ケビン・デュラントのトレード先候補は? 7チームをランク付け

小野春稀 Haruki Ono

Daniel Mader

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ケビン・デュラントの動向は、この夏NBAで最も注目されていることだ。

フェニックス・サンズで2シーズン過ごしたが、いずれも不本意な結果に終わった36歳のデュラントは、オフに移籍する可能性が高い。ブッカー、ビール、デュラントというビッグ3体制で失敗し、さらにドラフト資産も枯渇しているサンズは、未来に暗雲が立ち込めており、デュラントのトレードは、フランチャイズを立て直すための第一歩となることが予想される。

しかし、トレードの可能性が高いとはいえ、キャリアの終盤を迎えるデュラントに合うチームは多くない。デュラントは16年連続で1試合25得点以上をマークしていて、依然として正真正銘のスーパースターである。しかし、今日のNBAでスター選手を獲得するのは財政的に難しく、さらにタイトルを獲得するために彼の才能を現実的に利用できるチームは限られているため、デュラントの移籍先候補となるチームは驚くほどに少ない。

ESPNのシャムズ・シャラニア記者は最近、デュラントの獲得を狙うと予想される5チームを示した。

デュラントは、17年目のシーズンを終えても相変わらず安定しており、どのチームにもフロア全体から効率的なスコアリングを提供してくれるだろう。

NBAオフシーズンが本格化するにつれ、トレードの実現が大いに期待される中、デュラントの新天地に最適な7チームをランキング形式で紹介しよう。

ケビン・デュラントが移籍する可能性が高いチームのランキング

7位:メンフィス・グリズリーズ

グリズリーズは、先述の報道でシャラニアが挙げなかった、2チームのうちの1つだ。一方でシャラニアは 「ワイルドカードがサンズに電話をかけている」とも報じた。おそらくグリズリーズはそれらのワイルドカードの 1つである。

グリズリーズは歴史的に、大型取引をするタイプのチームではないが、現在のコアに強化を加える必要がある。2019-20年にジャ・モラントがグリズリーズの顔になって以来、チームは5シーズン中4シーズンでプレイオフに進出したが、第2ラウンドを突破することはできなかった。

グリズリーズは現在のロスターでも優勝争いに食い込む可能性はあるが、モラントとジャレン・ジャクソンJrに次ぐもう一人のスターが必要だ。財政的な点と、才能あるスコアラーと3ポイントシューターという点を考慮して、デズモンド・ベインが絡んだアセットが、デュラント獲得のカードとなるかもしれない。

グリズリーズがデュラントのトレードを試みるという報道はまだないが、ベテランスコアラーを加えることは、グリズリーズを2025-26年の タイトルコンテンダーに押し上げるために必要な動きかもしれない。

6位:オクラホマシティ・サンダー

サンダーは、シャラニアが言及していないもう1つのチームだ。現在NBAファイナルを戦っており、トレードに動く可能性はサンダーがペイサーズを破るかどうかにかかっている。

サンダーにはデュラントのトレードを成功させるだけの資産があるのは確かで、他の29チームがうらやむほどの若い才能とドラフト指名権を所有している。問題は、GMのサム・プレスティがデュラントに興味を示すかどうかだ。サンダーは外から選手を獲得するよりも選手の育成を優先しており、またデュラントが2016年に、サンダーをかなり後味悪く退団しているという重要な問題もある。

しかし、過去は過去として、双方が再結成に前向きであるならば、デュラントがシェイ・ギルジャス・アレクサンダーとともにサンダーで共闘することに興奮しないわけにはいかない。サンダーは、2人のオフェンシブスーパースターを、ジェイレン・ウィリアムズ、チェット・ホルムグレン、そして優秀なロールプレイヤーと組み合わせることができる。

2024-25年のトレード期限、ウォリアーズがデュラント獲得を打診したが、デュラントはウォリアーズへの復帰に興味を示さなかったという報道があった。ウォリアーズはその後、ジミー・バトラーにシフトし、彼との契約を延長した。この夏、デュラントと古巣との再会が実現する可能性はあるのだろうか?

