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【NBAトレード評価】ケビン・デュラントの移籍をめぐるロケッツとサンズのトレードをどう見る

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

【NBAトレード評価】ケビン・デュラントの移籍をめぐるロケッツとサンズのトレードをどう見る image

2025年のNBAチャンピオンが決まる直前に、フェニックス・サンズとヒューストン・ロケッツのトレードが話題となった。ケビン・デュラントのロケッツ移籍という、以前から注目されていたトレードがまとまったという。

デュラントが加わるロケッツは、2024-2025シーズンのレギュラーシーズンでウェスタン・カンファレンスの2位だった。そして主軸の大半をとどめることができている。ロケッツに対する期待は大きくなるだろう。デュラント獲得は頂点に立つのに十分だろうか。そして、サンズは十分な見返りを得られたのだろうか。

ここでは、両チームの評価をまとめる。

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ケビン・デュラントのトレード内容

ロケッツ獲得:

  • ケビン・デュラント

サンズ獲得:

  • ジェイレン・グリーン
  • ディロン・ブルックス
  • 2025年のドラフト1巡目指名権(全体10位)
  • ドラフト2巡目指名権5つ

ロケッツの評価

2024-25シーズンのレギュラーシーズンでロケッツは素晴らしかった。リーグ5位の守備を武器に52勝をあげている。

ただ、攻撃に関しては別だった。レギュラーシーズンでは全体12位と月並みで、ハーフコートオフェンスは22位。ショットクロックの終盤になり、厳しいショットを打たなければいけない場面が多かった。ゴールデンステイト・ウォリアーズに敗れたプレイオフ・ファーストラウンドでも、ショットクリエイトの欠如は目立っていた。

その点で、デュラントはロケッツに見事に合うだろう。アイソレーションからのスコアラーとしてリーグ最高級であることは変わらない。いつでもまずまずのショットを打つことができる。1試合平均26.6得点はリーグ7位の数字だ。

MVPを受賞していたころから衰えているのは確かだ。しかし、それでも素晴らしい選手であることは変わらない。今季も15回目のオールスター選出を果たしており、あと数試合に出場して受賞条件を満たしていれば、12回目のオールNBAチーム選出も達成していただろう。

ただ、まさにそれこそが、デュラントが抱える問題のひとつとなる。キャリア序盤は比較的健康だったデュラントだが、2019年にアキレス腱を断裂して以降は、1シーズン平均で出場54.8試合にとどまっているのだ。また、全盛期ほどの守備ではなくなっている。

デュラントは契約最終年を迎えるところで、年俸は5470万ドル(約79億8620万円/1ドル=146円換算)。新たな大型契約を狙うだろう。『ESPN』のボビー・マークス記者によると、2年1億2200万ドル(約178億1200万円)の延長契約を結ぶことができる。これは今後問題となるかもしれない。

しかし、そういった懸念があっても、今回の取引はロケッツにとって断るの難しい条件だった。

ジェイレン・グリーンはプレイオフで良い出来になかった。デュラントのほうが信頼できるスコアラーなのは確かだ。ディロン・ブルックスはチームの文化を変えたが、ロケッツには代わりとなる若手選手たちがいる。また、ドラフト全体10位指名権は貴重だが、ロケッツはすでに層が厚く、若手が多い。全員の出場時間を見つけるの苦労しているほどだ。

このトレードを踏まえても、ロケッツはまだオクラホマシティ・サンダーに及ばないだろう。だが、チームをアップグレードし続けていく上で、ドラフト1巡目指名権はたくさん保有している。ドラフト指名権の大半を手にしつつ、向上できるとあれば、文句のつけようはないだろう。

評価:A-

サンズの評価

特にデュラント獲得のためにサンズが2023年に多くを手放さなければならなかったことを考えれば、今回の取引は十分な見返りに見えないだろう。当時、サンズはミケル・ブリッジズ、キャメロン・ジョンソン、ジェイ・クラウダー、保護条件なしドラフト1巡目指名権4つ(2023年、25年、27年、29年)、ドラフト指名権交換権(2028年)を手放した。

それが、デュラント放出の見返りに得られるドラフト1巡目指名権がひとつだけなのだから厳しい。だが、これがベストのオファーだったのだ。デュラントは良い選手だが、契約最終年となる37歳となれば、市場における評価は厳しくなる。

ただ少なくとも、現在のチームを続けるより、デュラントを放出すると決断したことに関して、サンズは評価されるべきだろう。前者を選んでいたら、どうしようもなくなっていたはずだ。来季はさらに悪くなっていたに違いない。今のロスターはあまり理にかなっていないのだ。

サンズが強く必要としているのは、デビン・ブッカーと組ませるハイレベルな若手有望株。ドラフト全体10位指名権で、良い選手を得ることができるだろう。

そして、サンズはこの取引でまずまずのベテランたちを手に入れる。グリーンは評価が分かれる選手だが、得点をあげられる。ブルックスは、守備の競争力が十分でなかったサンズが強く必要としていたタフなディフェンスをもたらす。

5つのドラフト2巡目指名権も悪くない。ただ、これらの指名権の価値は、ここ数シーズンでかなり落ち込んだ。NIL(Name, Image and Likeness=名前、イメージ及び肖像)の影響で、2巡目で指名されるような優れた有望株がドラフトにエントリーしなくなってきたからだ。

ただ、デュラントとブラッドリー・ビールを獲得するためのトレードで生じた穴からサンズが抜け出す上で、今回の取引は良い第一歩となる。それは忍耐が求められる長いプロセスとなるだろう。

評価:B-

原文:Kevin Durant trade grades: Rockets land a No. 1 scorer, Suns get younger with Jalen Green(抄訳)
翻訳:坂東実藍


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Stephen Noh

Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

坂東実藍 Miran Bando

フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。