どのNBAチャンピオンも、それぞれの時代で特別な存在であり、頂点に立つこと自体が素晴らしい偉業だ。
とはいえ、タイトル獲得への道筋やチームの才能では、他を圧倒したチームもあった。どのチャンピオンが群を抜いていたのかを判断することは簡単ではない。
したがって、優勝チームをレギュラーシーズンとプレイオフでの勝率、ロスターの強さ、対戦相手の実力、そして得点差と対戦強度に基づく指標であるSRS(Simple Rating System)で総合的に評価した。
ここでは、そのデータを基に、2020年から2024年までの全優勝チームを1位から25位までランク付けしている。
2000-2024年NBAチャンピオンランキング
1. 2017年ウォリアーズ

成績:レギュラーシーズン67勝15敗、プレイオフ16勝1敗、SRS11.35
主な選手:ステフィン・カリー、ケビン・デュラント、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーン
これはウォリアーズ王朝における最高の優勝チームであり、NBA史上でも屈指の支配力を誇ったチームのひとつだった。彼らはすでにエリート集団だったが、堅実なロールプレイヤーであるハリソン・バーンズを、歴代最高クラスの選手であるデュラントと入れ替えたことで、さらに強力になった。デュラント加入により、ウォリアーズは3年で2度目の優勝を難なく達成し、プレイオフでは1試合平均13.5点差という史上最多の平均得点差で相手を圧倒した。
2. 2015年ウォリアーズ

成績:レギュラーシーズン67勝15敗、プレイオフ16勝5敗、SRS10.01
主な選手:ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーン、アンドレ・イグダーラ
ウォリアーズが初めて優勝を果たしたチームも、王朝の中で屈指の強さを誇るチームだった。このチームは、自分たちの実力を証明しようという飢えに満ちていた。スティーブ・カーが就任1年目に導入したモーションオフェンスと3ポイントショット攻勢によって、リーグ全体の不意を突いたのだ。カリーはこのシーズン、初のシーズンMVPを獲得していた。そしてファイナルでは、イグダーラの見事なディフェンスを武器に、レブロン・ジェームズ率いる強豪キャブズを第6戦で下して優勝を手にした。
3. 2001年レイカーズ

成績:レギュラーシーズン56勝26敗、プレイオフ16勝1敗、SRS3.74
主な選手:コービー・ブライアント、シャキール・オニール
このレイカーズは、スリーピート(3連覇)のちょうど真ん中にあったチームだった。
レギュラーシーズンではケガの影響もあり、ウェスト第2シードにとどまったが、プレイオフでは一気にギアを上げ、相手を圧倒。プレイオフでたった1敗しかしないという記録的な強さを見せつけた。
その唯一の敗北はファイナル第1戦で、アレン・アイバーソンが48得点を挙げ、タロン・ルーをまたいだあの伝説の写真が生まれた試合だった。しかしシクサーズの勢いは続かず、レイカーズはその後4連勝、合計39点差でシリーズを制した。
このチームは名将フィル・ジャクソンが率いており、シャックとコービーという21世紀最高とも言えるデュオも揃っていた。
4. 2000年レイカーズ

成績:レギュラーシーズン67勝15敗、プレイオフ16勝8敗、SRS8.41
主な選手: シャキール・オニール、コービー・ブライアント
これはレイカーズのスリーピート(3連覇)の最初の優勝だった。フィル・ジャクソンがシャックとコービーをまとめるために招聘され、就任1年目にしてリーグ最高勝率へと導いた。
シャックは平均29.7得点・13.6リバウンドを記録し、ほぼ満票でMVPに選出される圧巻のシーズンだった。
ただ、プレイオフでは決して順風満帆とはいかず、西決勝の第7戦ではブレイザーズの大崩れに助けられて辛くも勝利。ファイナルではペイサーズと対戦し、6試合でシリーズを制した。
5. 2003年スパーズ

成績:レギュラーシーズン60勝22敗、プレイオフ16勝8敗、SRS5.65
主な選手:ティム・ダンカン、デビッド・ロビンソン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリ
ダンカンはこの年にシーズンMVPを受賞し、プレイオフではさらに圧巻のパフォーマンスを見せた。ファイナル第6戦では、あとブロック2本で「クアドラプル・ダブル(4部門での二桁記録)」という、歴代屈指の活躍を見せた。スパーズはダンカン&ロビンソンのツインタワー戦術でネッツを6試合で下し、ロビンソンのラストシーズンを優勝で締めくくった。
6. 2014年スパーズ

