18年間にわたって一つのチームを指揮すれば、少しは休息を取りたいと考えるコーチもいるだろう。だがボルティモア・レイブンズを解雇されたジョン・ハーボーは、2026年シーズンに再び指揮を取る用意があることを即座に示した。
このオフのNFLのコーチ交代は静かなものになると予想されていたが、ハーボーの登場で状況は一変し、コーチのポジションに空きを抱えるチームのほとんどが彼に関心を示した。
それらの選択肢を検討した結果、ハーボーは現地14日(水)夜にニューヨークを新たな拠点と決めた。両者はハーボーがブライアン・ダボールの後任としてジャイアンツの次期ヘッドコーチに就任する契約を最終調整中だ。
ハーボーは水曜日にジャイアンツの幹部と長時間面談し、施設を見学すると、フランチャイズQBジャクソン・ダートにも会ったと報じられている。近日中にタイタンズとファルコンズとの面談も予定されていたが、その前にジャイアンツを選択する形となった。
契約条件は木曜朝現在も最終調整中だが、ESPNのアダム・シェフター氏 によれば、「問題がなければ」成立する見込みだ。
『NFLネットワーク』のマイク・ガラフォロ氏 によれば、過去3シーズンにわたりボルチモアでハーボーの攻撃コーディネーターを務めたトッド・モンケンがニューヨークでも引き続き同じポジションに就く「有力候補」だという。
ここでは、ハーボーがジャイアンツの次期ヘッドコーチに就任する背景についてまとめる。
ジョン・ハーボーがジャイアンツを選択した理由
近年の成績はそう思わせるものでないかもしれない。だが、ジャイアンツがこのオフ最も魅力的なヘッドコーチ職の一つだった理由が一つある。QBジャクソン・ダートの存在だ。
ニューヨーク(正確にはその近郊)で熱狂的なファンを前に指揮を執ることがハーボーにとって魅力だったのは確かだろう。だがそれ以上に、長期的な解決策となるQBを既に擁しているチームを率いる機会はベテラン・ヘッドコーチにとって見逃せないものだ。
マリク・ネイバーズが怪我から復帰し、守備陣の要も揃い、さらに今年のドラフトで上位指名権を獲得していることで、混乱した2025年シーズン直後とはいえ、ジャイアンツの今後は明るいものに見える。
『The Atheletic』のディアナ・ルッシーニ氏 はハーボーがボルティモアで解任された数日後、既にダートとテネシー・タイタンズのQBキャム・ワードの映像を分析していることを報じた。両QBはルーキー・シーズンに苦しみながらも光るプレーを見せた。シーズン終盤に勢いを増したのはワードだったが、ハーボーは最終的にダートに賭け、現在のオーナー体制下で優勝経験のあるチームで指揮を執ることを選んだ。
ラッシーニ氏によれば、ハーボーは「ダートの映像分析から多くの期待を抱く要素を得たと少なくとも1人に語っていた」と言う。
ウォードの存在に加え、2027年に完成予定の新スタジアム、そして今後数年間で利用可能な大幅なサラリーキャップの余裕もあり、タイタンズのヘッドコーチ職はかなり魅力的なポジションだ。しかしナッシュビルのオーナーシップには安定感がない。タイタンズは過去4シーズン連続でヘッドコーチもしくはゼネラルマネージャーを解任している。2022年にはGMジョン・ロビンソン、2023年にはヘッドコーチのマイク・ブラベル、2024年にはGMラン・カーソン、そして2025年にはヘッドコーチのブライアン・キャラハンがそれぞれ解任され、2026年シーズンを前にフロント組織を再編した。
この手の交代劇は次期ヘッドコーチにとって良い兆候とは言えない。一方、ジャイアンツのオーナー陣はGMジョー・ショーンを信頼しており、組織の立て直しに予想以上の時間がかかっても実績あるヘッドコーチを即座に解任するようなことはないだろう。
ハーボーはトム・コフリン以来となる5年間指揮を取り続けるヘッドコーチとなる前に、まずは2026年シーズンをより競争力のあるものとするところから立て直しを図っていくことになる。
ジョン・ハーボーの契約
複数の報道によれば、ハーボーはジャイアンツの次期ヘッドコーチとなる5年契約を最終調整中だ。ジョーダン・シュルツ氏 によれば契約額は1億ドル規模(1ドル158円換算で約158億円、以下同)と見込まれており、これはNFLのコーチとして史上最高額レベルの契約となる。
