9年ぶりにNBAファイナル第7戦が行われる。
インディアナ・ペイサーズは今ポストシーズンで初めて連敗を喫し、NBAファイナル2025でシリーズ2勝3敗となった。だが、シーズン最後のホームゲームとなった6月19日(日本時間20日)の第6戦で108-91と快勝し、勝負の行方を第7戦に持ち込んだ。
オクラホマシティ・サンダーにとっては、忘れ去りたい夜となった。NBA優勝まであと1勝というチームには見えず、序盤で8-2とリードしたところが第6戦のピークに。以降は下り坂となった。
サンダーは今シリーズで初めて第1クォーターを落とし、ハーフタイムまでに22点のビハインドを背負った。ペイサーズのリードは第3Q終了時に30点まで広がり、サンダーのマーク・デイグノート・ヘッドコーチはスターティングメンバーをベンチに下げて白旗をあげている。
第6戦で優勝する機会を逃したサンダーだが、第7戦ではホームのファンの前でラリー・オブライエン・トロフィーを掲げるチャンスが待つ。ここでは、サンダーが第7戦に向けて心配すべき理由と、心配すべきではない理由をまとめた。
なぜサンダーはファイナル第7戦で心配すべきか
第6戦でペイサーズは何かをつかんだようだ。
エキスパートのケイトリン・クーパーが指摘したように、ペイサーズはフルコートではなく、ハーフコートでよりプレッシャーをかけるようにした。これにより、サンダーの攻撃を大きく停滞させ、時にはひどい出来に見せたのだ。
前半のサンダーは、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(15得点)とジェイレン・ウィリアムズ(16得点)で31得点をあげた。フィールドゴール21本中12本成功(57.1%)だ。しかし、それ以外のメンバーは、FG17本中5本成功(29.4%)の11得点にとどまった。
また、サンダーはFG17本のうち、アシストから決めたのが3本のみ。さらに3ポイントショットは11本中1本成功(9.1%)と冷え切っていた。
第4戦でも、サンダーは何とか勝利への道を見いだしたものの、同じような欠点を見せて苦しめられていた。ペイサーズには青写真があるということだ。
そして、第7戦は歴史的に泥臭い展開になるもので、勝利をもぎ取ろうとすることが求められる。ペイサーズはそういう展開で勝ち切れることを、ポストシーズンを通じて見せてきた。
第6戦は、サンダーの幸運が尽きたことの兆しかもしれない。そして、一方のペイサーズは幸運が尽きることがないと思い起こさせたのかもしれない。
なぜサンダーはファイナル第7戦で心配すべきではないのか
第7戦の舞台はサンダーの本拠地ペイコム・センターだ。
だからといって勝利がプレゼントされるわけではない。そしてもちろん、ペイサーズがやすやすと勝たせてくれるはずはない。だが、サンダーのホームコートアドバンテージは非常に確かなものなのだ。それは数字にも表れている。
今季のサンダーはホームで35勝6敗という成績を収めている。プレイオフも10勝2敗だ。敗れた2試合は、あり得ないような終盤の逆転劇。NBAファイナルでも、サンダーはロードとホームでまったく別のチームだった。
第6戦でサンダーは3Pが30本中8本成功(26.7%)だった。ロードでは68本中21本成功(30.9%)という数字だ。では、ホームではどうか。今シリーズで98本中39本成功(39.8%)。同じ3試合ずつで大きな差がある。
また、サンダーはホームに戻るとロールプレイヤーたちの活躍をあてにできるだろう。第6戦はサンダーが第3Q終了時にタオルを投げたこともあるが、アレックス・カルーソ、アーロン・ウィギンズ、ケイソン・ウォレスが期待された出来ではなかった。
加えて、サンダーはチェット・ホルムグレンが第6戦で4得点、6リバウンドだったが、第7戦で彼がそれ以上悪くなることはないだろう。非常に才能ある選手で、このレベルで苦しみ続けることはないはずだ。
何より、サンダーにはシリーズ最高の選手がいる。ギルジャス・アレクサンダーだ。個人としてリーグの歴史でも有数の素晴らしいシーズンを締めくくろうとしている。
そしてそれだけのシーズンとなったのは、彼がチームに最も必要とされるたびに活躍してきたからだ。彼はここぞという時に信頼できる選手である。
素晴らしいサプライズを続けてきたペイサーズだが、それもどこかで終わりを迎えるかもしれない。
この第7戦は、歴史に残る勝負と言われる試合になる要素が満載だ。
原文:Why Thunder should — and shouldn't — be worried about Game 7 vs. Pacers after Game 6 blowout(抄訳)
翻訳:坂東実藍