本サイトに掲載されているリンクから商品の購入やサービスの契約をされた場合、本サイトが収益を得ることがあります。

八村塁と河村勇輝の今季はどうだったのか? 日本人NBA選手たちの2024-2025シーズン総括

坂田彩音 Ayane Sakata

八村塁と河村勇輝の今季はどうだったのか? 日本人NBA選手たちの2024-2025シーズン総括 image

NBA Entertainment

2024-25年のNBAシーズンでは、2人の日本人選手がNBAでプレーした。ロサンゼルス・レイカーズに移籍してから3年目のシーズンを迎えた八村塁は、スタータとして定着しチームに欠かせない存在へと成長した。一方、国際大会での活躍が注目されNBAの世界へ飛び込んだ河村勇輝は、ツーウェイ契約を勝ち取り日本人史上4人目のNBAデビューを果たした。本記事では、それぞれ異なる立場で今季を戦った2人について、シーズンを総括する。

八村塁の今季はどうだった?

成績

レギュラーシーズン:59試合 平均31.7分 13.1得点 50.9 FG% 41.3 3P%

プレーオフ:平均36.4分 14.8得点 49.1 FG% 48.4 3P%

分析・評価

八村塁は今シーズン、ロサンゼルス・レイカーズに移籍してから3年目のシーズンを迎えた。59試合に出場したうち57試合では先発を務め、キャリアで最も多くのプレータイムを獲得した(昨季26.8分→31.7分)。昨シーズンは得点能力や3P%といったスタッツ面の成長が顕著だった八村だが、今季は数字には現れにくい、プレーの質の向上が目立った一年であった。

特筆すべきは、スリーポイントシュートである。今季は高い成功率(リーグ23位)を維持しつつ試投数は3.4本→4.2本へ増加。シーズン通して102本のスリーを決め、キャリアで初めての3桁に乗せた。スターターに定着したことで役割が広がり、スタープレイヤーたちの“間”を埋める潤滑油として攻撃のリズムを整える重要な役割を果たした。シーズン中にはルカ・ドンチッチのトレードによってチーム状況が大きく変化したものの、八村は安定したパフォーマンスで自身の持ち味を崩すことなくチームの歯車として貢献した。

また、ディフェンス面においても相手のキープレイヤーにマッチアップするなど、昨シーズンよりも大きな役割を任され、守備能力が向上した。そんな今季の八村の成長と信頼を象徴しているのが、シーズン中勝負所で多用されたスモールラインナップにおいて八村がセンター(5番)を任されていたことだ。サイズに加え、ペリメーターDFと高いシューティング精度を備えた八村の柔軟性が、チームの戦術の幅を大きく広げた。

今季、レイカーズはプレーオフ1回戦で惜しくもミネソタ・ティンバーウルブズに第5戦で敗退する結果となったが、八村塁はプレーオフにおいてもその万能性を発揮し、評価を上げた。平均得点、3P%ともにレギュラーシーズンを上回る結果を残し、第4戦と第5戦ではどちらも23得点、5本のスリーポイントを決め素晴らしい成績を残した。

総じて今季の八村塁は、攻守の両面でプレーの質を向上させ、スターターとして確固たる地位を築いた。シーズンを通じてトレードの噂は絶えなかったが、裏を返せばどのチームも欲しがる優秀なロールプレイヤーとしての評価を獲得したと言えるだろう。

来季以降の展望

レイカーズは2025年2月のルカ・ドンチッチのトレード以降、インサイドの戦力不足が露呈しておりオフシーズンにはインサイドの補強に動くと見られている。契約最終年を迎える八村塁はアセットとしての価値が高く、トレードが噂されており移籍の可能性がある。

これは決してネガティブな話ではなく、チーム環境の変化はさらなる飛躍のチャンスとも言える。来季以降の活躍はもちろん、活躍次第で新しい契約がどのような内容になるのかも非常に注目されるところだ。

▶楽天モバイル『最強プラン』ならどこよりも安くNBA全試合見放題

河村勇輝の今季はどうだった?