NFLのコーチの年俸は正確に把握するのが難しいが、『フォックス・スポーツ』によれば、ハーボーの要求額は2000万ドル(約31億6000万円)前後とみられていた。同メディアは「ジャイアンツは交渉初期段階でハーボーの要求額に応じる意思があることを伝えた」と報じている。また、ニューヨークは彼が望むスタッフを編成するための資金を用意する見込みだ。
ジョン・ハーボーのNFLヘッドコーチとしての成績
| シーズン | 勝利 | 敗戦 | 勝率 |
| 2008 | 11 | 5 | .688 |
| 2009 | 9 | 7 | .563 |
| 2010 | 12 | 4 | .750 |
| 2011 | 12 | 4 | .750 |
| 2012 | 10 | 6 | .625 |
| 2013 | 8 | 8 | .500 |
| 2014 | 10 | 6 | .625 |
| 2015 | 5 | 11 | .313 |
| 2016 | 8 | 8 | .500 |
| 2017 | 9 | 7 | .563 |
| 2018 | 10 | 6 | .625 |
| 2019 | 14 | 2 | .875 |
| 2020 | 11 | 5 | .688 |
| 2021 | 8 | 9 | .471 |
| 2022 | 10 | 7 | .588 |
| 2023 | 13 | 4 | .765 |
| 2024 | 12 | 5 | .706 |
| 2025 | 8 | 9 | .471 |
| キャリア通算 | 180 | 113 | .614 |
ハーボーの通算180勝はNFL史上14位であり、現職コーチの中では3位となる。レイブンズ時代は2025年の8勝9敗を含め、負け越したシーズンはわずか3回しかなかった。
ハーボーのプレイオフ通算成績は第47回スーパーボウルの勝利を含め、13勝11敗となっている。
ジョン・ハーボーのコーチ歴
- 1984〜86年: ウェスタン・ミシガン大(RBコーチ、OLBコーチ)
- 1987年: ピッツバーグ大(TEコーチ)
- 1988年: モアヘッド州立大(スペシャルチームコーチ)
- 1989〜96年: シンシナティ大(スペシャルチームコーディネーター)
- 199年: インディアナ大(DBコーチ、スペシャルチームコーディネーター)
- 1998〜2006年: フィラデルフィア・イーグルス(スペシャルチームコーディネーター)
- 2007年: フィラデルフィア・イーグルス(DBコーチ)
- 2008〜2025年: ボルティモア・レイブンズ(ヘッドコーチ)
チームを転々とするコーチが多い中、ハーボーはNFLキャリアを通じて2つのチームでコーチをしてきた。
ハーボーはカレッジでのキャリアを経て、1998年にスペシャルチームコーディネーターとしてフィラデルフィア・イーグルスに加入すると9年間その職を務め、2007年にディフェンシブバック・コーチに転じた。
2007年シーズン終了時にブライアン・ビリック・ヘッドコーチが解任された後、レイブンズは攻撃コーディネーターや守備コーディネーターの経験がなかったハーボーに賭けた。結局、その賭けは成功し、ハーボーはボルティモアで18年間指揮をとり続け、スーパーボウルを制した。
ジョン・ハーボーの年齢は?
ハーボーは現在63歳だ。当然ながら弟のジムより年上で、このオフのヘッドコーチ人事が一段落したら、NFL現役最年長ヘッドコーチの一人となるだろう。
ヘッドコーチ探しにおいて若手を好む傾向がNFLには見られるが、ハーボーは依然として活力に満ちており、レイブンズから解雇された時にもリーグ全体から強い関心を集めた。
原文:Giants to hire John Harbaugh: Why fired Ravens coach chose NY over Falcons, Titans, others
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版)
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