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河村勇輝「チームの中で他の選手よりも違いを生み出せる選手が生き残っている」|NBAシーズン終了会見一問一答

杉浦大介 Daisuke Sugiura

河村勇輝「チームの中で他の選手よりも違いを生み出せる選手が生き残っている」|NBAシーズン終了会見一問一答 image

メンフィス・グリズリーズの2ウェイ選手としてNBA 2024-2025シーズンをプレイした河村勇輝が、4月27日に日本メディアを対象にシーズン終了会見を行なった。

河村は今季のグリズリーズで22試合でプレイし、平均4.2分の出場で1.6得点、0.5リバウンド、0.9アシスト、0.1スティール、0.2ターンオーバー、0.4パーソナルファウル、フィールドゴール成功率36.7%、3ポイント成功率30.4%、フリースロー成功率77.8%を記録。

Gリーグではシーズン序盤に行われたティップオフトーナメントでは7試合に全て先発メンバーとしてプレイし、平均33.9分の出場で13.7得点、4.4リバウンド、10.6アシスト、1.1スティール、0.1ブロック、2.7ターンオーバー、1.9パーソナルファウル、FG成功率34.0%、3P成功率19.5%、FT成功率80.0%をマーク。

レギュラーシーズンでが24試合に全て先発メンバーとしてプレイし、平均31.0分の出場で12.4得点、2.6リバウンド、7.8アシスト、1.3スティール、0.2ブロック、2.5ターンオーバー、2.3パーソナルファウル、FG成功率40.0%、3P成功率41.0%、FT成功率74.2%を記録し、成功率を中心に大幅にプレイを向上させた。

以下、河村の試合後の一問一答(日本語での質疑応答から抜粋。質問は要約)。

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この1シーズン本当に早く感じました

──プレイオフでチームをサポートする中での新しい発見は。

河村:レギュラーシーズンとプレイオフの雰囲気だったりとか、プレイの強度の違いっていうのはすごく感じました。

──同じ2ウェイ契約でスタートし、ここまできたスコッティ・ピッペンJr.のプレイをどう見たか。

河村:ジャ(・モラント)がケガをしてしまって、PG(ポイントガード)がローテーションにあまり多くないチーム状況の中で、今シーズン初めての方に2ウェイで、去年もGリーグでプレイした経験のある彼がプレイオフでプレイし、チームを引っ張った。その姿を見て、僕も彼のようにチームを助けるような選手になりたいなっていうのは深く思いました。

──メンフィスに来て200日あまり。時間を有効に使うことへの自己評価は。

河村:アメリカに来てからは本当に1日1日無駄にすることなくというか、このNBAという厳しい世界で、カットされるかもわからない状況の中で、後悔だけはしたくないって気持ちは常に持っていました。

その気持ちを常に持ち続けて今シーズンやってきて、それもあってなのか、この1シーズン本当に早く感じました。ここに来たのが、アメリカに来たのがつい数日前のような感覚。それくらい充実した毎日を送ってきたんだなっていうのは昨日、シーズンが終わってから改めて感じました。

──時間の使い方で特に気を付けていたことは。

河村:2ウェイ契約選手として、自分の身体の調子だったり管理っていうところのバランスは気をつけました。ワークハードするところと、しっかりトレーニングするところと、休むところ。どのタイミングでリカバリーするのか、ワークハードするのかっていう時間の使い方は自分なりに考えて今シーズンやってきました。

あとは言語のところでやっぱり英語はもっと話せないと、より深いコミュニケーションをとれるようにならないとPGとしてやっていけないなというふうに思っていました。英語のコミュニケーションのための時間の割き方もしっかりと考えて、これまで生活してきました。

Yuki Kawamura Memphis Hustle

NBA Entertainment

チームの中で他の選手よりも違いを生み出せる選手が生き残っている

──Gリーグでの勝ち星はなかなか伸びなかった。もっと勝つために何ができるか。

河村:シーズン終盤になるにつれて、シューターの役割が増えた時に、そこでしっかりと3Pでチームの勝利に貢献できるってことを僕の中では証明できたんじゃないかなと思います。

ただ、それが最終的に結果につながらないこともありました。そうなるとやっぱり僕がコートに出た時にチームの勝利に直結できるようなプレイだったり、ガードとしてのコントロールがまだ足りないんじゃないかなとは感じました。

1つの大きな原因としてはやはりディフェンスです。Gリーグは特にNBAよりもよりインディビジュアルな(個人)プレイだったりとか、1対1がすごく多いリーグだと思います。1対1でアドバンテージを取られてしまうっていうところがGリーグでもあったので、そこはクリアしていかないとよりレベルの高いNBAではやっていけないと思っています。

──今年、対戦した中ですごいなと思った選手、印象に残った選手は。

河村:対戦相手でいえば、プレイオフでも彼にやられてしまったんですけど、シェイ(ギルジャス・アレクサンダー)選手です。12月末ですかね、僕が初めて4クォーターにフルで長い時間プレイした時に彼もコートにいて、短い間ではありましたけどマッチアップもしました。やっぱり素晴らしい経験だったなと思います。