5位:ニューヨーク・ニックス

デュラントとのトレードに興味を示しているチームとして、シャラニアのレポートには残り5チームが挙げられている。しかし、その5チームの中で、ニックスは最も可能性が低い。

最近、ヘッドコーチのトム・シボドーを解雇したニックスには、カンファレンス決勝に進出したばかりの選手がすでにいる。その中には、ジェイレン・ブランソンとカール・アンソニー・タウンズという2人のスター選手が含まれている。果たしてニックスは、財政的にもバスケットボールの面でも、デュラントを加えることができるのだろうか?

ブランソンとタウンズは、デュラントと同じく、かなりオフェンシブ選手だ。そして、ニックスの2025年のプレイオフでの成功の一部は、ブランソン、ジョシュ・ハート、ミケル・ブリッジズらのビラノバケミストリーから生まれたことは間違いない。ブリッジスとタウンズを獲得するために大きな資産を手放した後すぐに、それを壊すような動きは賢明ではないだろう。

デュラントのトレードでは、ニックスはおそらくOG・アヌノビーまたはブリッジズ、最高のウィングディフェンダーを手放す必要がある。ニックスとデュラントにまつわる報道があったため、ニックスはこのリストの5位に含まれているが、もしデュラントを獲得するなら、ニックスは2025年に成功したディフェンシブでチーム一丸で闘うというアイデンティティを捨てることになるだろう。

4位:マイアミ・ヒート

ヒートがデュラント獲得に興味を示すのは当然だ。彼らは今、イースタンカンファレンスで戦うには十分なロスターを擁しているが、ジミー・バトラーに別れを告げた後、彼らをエリートチームに引き上げてくれるスーパースターがいないという状況にある。ヒートはデュラント獲得に乗り出すかもしれないが、それが彼らの悩みを解決する答えになるとは限らない。

ヒートはすでにリーグでも年長のチームの一つであり、ケレル・ウェアと二コラ・ヨビッチ以外に優れた若い才能を所有していない。もしかしたら、デュラントは2025-26シーズンのマイアミの躍進を助けるかもしれないが、その先の未来を考えるとあまりいい選択肢と言い切ることはできない。

もう1つの問題は、デュラントがチャンピオンチームのベストプレーヤーではなくなっている可能性が高いことだ。彼は確かにタイラー・ヒーローよりも優れたスコアラーであり、バム・アデバヨもディフェンシブな選手である。36歳のデュラントでは、大きな期待を背負ってヒートの明確なリーダーになるという挑戦は、あまりにも無理があるかもしれない。

とはいえ、ヒートはバトラーに代わるスターウィングを必要としている。もしかしたら、デュラントが適任かもしれない。タイムライン的には、契約延長を望むであろうデュラントにとってマイアミは完璧なフィットではないが、パット・ライリーが2025-26シーズンに勝負をかけるのであれば、デュラントの加入はヒートを助けるだろう。

3位:サンアントニオ・スパーズ

デュラントがタイムラインに合わないという点では、スパーズはヒートの対極にある。ヒートは現時点ではデュラントにとって年長すぎるチームかもしれないが、スパーズはデュラントを迎えるには若すぎるかもしれない。

もちろん、ビクター・ウェンバンヤマとケビン・デュラントのデュオは、スパーズがこのトレードを行う理由であり、彼らが興味を示していると伝えられている理由でもある。デュラントが引退する前に、ウェンバンヤマに何を教えられるかを考えると恐ろしい。しかし、スパーズはまだ若いチームであり、プレイオフ進出はおろか、タイトルを狙う準備が整っていることを証明するには至っていない。

スパーズが最後にプレイオフに進出したのは2019年。ディアロン・フォックス、ステフォン・キャッスル、ウェンバンヤマ、デュラントというコアで、彼らはタイトルを争うことを期待されるだろう。しかし、フォックスとの契約以外では、スター選手のトレードをめったに行わないフランチャイズでもあり、往年のスーパースターが、発展途上の若いチームに加わることで生まれる、成長痛に対処しなければならないだろう。