成績:レギュラーシーズン62勝20敗、プレイオフ16勝8敗、SRS8.00
主な選手:ティム・ダンカン、カワイ・レナード、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリ
スパーズは前年のファイナルでヒートに敗れた苦しみを乗り越え、見事にリベンジを果たし、わずか5試合で退けた。
スパーズは、美しいパス回しとカッティングを基盤とした「ビューティフルゲーム」スタイルでリーグ最高のオフェンスを展開。レナードはファイナルMVPを獲得し、世界最高クラスの選手になれることを証明した。
7. 2005年スパーズ

成績:レギュラーシーズン59勝23敗、プレイオフ16勝7敗、SRS7.80
主な選手:ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリ
この年のスパーズはリーグ最高のディフェンシブチームであり、前年王者で同じくディフェンスに定評のあるピストンズと対決することになった。ファイナル進出までには、「セブン・セカンズ・オア・レス(7秒以内にシュート)」を掲げる上位シードのサンズを5試合で下した。そして迎えたファイナルは、一進一退の激しい展開となり、第7戦までもつれ込む接戦を制して優勝を果たした。
8. 2013年ヒート

成績:レギュラーシーズン66勝16敗、プレーオフ16勝7敗、SRS7.87
主な選手:レブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュ、レイ・アレン
ヒートルズ(ビッグ3時代のヒート)の3年目、ヒートはスパーズを相手に、7試合に及ぶ激闘の末に2度目のタイトルを手にした。
第6戦の終盤、レイ・アレンが放った同点の3Pショットは、誰もが記憶している名場面だろう。あの一撃で第7戦にもつれ込み、優勝をつかんだのだ。このチームは才能にあふれていたが、「紙一重」での優勝だったことから、ランキングではやや順位を下げている。
9. 2018年ウォリアーズ

成績:レギュラーシーズン58勝24敗、プレイオフ16勝5敗、SRS5.79
主な選手:ケビン・デュラント、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーン
この年のウォリアーズも依然として層は厚かったが、疲労が徐々に影響を及ぼし始めていた。カリーはレギュラーシーズンで31試合を欠場し、34歳のイグダーラは以前ほどのインパクトプレイヤーではなくなっていた。間違いなく素晴らしいチームだったが、厳しい戦いの中で疲れが見え始め、チームの弱点が浮き彫りになってきていた。
10. 2008年セルティックス

成績:レギュラーシーズン66勝16敗、プレイオフ16勝10敗、SRS9.31
主な選手:ケビン・ガーネット、ポール・ピアース、レイ・アレン、ラジョン・ロンド
セルティックスはケビン・ガーネットを中心とした圧倒的なディフェンスを誇り、当時あまり知られていなかったアシスタントコーチのトム・シボドーの存在も大きかった。シボドーの守備戦術は時代を先取りしており、そのおかげでその後2連覇する強豪レイカーズを撃破した。
このチームはトップ4がしっかりしていて素晴らしかったが、2つのシリーズをフルゲームの7試合行ったため、評価は少し下がる。
11. 2012年ヒート

成績:46勝20敗、プレイオフ16勝7敗、SRS5.72
主な選手:レブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュ
前年のファイナルで敗れた後、ヒートルズは初のチャンピオンシップを勝ち取った。
ヒートはこの短縮シーズンで圧倒的なレギュラーシーズンを送ったわけではなく、東決勝ではセルティックスにあと一歩のところまで追い詰められた。第6戦でレブロンが45得点をあげ、試合を第7戦に持ち込みなんとか勝利した。
そこから、ケビン・デュラント、ジェームズ・ハーデン、ラッセル・ウェストブルック、サージ・イバカという若く素晴らしいサンダーを相手に、4勝1敗で圧倒的な勝利を収めた。
12. 2024年セルティックス

成績:レギュラーシーズン64勝18敗、プレイオフ16勝3敗、SRS10.75
主な選手:ジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウン、ドリュー・ホリデー、クリスタプス・ポルジンギス
このセルティックスは優れたディフェンスとNBA史上最高のオフェンスを持ち、支配的なレギュラーシーズンチームだった。プレイオフでもほとんど問題なく進み、素晴らしい成績を残した。
しかし、対戦相手のレベルが低かったと彼らの優勝を批判する声も一部見られる。ジミー・バトラー、ドノバン・ミッチェル、タイリース・ハリバートン、そしてファイナルで負傷したルカ・ドンチッチなど、主力選手が怪我を抱えたチームと多く対戦したからだ。しかし、相手は目の前にいるチームだけであり、それを倒すしかない。
13. 2004年ピストンズ

