきっかけ。大学在学時に交換留学でアメリカ生活を経験し、すっかりフットボールファンに。大学卒業後、アメリカンフットボール専門誌で企画立案・取材・執筆・撮影・編集・広告営業まで多方面に携わり、最終的には副編集長を務めた。98年長野五輪でボランティア参加。以降は、PR会社勤務・フリーランスとして外資系企業を中心に企業や団体のPR活動をサポートする一方で、現職を含めたライティングも継続中。学生時代の運動経験は弓道。現在は趣味のランニングで1シーズンに数度フルマラソンに出場し、サブ4達成。