モントレズ・ハレルが2019-20 NBAハッスル賞を受賞

Brian Martin/NBA Stats

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ロサンゼルス・クリッパーズのフォワード/センターであるモントレズ・ハレルが2019-20 NBAハッスル賞に選出された。同賞は、シーズンを通してエナジーと努力に溢れるプレイでチームに貢献した選手に与えられる。

ルースボールに飛び込んだり、チャージを奪うために身体を投げ出したり、ボックスアウトをしたり、良いスクリーンをかけたり、相手のパスを弾いたり、相手のシュートに詰めたりと、かつては数字にできない要素とされていたものも、今ではスタッツとして計測することが可能だ。一般的なボックススコアには登場しないが、チームの成功には必要不可欠なものとなっている。

2015年にNBA入りして以降、ハレルはまさにハッスルという言葉を体現してきた選手だ。周りに伝染するようなエナジーでプレイし続け、自身の力、運動能力、そして決意を持って対戦相手の一歩前に出る。201cm、109kgという体格は彼のポジションにしてはアンダーサイズと言われるが、彼はその批判をモチベーションにしているのだ。

Kia NBAシックスマン賞に選出された際に、ハレルは『Inside the NBA』に対して「今でも、自分が何ができないかと批判を耳にするので、それをモチベーションに変えている」と語った。

「僕はそういったことを燃料にしているのだけど、もしみんなまだ気付いていないのなら、そのまま燃料を投下し続けるといい。試合ではとにかく自分の出来る限りを尽くして、自分だけではなくチームメイトのベストを引き出そうという意識でいる。プレイでそれを語っている」。

(中略)

今季のハレルは平均得点(18.6)、平均リバウンド(7.1)、平均出場時間(27.8)でキャリア最多を記録している。しかし第4回NBAハッスル賞に選出された理由は、そういった一般的なボックススコアには記されない数字が理由だ。

こちらはレギュラーシーズン開幕から現地3月11日までのハレルの成績が反映されたスタッツだ。

ハッスルスタッツ1分平均順位
Deflections0.032213位
All Box Outs0.2084位
Box Out Team REB0.1193位
Box Out Player REB0.0427位
Offensive Box Outs0.01531位
Defensive Box Outs0.1931位
Charges Drawn0.0171位
Contested Shots0.44411位
Screen Assists0.11528位
PTS/Screen AST0.2728位
Loose Balls Recovered0.026166位

※1000分以上出場(対象228選手)。全てのハッスルスタッツは、出場時間に差がある選手たちを均等に評価するために1分平均で計測される。

CHARGES DRAWN(チャージを奪った回数)

ハレルがレギュラーシーズン(現地3月11日まで)で相手からチャージを奪ったのは30回で、トロント・ラプターズのカイル・ラウリーと並んでリーグトップ。1分平均で換算すると、ラウリーよりも出場時間が150分少ないハレルのほうが多いという計算になる。

チャージを奪うには、スキルと身を犠牲にする精神の組み合わせが必要で、決して全ての選手が持ち合わせているものではない。まずはチャージが取れる瞬間を見極め、先にそのポジションに移動し、ブロッキングファウルを取られるように制限区域の外であることを確認するといったことを、瞬時に行なうというスキルだ。

そして身を犠牲にするのは、実際に身体を使ってチャージを奪う必要があるということだ。ハレルやラウリーはそういった接触プレイを恐れるどころか好み、チームはその恩恵を受けている。

BOX OUTS / CONTESTED REBOUNDS(ボックスアウト/競った状態でのリバウンド)

2019-20シーズンでハレルはキャリア最多となる7.1リバウンドを記録しており、自身だけでなくチームメイトのリバウンドにも大きく貢献している。現地3月11日までの数字で、クリッパーズは平均リバウンド数(48.0)とリバウンド率(51.5%)でリーグ3位にランクインしている。

ハレルのリバウンドのうち49.4%が競った状態でのリバウンドで、現地3月11日までに通算300リバウンドを獲得した88選手のなかで、これは8位の数字だ。

1分平均でのボックスアウト数(0.208)ではリーグ4位、1分平均でのディフェンシブボックスアウト数(0.193)ではリーグ1位だった。ハレルのボックスアウトは自身だけでなく、チームメイトのリバウンドにも繋がっている。

ボックスアウトがリバウンドに繋がったかどうかを計測する数値で個人としては27位だったハレルだが、チームのリバウンドに繋がったかどうかを計測する数値では3位にランクインしている。ボックスアウトすることが自身よりもチームメイトのリバウンドに多く繋がっているという事実だけでも、彼がどれだけ利他的なハッスルプレイヤーであるかを証明している。

Montrezl Harrell

CONTESTED SHOTS / RIM PROTECTION(シュートチェック/リムプロテクション)

今季のハレルは、リーグ屈指のリムプロテクターとして名を上げた。現地3月11日までに、ハレルは平均1.14ブロックでリーグ21位にランクインしているが、ブロックせずとも相手のショットをチェックし軌道を変えさせることで、リム周りでの被FG成功率を51.4%に抑えているのだ。リム周りで250本以上のシュートチェックをした50選手のなかで、ハレルの被FG成功率は8番目に低かった。

しかしハレルの影響力はペイント内だけではない。コートをストレッチするビッグマン相手でも、スウィッチでついたガード相手でも、ハレルはペリメーターでも守れることを証明した。リングに正対した状態からのスポットアップポゼッションを100回以上守った216選手のなかで、ハレルの平均失点(0.70)とエフェクティブFG成功率(35.6%)は最も低い数値となっている。

BALL SCREENER(ボールスクリーナー)

シーズンを通して、ピック&ロールのボールハンドラーによるプレイの比率(22.6%)と平均得点(23.8)でクリッパーズはリーグ4位にランクインしている。これらのプレイでは、1ポゼッション平均0.92得点を記録しており、効率性はリーグ8位だ。

ハレルはクリッパーズのベストボールスクリーナーだっただけではなく、リーグ屈指の存在だった。1試合平均10スクリーン以上を記録している115選手のうち、ハレルのボールスクリーナーとしての1ポゼッション平均1.17得点は9位にランクインする。

ここ2シーズンで最優秀シックスマン賞に輝き、今季のトロフィーをハレルに渡す役を担ったチームメイトのルー・ウィリアムズに対して、ハレルは833回スクリーンをかけており、これはチームメイト間の数字としてリーグ6位の数字だ。この833回のスクリーンは、クリッパーズにとって1ポゼッション平均1.14得点を生み出している。ハレルのスクリーンは全てのチームメイトに対して効果的で、1ポゼッション平均1得点を下回ったのはランドリー・シャメットだけだった。

ボールハンドラースクリーナースクリーン数1ポゼッション平均得点
ルー・ウィリアムズモントレズ・ハレル8331.14
カワイ・レナードモントレズ・ハレル2991.28
ポール・ジョージモントレズ・ハレル1851.24
パトリック・ベバリーモントレズ・ハレル771.00
ランドリー・シャメットモントレズ・ハレル670.92
レジー・ジャクソンモントレズ・ハレル551.48

原文:Montrezl Harrell Wins 2019-20 NBA Hustle Award by Brian Martin/NBA Stats


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