成績:レギュラーシーズン54勝28敗、プレイオフ16勝7敗、SRS5.83
主な選手:チャウンシー・ビラップス、ベン・ウォレス、ラシード・ウォレス、リチャード・ハミルトン
これは間違いなくNBA史上最も楽しく、記憶に残るチームのひとつだった。ピストンズは、MVPレベルの才能がいなくても優勝できることを証明した。スターター5人は非常に優れており、その中でオールスターに一度も選ばれなかったのはテイショーン・プリンスだけだった。彼らは驚異的なディフェンスチームであり、シーズン途中にラシード・ウォレスをトレードで獲得してさらに強化された。
14. 2016年キャバリアーズ

成績:レギュラーシーズン57勝25敗、プレイオフ16勝5敗、SRS5.45
主な選手:レブロン・ジェームズ、カイリー・アービング、ケビン・ラブ
レブロンは、これ以上ないほど劇的な形でクリーブランドにチャンピオンシップをもたらした。相手はレギュラーシーズン史上最高の73勝9敗という記録を打ち立てたウォリアーズ。キャブズは1勝3敗と崖っぷちに追い込まれながらも、レブロンとアービングによるいくつもの伝説的なパフォーマンスによって3連勝で逆転優勝を果たした。第5戦でのドレイモンド・グリーンの出場停止が、ウォリアーズにとっては致命的だったのかもしれない。
15. 2023年ナゲッツ

成績:レギュラーシーズン53勝29敗、プレイオフ16勝4敗、SRS3.04
主な選手:ニコラ・ヨキッチ、ジャマール・マレー、アーロン・ゴードン
ナゲッツはレギュラーシーズンで圧倒的な強さを見せたチームではなかった。彼らは優勝したチームの中でも、プレシーズンの時点では最も評価が低かったチームの一つだった。しかし彼らには全盛期のヨキッチがいて、プレイオフでは誰も彼に太刀打ちできなかった。
ただ、ナゲッツはそれほど厳しい相手と戦っていなかったため、ランキングは少し下がる。特にファイナルでは、第8シードのヒートがあまり抵抗できず、5試合でシリーズが決着した。
16. 2010年レイカーズ

成績: レギュラーシーズン57勝25敗、プレイオフ16勝7敗、SRS4.78
主な選手:コービー・ブライアント、パウ・ガソル、ロン・アーテスト
レイカーズはファイナルまで順調に勝ち進んだが、セルティックスとの対戦は激戦となった。シリーズを通して、コービーは平均28.6得点を記録したが、第7戦でチームを支えたのはパウ・ガソルだった。彼は19得点・18リバウンド(うち9本はオフェンスリバウンド)という活躍を見せた。このチームは優れたチームではあったが、他のレイカーズ優勝チームと比べるとロールプレイヤーがやや劣っていた。
17. 2007年スパーズ

成績:レギュラーシーズン58勝24敗、プレイオフ16勝4敗、SRS8.35
主な選手:ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリ
このスパーズは優れたチームではあったが、プレイオフでは物足りない相手と対戦していた。彼らはレブロン・ジェームズ率いる若いキャバリアーズをスウィープ(4連勝)で下したが、そのキャブスのレギュラーシーズンでの2番目の得点源はラリー・ヒューズだった。
18. 2009年レイカーズ

成績:レギュラーシーズン65勝17敗、プレイオフ16勝7敗、SRS7.11
主な選手:コービー・ブライアント、パウ・ガソル
レイカーズはシーズン65勝を挙げ、ドワイト・ハワード率いるマジックとのファイナルを4勝1敗で快勝した。前年セルティックスに敗れた雪辱を果たし、コービーはシャックなしでも優勝できることを証明した。ラマー・オドムはグルーガイ(繋ぎ役)として、チームのために何でもこなす存在だった。
19. 2019年ラプターズ

成績:レギュラーシーズン58勝24敗、プレイオフ16勝8敗、SRS5.79
主な選手:カワイ・レナード、カイル・ラウリー、パスカル・シアカム、マルク・ガソル
ラプターズは、NBA史の中でも特に意外性のある優勝チームのひとつだった。ファンに愛されたデマー・デローザンを放出して、カワイ・レナードの1年レンタルに賭けたトレードは、結果的にその代償に見合う価値があった。
レナードは、76ersとの東決勝第7戦で、バウンドしながらリングに落ちたジャンパーでブザービーターを決め、シリーズ突破を果たした。これはフランチャイズ史上最も象徴的なショットとなった。
ニック・ナースの革新的なディフェンス、そしてケビン・デュラントとクレイ・トンプソンの負傷により、ウォリアーズ王朝は終焉を迎え、トロントに悲願の初優勝をもたらした。
20. 2002年レイカーズ

