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チーム名を巡ってNFLワシントン・コマンダーズとトランプ大統領の間で何が起こっているのか?

Gilbert McGregor

石山修二 Shuji Ishiyama

チーム名を巡ってNFLワシントン・コマンダーズとトランプ大統領の間で何が起こっているのか? image

ドナルド・トランプ米大統領は、ワシントン・コマンダーズのニックネームについて再び強い意見を表明した。最新の声明には、フランチャイズの将来に影響を与える可能性のある警告も含まれている。

トランプ大統領が現在のチーム名には『「レッドスキンズ」と同様の響きがない』と発言してから数週間後、今度は自身で立ち上げたソーシャルメディア『Truth Social』 に今月初めの自身の発言を支持する一連の投稿を掲載した。

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「ワシントン『なんとか』は、直ちにチーム名をワシントン・レッドスキンズ・フットボールチームに戻すべきだ」と、トランプ大統領は現地21日(日)の朝に投稿した。さらに、「3、4年前とは時代は変わった。私たちは情熱と常識のある国だ。オーナーたちよ、早くやれ!」と続けた。

その日の午後、トランプ大統領は自身の発言が「大変な大騒ぎになったが、非常にポジティブな意味でのことだ」と認めた。これに対応する声明では、同フランチャイズが合意していたワシントンD.C.の新スタジアムへの移転を制限するとのプレッシャーを表明し、より強硬な姿勢を示した。

ここでは、トランプ大統領のワシントン新スタジアム計画阻止の脅しについて、知っておくべき点をまとめる。

なぜドナルド・トランプはコマンダーズにプレッシャーをかけるのか?

トランプ大統領のコマンダーズに対するプレッシャーは、フランチャイズがレッドスキンズという名前に戻すことに端を発している。

以下は、彼が 『Truth Social 』に投稿した文章の抜粋だ。

ワシントン・レッドスキンズに関する私の発言は、非常にポジティブな意味で大きな反響を呼んでいる。チーム名が元の「ワシントン・レッドスキンズ」に戻され、ばかばかしい「ワシントン・コマンダーズ」という名称が廃止されない限り、ワシントンにスタジアムを建設する契約には署名しないという条件をつけるかもしれない。そうすれば、チームの価値はさらに高まり、新スタジアムの契約も皆にとってよりエキサイティングなものになるだろう。

トランプ大統領はこの投稿で、メリーランド州ランドオーバーのノースウェスト・スタジアムからワシントンD.C.の新スタジアムへのフランチャイズの移転を阻止する措置を講じる意向を示した。移転は2030年に予定されている。

コマンダーズのスタジアム契約の詳細

2025年4月28日、コマンダーズとワシントンD.C.政府は、市内にスタジアム建設で27億ドル(1ドル146円換算で3942億円)、総額37億ドル(1ドル146円換算で5402億円)の施設を建設することで合意したと発表した。合意された新スタジアムは、1961年から1996年までフランチャイズの本拠地だった旧RFKスタジアム跡地に建設される予定だ。

この移転計画はD.C.市議会の承認を条件に、2030年に実施される見込みだ。

フランチャイズは、レジェンドQBのジョー・サイズマンがナレーションを担当した動画で移転を発表し、スタジアムのレンダリング画像にはガラス屋根やアメリカ合衆国議会議事堂の眺望などが描かれている。

(新着情報:ガラス屋根と米国議会議事堂を望む新しいRFKスタジアムのレンダリング画像。2030年開場予定)

なぜコマンダーズはチーム名を変えたのか?

コマンダーズは、その名称がアメリカ先住民およびカナダの先住民に対する人種差別的な表現であるために名称を変更した。

アメリカ英語の辞書では、この用語は「侮辱的」「差別的」「軽蔑的」として分類されている。

チームの名称変更は、数十年にわたる論争とフランチャイズが愛称を変更しない場合、スポンサーが撤退するという圧力の高まりが背景にあった。

2020年の『AdWeek』の報告書によると、フランチャイズの主要パートナーであるナイキ、フェデックス、ペプシコは、それぞれ87人の投資家と株主(総資産額6000億ドル以上)が署名した改名に関する書簡を受け取った。このグループは、レッドスキンズがニックネームを変更しなければ、各ブランドにスポンサーシップを撤回するよう求めた。

この圧力の高まりは、ジョージ・フロイド氏の殺害事件とその後全国で起きた人種差別反対の抗議運動を受けて起きた。小売企業の中には店舗からレッドスキンズの商品を撤去しするものも出始めていた。

コマンダーズはいつチーム名を変更した?

ワシントンのフランチャイズは2020年に「レッドスキンズ」の名称使用をやめ、2022年から最新の「コマンダーズ」に変更した。

「レッドスキンズ」の名前とロゴを廃止した後、チームは一時的に「ワシントン・フットボール・チーム」を名称として採用し、以前のブランドとユニフォームを継続して使用したが、「レッドスキンズ」のシンボルは削除された。

「ワシントン・フットボール・チーム」として2シーズンを過ごした後、2022年に完全なリブランディングを実施し、新しいロゴとユニフォームを導入して「コマンダーズ」に改名した。

コマンダーズはチーム名を元に戻すのか?

2024年8月、フランチャイズ・オーナーのジョシュ・ハリス氏は、「明らかな理由から、私たちは旧名称が復活できないことを明確に表明してきたと思います」と述べた

その上でハリス氏は、「私たちは、私たちの伝統を尊重し、過去を称えるような取り組みを開始する予定です。金色のパンツもその一つであり、そのようなことは簡単に取り組むことができます。現在、調査と検討を進めてますが、現時点ではこれまで話してきたことを優先していきます」と付け加えた。

チームは最近、2025年シーズンに「スーパーボウル出場時」のユニフォームを着用することを発表した。これは、フランチャイズがレッドスキンズだった時代のユニフォームを再現したものだ。

(歴史は色褪せない。未来を突き動かします)

チーム社長のマーク・クラウス氏は、公式発表では「レッドスキンズ」の名前について言及しなかったが、付随するプロモーション資料には「レッドスキンズ」のロゴなどが掲載されたハイライトや写真が含まれていた。

原文:Donald Trump vs. Commanders name change, explained: What to know about threat to block new stadium if Redskins don't return
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)


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Gilbert McGregor

Gilbert McGregor first joined The Sporting News in 2018 as a content producer for Global editions of NBA.com. Before covering the game, McGregor played basketball collegiately at Wake Forest, graduating with a Communication degree in 2016. McGregor began covering the NBA during the 2017-18 season and has been on hand for a number of league events.

石山修二 Shuji Ishiyama

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。生まれも育ちも東京。幼い頃、王貞治に魅せられたのがスポーツに興味を持ったきっかけ。大学在学時に交換留学でアメリカ生活を経験し、すっかりフットボールファンに。大学卒業後、アメリカンフットボール専門誌で企画立案・取材・執筆・撮影・編集・広告営業まで多方面に携わり、最終的には副編集長を務めた。98年長野五輪でボランティア参加。以降は、PR会社勤務・フリーランスとして外資系企業を中心に企業や団体のPR活動をサポートする一方で、現職を含めたライティングも継続中。学生時代の運動経験は弓道。現在は趣味のランニングで1シーズンに数度フルマラソンに出場し、サブ4達成。