現地時間12月15日、今オフにFAから契約した選手のうち、82名がトレード可能になり、リーグ全体の約90%の選手がトレード可能になる。これにより、NBAのトレード市場は一気に加熱するだろう。
この記事では、今シーズンのトレード市場で大きく動く可能性のある注目選手やチームについて紹介する。
■バックスとヤニス、その未来はどこへ向かうのか?
ミルウォーキー・バックスは今シーズンここまで11勝15敗と負け越し、イースタン・カンファレンス10位に低迷している。

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2020-21シーズン、ヤニス・アデトクンボを中心に念願のフランチャイズ初優勝を成し遂げたバックスは、以降もリーグ屈指のスーパースターであるヤニスとともに歩んできた。しかし直近3シーズンはいずれもプレーオフ1回戦で敗退。MVP級の選手を擁するチームとしては、不本意な結果が続いている。
そうした中、今オフにはチーム状況の悪化を受け、将来的な移籍要求の可能性も噂された。そこでフロントは、デイミアン・リラードの契約をストレッチ&ウェイブし、マイルズ・ターナーを新たに獲得。ヤニスを中心に、再び優勝を目指す姿勢を明確に打ち出した。
しかし、ここまでの状況を受け、ヤニスの去就を巡る議論は再び熱を帯び始めている。現地時間12月3日には、ヤニスとフロント陣が今後のチームの方向性について話し合いを行ったと報じられた。
Just in: Giannis Antetokounmpo and his agent Alex Saratsis have started conversations with the Milwaukee Bucks about the two-time NBA MVP's future – and discussing whether his best fit is staying or elsewhere, sources tell ESPN. A resolution is expected in the coming weeks. Pic.twitter.com/NfrpL2Ffvr
— Shams Charania (@ShamsCharania) December 3, 2025
この事実が意味するのは、即座にトレード要求がされたということではない。だが同時に、「ヤニスを中心にこのロスターで優勝を目指すのか」という根本的な問いが、球団とヤニスの間で議論されたことを示唆する。
トレードの噂は日に日に加熱しており、マイアミ・ヒート、ニューヨーク・ニックス、ゴールデンステイト・ウォリアーズ、サンアントニオ・スパーズなど、複数のチームの名前が候補として挙がっている。
League insiders believe Giannis Antetokounmpo might be willing to call Miami his next home, with a potential package of Tyler Herro, Kel’el Ware, and Jaime Jaquez Jr. Being sent out, per @sam_amick
— NBACentral (@TheDunkCentral) December 12, 2025
“The Miami Heat, for example, are often handicapped by league insiders as a… pic.twitter.com/Jb9oY0EQn4
今シーズンのトレード市場において、ヤニス・アデトクンボの去就が最大級の注目トピックであることは間違いない。
■トレード市場で問われるマーベリックスの再建構想
現地時間11月11日、ダラス・マーベリックスはGMのニコ・ハリソンを解雇した。昨シーズンに行われたルカ・ドンチッチとアンソニー・デイビスの大型トレードが結果的に誤算だったことを認め、責任をとる形となった。
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マーベリックスは新たなチーム体制のもと、再建に踏み出した。アンソニー・デイビス、クレイ・トンプソン、ディアンジェロ・ラッセル、ダニエル・ギャフォードといった主力選手について、トレードの可能性を含めて市場を探っていると報道されている。
最大のトピックはアンソニー・デイビスだ。依然としてリーグ屈指のインパクトを持つビッグマンであるADは、優勝を狙う複数のチームにとって魅力的なターゲットであり、ピストンズ、ホークス、ラプターズが獲得に動く見込みだと言われている。
It’s “by no means automatic” that the Mavs will trade Anthony Davis before the NBA trade deadline, per @TheSteinLine
— MFFL NATION (@NationMffl) December 12, 2025
“Yet sources with knowledge of Dallas' thinking insist that it will not just trade him in-season for the sake of it if the offers received are deemed to be… pic.twitter.com/F8k0eWdbcY
来年3月に33歳を迎えるデイビスは、最大で4年総額2億7500万ドル(約400億円超)の延長契約を結ぶ資格を持っている。もっとも、マーベリックスがシーズン中にアンソニー・デイビスを放出することが既定路線というわけではない。
フロントがこの延長契約を提示する意向があるかどうかが、シーズン中のトレードの可能性を大きく左右するポイントとなりそうだ。
クレイ・トンプソンもトレードの噂は尽きない。2024年7月にFAでマーベリックスへ加入したトンプソンは、当初ルカ・ドンチッチとカイリー・アービングというNBAファイナル出場デュオとプレーできることが移籍を決めた一因だった。しかしドンチッチの放出後、チームは勝率5割を下回る状況にあり、優勝争いを見据えていたトンプソンにとって、不本意な状況となっている。
Klay Thompson is looking to play for a contender if Dallas trades him, per @ShamsCharania pic.twitter.com/6mlE4vXH4q
— NBACentral (@TheDunkCentral) December 9, 2025
ルカ・ドンチッチのトレード以降、チーム状況が好転しているとは言い難いダラス・マーベリックスにとって、今シーズンのトレード市場は、ロスターの見直しと将来の資産確保を同時に進める重要な局面となる。
■今季NBAトレード市場は静観モード?ヤニスの去就が鍵を握る
マーベリックスとバックス以外にも、今シーズンのトレード市場には注目すべきチームが存在する。
例えばマイアミ・ヒートは、ヤニス・アデトクンボやアンソニー・デイビスといったビッグネームの動向をにらみながら、勝負に出るタイミングを慎重に測っている。
Giannis Antetokounmpo reportedly likes the Miami Heat as a landing spot if he can’t land in New York, per @HowardBeck
— NBACentral (@TheDunkCentral) December 11, 2025
“Again, in doing the Giannis story and talking to people around the league, Miami was suggested to me as a place Giannis would really love to land if it’s not… pic.twitter.com/yeGNh4kRHb
また、現状成績が振るわず、ロスター補強の可能性を模索しているクリーブランド・キャバリアーズや、再び再建に乗り出す可能性のあるサクラメント・キングスといったチームも、トレード市場に大物選手を送り出す可能性がある。
マーベリックスやバックス以外にも、今シーズンのトレード市場には複数の注目チームが存在する。だが、現時点で市場全体の空気を決定づけている存在は、やはりヤニス・アデトクンボだろう。
それでも今季のトレード市場を左右するのはヤニスだろう。ヤニスが実際にトレード市場へ出てくるのかどうか。その行方次第で、各球団の動き方は大きく変わる。
もしバックスが本格的に交渉に踏み切れば、スター獲得を狙うチームが一斉に動き出し、アンソニー・デイビスをはじめとする他のビッグネームの去就にも連鎖的な影響を及ぼすだろう。
一方で、ヤニスの去就が明確にならない状況が続く限り、多くのチームは大型トレードに踏み切る判断を保留し、市場全体は膠着状態に陥りやすい。
今季のNBAトレード市場は、明確な売り手と買い手が出そろわないまま、噂が交錯する展開となっている。各球団が動くための「決定打」を探り合う時間が、しばらく続きそうだ。
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