成績:レギュラーシーズン58勝24敗、プレイオフ15勝4敗、SRS7.15
主な選手:シャキール・オニール、コービー・ブライアント
レイカーズのスリーピート(3連覇)は、ネッツをスウィープ(4連勝)して締めくくられたが、このチームは2001年の優勝チームほど強くはなかった。西決勝ではキングス相手にギリギリの戦いとなり、第7戦の第4クォーターで27本ものフリースローを得て、なんとか勝利をもぎ取った。さらに、ファイナルで対戦したネッツも戦力的に弱く、このチームのランキングを下げる要因となっている。
21. 2021年バックス

成績:レギュラーシーズン46勝26敗、プレイオフ16勝7敗、SRS5.57
主な選手:ヤニス・アデトクンボ、クリス・ミドルトン、ドリュー・ホリデー
バックスは、東準決勝で主力を欠いたネッツ相手に第7戦までもつれる接戦を制し、辛うじてファイナル進出を果たした。ケビン・デュラントのラインを踏んだ2ポイントショットがなければ、この結果にはならなかったかもしれない。また、カンファレンス・ファイナルではホークスという相対的に弱い相手と対戦した。
ファイナルでは、ヤニス・アデトクンボが膝の大怪我と思われた状態から奇跡的に復帰し、素晴らしいパフォーマンスを披露。クリス・ポールとデビン・ブッカー率いるサンズを6試合で下し、優勝をつかんだ。
22. 2022年ウォリアーズ

成績:レギュラーシーズン53勝29敗、プレイオフ16勝6敗、SRS5.52
主な選手:ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーン
ウォリアーズは、まだ最後のひと踏ん張りが残っていることを証明した。8年間で4度目の優勝を果たし、ファイナルではセルティックスを4勝2敗で下した。カリーは1試合平均31.2得点を記録し、自身初のファイナルMVPを受賞。
アンドリュー・ウィギンズはオールスター級の選手かつ守備の要へと成長し、ジョーダン・プールはスコアリングでブレイク。さらに、カリー、トンプソン、グリーンの3人はいつも通りの安定した活躍を見せた。
23. 2011年マーベリックス

成績:レギュラーシーズン57勝25敗、プレイオフ16勝5敗、SRS4.41
主な選手: ダーク・ノビツキー、ジェイソン・キッド、タイソン・チャンドラー
マーベリックスは、レブロン率いるヒートのスーパーチーム(結成1年目)との対戦で、アンダードッグ(下馬評の低い側)だった。ノビツキーは2006年ファイナルの再戦で平均26得点を記録し、ダラスを4勝2敗で初優勝に導いた。
タイソン・チャンドラーは堅実なディフェンスで、ジェイソン・キッドはポイントガードとしてチームを落ち着かせる存在だった。これはマーベリックスにとって唯一の優勝であり、リック・カーライルHCにとっても唯一のチャンピオンリングとなった。
24. 2006年ヒート

成績:レギュラーシーズン52勝30敗、プレイオフ16勝7敗、SRS3.59
主な選手:ドウェイン・ウェイド、シャキール・オニール
シャックはロサンゼルス以外の場所でもチャンピオンリングを獲れることを証明し、ウェイドとタッグを組んでマーベリックスを6試合で下した。パット・ライリーはフロントオフィスから現場に降りてきて、スタン・ヴァン・ガンディの後を継いでチームの指揮をとった。
このチームはゲイリー・ペイトン、アントワン・ウォーカー、アロンゾ・モーニングといったベテランが揃い、ヒートのスター選手たちを支えていた。
25. 2020年レイカーズ

成績:レギュラーシーズン52勝19敗、プレイオフ16勝5敗、SRS6.28
主な選手:レブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビス
これはNBA史上最も異例の年の一つだ。
コロナのパンデミック真っ只中の出来事で、レイカーズは無観客のバブル環境で優勝を果たした。レブロンとアンソニー・デイビスは圧倒的で、バトラー率いるヒートを4勝2敗で退けた。
デイビスはプレイオフ中ずっとショットが絶好調で、そのパフォーマンスは彼がこれまで再現できたことのないものだった。ラジョン・ロンドはベテランらしいゲームメイクを見せ、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープやアレックス・カルーソなどのロールプレイヤーたちも活躍を見せた。
原文:Ranking each of the last 25 NBA champions, from 2000 to 2024: Which teams were the most and least dominant?
抄訳:佐藤瑞紀(スポーティングニュース日本版)