ジョー・フラッコは2012年シーズンにボルチモア・レイブンズでスーパーボウルを制し、昨年はクリーブランド・ブラウンズのプレーオフ進出に貢献した。
そんなフラッコに、ジョー・バロウが復帰するまでの間、シンシナティ・ベンガルズの2025年シーズンを任せてみても良いかもしれない。そんなアイディアが誰かから出たのか、ベンガルズは現地7日(火)、フラッコをブラウンズからトレードで獲得するという同地区内チーム同士での異例の移籍がまとまった。
このトレードによってベンガルズで当面の間、ジョー(バロウ)の代わりをジョー(フラッコ)が務めることとなる。
NFLのトレードデッドライン1ヶ月前に実現したこのトレードにはドラフト下位指名権も含まれている。ベンガルズは不振のジェイク・ブラウニングに代わる先発QBを獲得できた一方、ブラウンズは新人QBが2人だけのロスターでシーズンを戦っていくこととなった。
ここでは、フラッコの移籍が両チーム、選手たちに与える影響を検証していく。
ジョー・フラッコのトレードをめぐる勝者と敗者
勝者:ベンガルズ
ベンガルズはこれ以上、ブラウニングが不正確なパスを毎週投げ続けるのを見る必要がなくなった。ブラウニングはドライブを継続することも、才能ある高額のワイドレシーバーを活かすこともできなかった。
一方でフラッコも今季、ブラウンズでターンオーバーを回避できておらず、第5週には3巡目ルーキーのディロン・ガブリエルに先発の座を奪われる事態に至っていた。
それでもフラッコにはダウンフィールドに正確にパスを投げる力がある。それだけでも、ジャマール・チェイスやティー・ヒギンズのWR陣にとってみれば充分、自分たちがプレイを決められるチャンスになる。シンシナティの攻撃陣はバロウが復帰するまでの間、改めて戦いに臨むことができるはずだ。
勝者:ブラウンズ
ブラウンズは完全な若手中心のチームだ。QBガブリエルの周りには、RBクインション・ジャドキンズ、WRアイザイア・ボンド、TEハロルド・ファニンJr.、LBカーソン・シュウェシンガーといった選手たちが名を連ねる。そして、バックアップQBもまたルーキーのシェドゥーア・サンダースが務める。
バイキングス戦では好スタートを切ったガブリエルだが、もし調子を落とせばサンダースが起用されることもあるだろう。フラッコはこのロスター上ではチームの流れに逆行するベテラン枠だった。
敗者:ジェイク・ブラウニング
今季のブラウニングに2023年にスーパーサブとして活躍した姿はまるで見られず、チームに深刻な敗戦をもたらしていた。現在のパフォーマンスでは、この先ベンガルズに見限られた場合、他のチームでのバックアップとしてプレイするチャンスも潰える可能性がある。
勝者:シェドゥーア・サンダース
短期的にはサンダースがガブリエルのバックアップQBとなる。ケニー・ピケットはオフシーズンにレイダースへトレードされた。フラッコが移籍したことでブラウンズのQB陣の競争は激減した。ガブリエルが負傷した場合に備え、チームはベテランQBを確保すべきだが、実際にはサンダースがチャンスを得る可能性が高い。
勝者:ジャマール・チェイスとティー・ヒギンス
チェイスは第5週の試合、終盤の意味のない時間帯ではあったがブラウニングから2つのタッチダウン・パスを受ける活躍を見せた。ヒギンズもまた第5週にタッチダウン・キャッチを決めた。だが、試合を決めるような重要な場面ではまだ、二人とも存在感を示せていない。
敗者:ラッセル・ウィルソンとジェイミス・ウィンストン
バローが負傷した時、ジャイアンツの2人のQBはブラウニングの代わりになると噂されていた。しかし実際には、ウィルソンはジャクソン・ダートの控えに甘んじ、ウィンストンはゲームデイのロスターにすら入れていない。ベンガルズがどちらの獲得にも動こうとしなかったのは奇妙な話だ。
敗者:カーク・カズンズ
ラムズに近いベンガルズのオフェンスで、カズンズが持ち前の強肩を活かしてチェイスやヒギンズにパスを投げる姿も想像された。だが、カズンズは今後も巨額の金を手にしながら、マイケル・ペニックスJr.の控えとしてクリップボードを抱え続けることになりそうだ。
敗者:レイブンズとスティーラーズ
レイブンズは1勝4敗で、2勝3敗のベンガルズに1ゲーム差の遅れをとっている。スティーラーズは第5週がバイウィークだったので3勝1敗、ベンガルズに対するリードはわずか1.5ゲーム差しかない。フラッコの登場でベンガルズは格段に競争力を増し、AFCプレイオフ出場の可能性さえ出てきたかもしれない。地区首位のピッツバーグも欠点の多いチームであることを考えれば、この地区の優勝争いはどのチームにもチャンスがありそうだ。
原文:Joe Flacco trade winners and losers: Ja'Marr Chase, Shedeur Sanders headline impact of bizarre Browns-Bengals deal
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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