8シーズンで、4度のオールスター選出、そして1度のイースタン・カンファレンス決勝進出という結果を残し、アトランタにおけるトレイ・ヤングの物語は正式に幕を閉じた。ホークスはウィザーズとの間で合意に達し、ヤングをCJ・マカーラムとコーリー・キスパートと交換した。
2021年のイースト決勝進出は、ヤングの輝かしいキャリアの幕開けとなるはずだった。しかし実際には、ホークスは結果を残せず、彼が出場した試合では221勝272敗。その後2度プレイオフに進出するも、1回戦を突破できなかった。毎回のようにプレイイン・トーナメントに出場することから、”トレイ・イン”と揶揄されるほどであった。
もちろん、すべてがヤングの責任ではない。だが、ホークスは新たな時代へ舵を切る決断を下した。今やホークスはジェイレン・ジョンソンのチームとなり、ヤングは司令塔を必要とするウィザーズで新たなスタートを切ることになる。
しかし、ホークスはスター選手のヤングに見合う見返りを得たのだろうか? 今季ここまでの最大の取引となったヤングのトレードにおける、両チームの評価を見ていこう。
トレードの詳細
ホークス獲得
- CJ・マカーラム
- コーリー・キスパート
ウィザーズ獲得
- トレイ・ヤング

ホークスのトレード評価
ヤングの対価にしては少ないように思えるかもしれない。確かにヤングは守備面での限界はあるが、卓越したパス能力で強力なオフェンスを牽引してきた。昨季は平均11.6アシストでリーグ1位。ディフェンスばかりが目立ち、プレイメイカーとしてのヤングが、正当に評価されていたとは言い難い。
ヤングの市場価値を下げる要因は彼のディフェンス力だけではない。NBAのほとんどのチームがポイントガードの層が厚いこと、ヤングのサラリーが高額であることもまたその要因であった。彼は今季の契約が4600万ドル、来季は4900万ドルのプレイヤーオプションを有している。その巨額な契約を引き受ける意欲をほとんどのチームが持っていなかったのである。
ホークスはヤングの契約から解放されて喜んでいるはずだ。ヤングは契約延長がなければ、来季4900万ドルのプレイヤーオプションを行使していた可能性が高い。トレードによってこの負担がなくなったことで、オフにはジョンソンと相性が良い中堅選手を獲得するためにキャップスペースを活用することができる。
ヤングの市場価値を下げたもう一つの要因として、シュート力の低下がある。NBA屈指のスコアラーだった頃は、守備面のマイナスも許容されやすかった。しかし近年は3Pシュートが不振で、今季は30.5%、昨季は34%の成功率に留まっている。フリースロー試投数も減少傾向にある。ここ数年で、彼が得意とするファウルドローの一部がルール改正で制限されたからだ。
次にマカーラムについて話そう。彼は今季で契約が切れるが、依然として優れた選手だ。ハーフコートオフェンスがリーグ20位のホークスにとって、彼の3Pシュート、シュートメイキング、パス能力は切実に必要とされている。マカーラムはもはや全盛期ではないが、即戦力のスコアラーとしてまだ活躍できる。
キスパートもホークスの得点力アップに貢献できる選手だ。キャリア通算で38%と安定した3Pシュート成功率を誇り、カッティング能力も高く、ゴール下でのフィニッシュ力に優れる。ただしマカーラム同様、ディフェンスは得意ではない。すでに26歳であることを考えると、この点は改善されないだろう。ディフェンス力を考慮すると契約は若干割高だが、チームに貢献できる選手であることに変わりはない。
ヤングのトレードは、アンソニー・デイビスの獲得の前兆ではないかと推測されている。ただ、今シーズン中は、マカーラムとキスパートをトレードに組み込むことはできない。デイビス獲得を目指すのであれば、クリスタプス・ポルジンギスを中心に、若手の有望株、ドラフト指名権が取引に含まれるだろう。
このトレードを完全に評価するには、今後ホークスが空いたキャップスペースをどのように活用するか見定める必要がある。ただ、現段階でも言えることは、ホークスにとってヤングのトレードは必要だったということだ。対価が少ないことから、ホークスがヤングの市場調査をしっかりと行ったのかどうかについて議論の余地があるが、ホークスは明らかに行き詰まっていた。より良い未来と、大きなチャンスのために、フランチャイズの顔を手放すという難しい決断を下したホークスを称賛すべきだ。
ホークスの評価:B

ウィザーズのトレード評価
ウィザーズはポイントガードが圧倒的に足りていなかった。彼らは大した代償を払うことなく、ヤングを獲得したのだ。
ウィザーズが手放したものはあまりにも少ない。34歳で契約最終年を迎えていたマカーラムは、チームの長期計画に組み込まれることは決してなかった。キスパートは良いロールプレイヤーだが、他の選手で代替可能だ。
財政面でもウィザーズに大きな打撃はない。Spotracのキース・スミスによれば、ウィザーズの来夏のキャップスペースは8000万ドルを超えると予測されていた。ヤングの契約金を加味しても、FA市場で積極的に動く余地は十分に残っている。
ヤングはウィザーズの若手選手の成長に貢献するだろう。オフェンスの効率は落ちているものの、依然として彼のオフェンスの重力は大きい。ヤングはチームメイト全員のシュートチャンスを創り出すことができる。
アレックス・サーが最も恩恵を受けるだろう。ヤングは優れたロブパスを放つ選手であり、新たな相棒としてサーはリング付近で躍動するはずだ。
また今回のヤングの獲得が、低リスクである点も見逃せない。ヤングは来年で期限切れとなるため、チームは来季、ヤングを今よりも高い価値でトレードできる可能性がある(ヤングの今後のパフォーマンス次第ではあるが)。27歳という若さと、現在シュートスランプに陥っていることを考慮すれば、彼の価値が回復する可能性は大いにある。
ウィザーズにも、ある程度のリスクは潜んでいる。現在リーグで4番目に悪い成績を記録しているウィザーズは、2026年ドラフトのトップ8プロテクトの指名権を保持している。抽選によって指名順位が1から8位までであれば指名権はホークスに残るが、9位以上になればこの指名権はニックスに渡る仕組みになっている。NBAでは基本的に、シーズンを下位で終えれば終えるほど、指名権の順位は高くなっていく。つまり、ヤングの加入によってチームが強くなりすぎた場合、ニックスに指名権が渡りかねないということだ。贅沢な悩みではあるが、指名権を保持したいウィザーズにとっては見逃せないリスクだ。
ウィザーズ評価:B+
原文:Trae Young-CJ McCollum trade grades: Hawks get fresh start, Wizards take low-risk flier on All-Star guard
抄訳:小野春稀(スポーティングニュース日本版)