──1年目でプレイイン・トーナメントとプレイオフを経験した。今後にどう生かしたいか。

河村:同じようなことの繰り返しにはなるんですけど、プレイオフになればなるほど、プレイオフに近づいていけばいくほど、ローテーションプレイヤーの人数もすごく減ってきます。その中でローテーションに入っている選手は、チームの中で他の選手よりも違いを生み出せる選手が生き残っているんだなと感じました。

僕も違いを生み出していけるような選手にならないといけないなと思うし、あとは大前提としてディフェンスができない選手はプレイオフの戦いではなかなか試合には出れないんだなっていうのはグリズリーズにいてより感じました。

まず直近は本契約というところを目標にしていますけど、その先にはプレイオフだったり、チャンピオンシップを取ることだったり、そこのローテーションに入ることを目標にしてやっていきたいと思っています。

その一番大きな目標に向けて、僕はディフェンスのところはよりクリアにしていかなければいけないのかなと思っています。あとは試合には出てませんけど、プレイオフの間の緊張感だったりはチームの一員として感じられ、雰囲気を感じられたことでよりバスケットボールへの熱だとか、自分の目標への熱が高まったかなというふうには感じます。

──アジア人がアメリカでプレイする難しさがある中で、ジェレミー・リンは河村選手には気概があると誉めていた。今季プレイをして、どういったカルチャーの壁を乗り越えてきたのか。

河村:(NBAは)間違いなく本当に実力の世界というか、実力主義の世界なんだなと感じています。どれだけGリーグで活躍しても、NBAで活躍していなければコーチやグリズリーズの選手からの厚い信頼というか、リスペクトはなかなか得られないというのは今シーズンで感じました。

逆に言えばNBAでしっかり結果を残すことができれば、リスペクトも得られますし、それによってコートに立った時にプレイがし易いとか、パスがしっかり回ってくるとか、そういったところに繋がってくると思っています。

まだまだ僕はそういったところで足りない部分がいっぱいあります。そこはまだまだ乗り越えなければいけない壁であり、全然越えられていたとは思っていません。

Yuki Kawamura

NBA Entertainment

メンフィスの地でプレイして恩返ししたいなという気持ちはあります

──サマーリーグ、日本代表など、今後の活動予定は。今季アメリカでやって、日本代表ではどういったものを見せられそうか。

河村:まずはこれからNBAの契約だったりとか、そういったものがどういう状況になっていくかっていうのが不透明なので、それの動き次第で代表活動だったりとか、サマーリーグっていうのは変わっていくのかなと思っています。

一番直近ではサマーリーグが7月の頭にあります。まずはそこに向けて身体を作って、1つのピークを持ってこれたらいいなと思っています。

代表活動はもちろんプレイしたい気持ちはありますし、NBAと同じくらい五輪で日本(代表)として結果を残したいっていう目標もあります。アジア杯でしっかりと結果を残すことでFIBAランキングが上がり、W杯にも繋がるっていうのも理解しています。今、無責任なことは正直言えないので、わからないですけど、NBAの契約次第でそこがしっかりとクリアになるのであれば、アジア杯は出られたらいいなと思っています。

NBAを経験して、相手の長さだったりとか、速い選手にどうやってアドバンテージを取るのかってところはこの1年間で研究してやってきました。1人でズレを作ったりとか、チームとしてのオフェンスのズレを作れるようにはよりなってきているのかなと思っています。

あとはディフェンスのところでもNBAだったりGリーグを通してかなり成長できたのではないかなと感じているので、アジア杯に仮に出るとなれば、アジアにもたくさんいいPGだったり、いいFWだったりがいると思うので、そういった選手と率先してマッチアップして、チームによりいい影響を与えられるんじゃないかなと思っています。

──コーチ、首脳陣とのエグジットインタビューはしたのか。

河村:このインタビューが終わり次第、する予定です。

──今後、複数チームからオファーがあったとして、優先したいことは。それは今季をプレイしたからわかったことなのか。

河村:NBAは流動的なので、すぐに状況が変わってしまうという難しさがあるとは思います。今年のグリズリーズは戦術も含め、メンバーも含め、PGがすごく飽和していて、プラス、純PGを必要とするような戦術ではなかったというのもあるので、来季を決める上でチームのメンバー構成だったり戦術の考え方だったりをしっかりと理解した上でいいチーム選びができればいいと思っています。

欲を言うのであれば、初めて自分を評価してもらったメンフィスの地でプレイして、ファンの皆さんだったり、ザック(・クライマン)GMだったり、コーチに恩返ししたいなという気持ちはあります。

それは本当にこれからどうなるかわからないですし、また今からGM、コーチと話して、どうなるかわかってくると思うので、そこはしっかりと考えてチーム選びはしないといけないなと思います。本当にNBAは流動的なので、常にアジャストする必要があるなと思います。

──1年、NBAで過ごし、八村塁選手や渡邊雄太選手など先人たちのすごさを改めて感じられたのか。

河村:本当に改めて、(八村)塁さんが今やっていることだったり、これまで(渡邊)雄太さんが残してきた成績だったりものっていうのは本当に一言では表せないくらいすごいことをしているんだなと感じています。それに続いて僕もそういった結果を残せていったらいいなとは思っています。

杉浦大介 Daisuke Sugiura

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。