スパーズは今年の全体2位指名権を所有しているため、このオフシーズンにはトレードに大きく動くことができる。デュラントを獲得すれば、ウェンバンヤマとのオールタイム・デュオが実現し、圧倒的なバスケットボールができるだろうが、スパーズのタイムラインを早めることになり、チームはその準備ができていないかもしれない。

2位:ミネソタ・ティンバーウルブズ

このリストの上位2チームはどちらもデュラントに興味を示していると報道されており、今シーズンプレイオフに進出し、才能があり、コーチングが行き届いていて、すでに若いスター選手が揃っている。キャリアが終わりに近づいているデュラントにとって、これらの条件はすべて理想的なものであり、ティンバーウルブズはぴったりのチームだろう。

デュラントは、彼が過去に高く評価していたアンソニー・エドワーズがスターに成長しているため、必ずしも彼が得点の1stオプションである必要はないだろう。だがトレードは、おそらくジュリアス・ランドルを何らかの形で含める必要があり、それは難しいかもしれない。

デュラントのトレードは、エドワーズが全盛期にティンバーウルブズが全力を尽くすという意志の表れだろう。ルディ ・ ゴベアやジェイデン ・ マクダニエルズのような守備のピースはすでに揃っていて、デュラントのようなエリートスコアラーは、来シーズンのファイナル進出のラストピースになるはずだ。

このリストの1位のチームとは対照的に、ウルブズが抱えている問題は、トレードを実施するための柔軟性である。ウルブズは、Basketball Referenceによると、2024-25年のチームサラリーが2番目に高かった。ランドルとナズ・リードは選手オプションであり、ニキール・アレクサンダー ・ ウォーカーは無制限フリー エージェントとなる。これらの契約状況がウルブズのデュラント獲得の前に立ちはだかる可能性は大いにある。

1位:ヒューストン・ロケッツ

ロケッツは基本的にデュラント獲得におけるすべての条件を満たしている。

アルペレン・シェングン、ジェイレン・グリーン、そしてアメン・トンプソンという若手のコアは揃っている。フレッド・ヴァンブリートとディロン・ブルックスはプレイオフの経験が豊富なベテランだ。そしてイメ・ウドカはコーチ・オブ・ザ・イヤーのファイナリストにもなった名将だ。チームとしても強豪ひしめくウェストで第2シードを獲得し、プレイオフではウォリアーズをGame7まで追い詰めた。

実際の取引のことを考えても、ロケッツは理にかなった選択肢だ。トレード資産となりうる若いタレント(リード・シェパード、キャム・ウィットモア、ジャバリ・スミス・Jr)がいて、今年のNBAドラフト全体10位指名権を筆頭に、多くの指名権を保持している。

デュラントがロケッツに加入することは、双方にとってフィットするだろう。ロケッツは、プレイオフで決定的な活躍ができる実績のあるスーパースターを必要としている。デュラントは、40歳に近づいてもなお、勝つことができて、自分自身もスコアラーとして活躍できる、才能豊かなチームを必要としている。

また、デュラントは輝かしい大学生活を過ごしたテキサスに戻ることにも興味があるのかもしれない。ロケッツがヤニス・アンテトクンポに興味を持っていることが、それを阻む数少ない要因のひとつだが、デュラントとロケッツの契約は、理論上では理想的だ。

原文:Kevin Durant landing spots: Rockets, Timberwolves among 7 best trade fits for Suns superstar

抄訳:小野春稀(スポーティングニュース日本版)

小野春稀 Haruki Ono

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。大学生。元はスポーティングニュースのNBAニュースを毎日楽しみにしていた読者であったが、今では縁あってライターとして活動している。小学生の時にカイリー・アービングのドリブルに魅了されNBAの虜に。その影響で中高6年間はバスケに熱中した。主にNBAの記事を執筆している。

Daniel Mader

Daniel Mader is a Content Producer for The Sporting News. He joined SN in 2024 as an editorial intern following graduation from Penn State University. He has previously written for Sports Illustrated, NBC Sports, the Centre Daily Times, the Pittsburgh Post-Gazette, The Daily Collegian and LancasterOnline. Daniel grew up in Lancaster, Penn., with a love for baseball that’ll never fade, but could also talk basketball or football for days.