成績

NBAスタッツ:22試合 平均4.2分出場
ベストゲーム:28分出場・12得点・5アシスト・5リバウンド(4月14日 vs マーベリックス)

Gリーグスタッツ:31試合 平均12.7 得点, 8.4 アシスト

分析・評価

今季、メンフィス・グリズリーズとツーウェイ 契約を結んだ河村勇輝のNBA挑戦は、2024年10月25日、ヒューストン・ロケッツ戦から始まった。田臥勇太、渡邊雄太、八村塁以来、日本人として史上4人目のNBAプレイヤーとなり、現在のリーグで最も身長の低い選手としても注目を集めた。シーズン中はGリーグとNBAどちらの試合にも出場し、NBAでは22試合に出場した。ベストゲームは4月14日のダラス・マーベリックス戦で、シーズン最終戦に28分出場(自己最長)し、NBA公式にも取り上げられたスーパープレーを残すなど、印象的な活躍となった。

Gリーグでは31試合に出場し、得点とアシストにおいて4回のダブルダブルを達成するなど、海外で実力が通用することを証明したシーズンとなった。シーズンを通して高いパス能力と判断力を証明し、ハイライトに選ばれるほどの高難易度のアシストをいくつも決めた。

また、その謙虚な人柄と親しみやすいキャラクターで現地ファンの心を掴んだ。出場時には場内から歓声が上がるシーンも見られ、その愛されぶりはファンだけでなく、チームメイトの間にも広がっている。特にジャ・モラントとの“師弟関係”は注目を集め、モラントがSNSで河村勇輝について言及するなど、スーパースターとの交流も話題となった。

一方で、ディフェンス力やスリーポイント成功率(30.4%)は依然として課題であり、さらなるレベルアップが求められる。ただし、ツーウェイ契約の立場ながらもNBAで通用するプレーを見せつけた今季は、河村にとって確かな手応えを得たシーズンとなった。

河村の挑戦は、これまでの日本人NBA選手の流れとは異なり、日本バスケ界にとっても大きな意味を持つ。渡邊雄太や八村塁がアメリカの大学を経てNBA入りを果たしたのに対し、河村はこれまでのキャリアを全て国内でプレーし、BリーグからNBAへ挑戦した初めての選手である。小柄ながらもスピードと判断力を武器にツーウェイ契約でNBAにたどり着いた河村勇輝の存在は、国内の大学やBリーグでプレーする選手たちにとって、新たな道を切り拓く“希望”となっている。

 

来季以降の展望

河村勇輝のNBA挑戦1年目は、ツーウェイ契約という立場ながら、着実にアメリカでの実績を積み上げた充実のシーズンとなった。オフシーズンにはサマーリーグへの参加に加え、日本代表候補にも名前が挙がっており、アジアカップにも出場するかもしれない。これらの国際舞台でどれだけ存在感を発揮できるかが、NBA定着へのカギを握るだろう。

まとめ

2024-25シーズンは、八村塁と河村勇輝という2人の日本人選手がNBAの舞台で活躍した。渡邊雄太が拓いた海外大からNBA入りの実績、八村塁がドラフト1巡目指名から着実に成長を遂げた成功例、そして河村勇輝が国内リーグからの挑戦者として新たなルートを示したこと。それぞれが異なる軌跡をたどりながらも、日本人選手が世界の舞台で活躍する可能性を大きく広げている。

また、富永啓生がスリーポイントを武器にGリーグからNBAへ挑戦するなど、日本人選手の海外進出は着実に次のステージへと進んでいる。日本人選手のNBA挑戦とその活躍をリアルタイムで目の当たりにできる私たちは、まさに歴史の証人である。今後のさらなる成長と活躍に注目が集まる中、彼らがどのような歩みを見せるのか、引き続き大きな期待が寄せられている。

 

坂田彩音 Ayane Sakata

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。千葉県生まれの大学院生。バスケ部に所属していた中学生時代、テレビでNBAを見始めたことをきっかけにスポーツ観戦の魅力に引き込まれる。好きな選手はショーン・リビングストン。生涯にわたってスポーツに携わっていくことが目標。