メンフィス・グリズリーズがNBAの今オフシーズンで最初の大きなトレードに踏み切った。
6月15日(日本時間16日)、グリズリーズがオーランド・マジックとのトレードで、デズモンド・ベインと引き換えにケンテイビアス・コールドウェル・ポープとコール・アンソニー、4つのドラフト1巡目指名権、ドラフト1巡目指名権交換権を獲得した。
グリズリーズが生え抜きのスター選手を手放すことは予想されていなかったため、リーグを驚かせるトレードだ。ただ、その価値はあるかもしれない。
ここでは、今トレードのグリズリーズの評価をまとめる。
ベイン放出はグリズリーズにとって痛手となるだろう。それは疑いない。ここ数シーズンのグリズリーズでベインが最も安定していたベストプレイヤーだったことは議論の余地がないだろう。ジャ・モラントが多くの試合で不在だった中で、ベインはグリズリーズの攻撃を支えてきた。
だがおそらく、モラント、ベイン、そしてジャレン・ジャクソンJr.のトリオでチームをNBA優勝に導くことはできないと言えるだろう。だからこそ、このマジックとのトレードのオファーが舞い込んできた時に、グリズリーズは「イエス」と言うしかなかったのだ。ここ3シーズンのベインは平均出場が57試合に満たず、この点で放出の痛手は和らげられる。
グリズリーズはコール・アンソニーという堅実な若手と、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープという優勝実績のあるベテランを獲得した。彼らはグリズリーズが主力のひとりを失っても競争力を保つのに役立つだろう。だが、今回のトレードで重要なのはドラフト指名権だ。
トレードに含まれた指名権は、ことしの全体16位指名権、2026年のフェニックス・サンズ経由の1巡目指名権(貴重なものとなる可能性)、そして2028年と2030年の保護条件なし1巡目指名権だ。さらにグリズリーズは2029年の軽い保護条件つきのドラフト指名権交換権も獲得した。
これだけのドラフト指名権とあれば、ベイン放出の価値は十分だ。いずれにしてもグリズリーズはこの主軸でプレイオフを勝ち進んでいくことができなかった。大きく動く必要があったのだ。そしてそれを実現するのに、大量の保護条件なしドラフト指名権以上に良い手はないだろう。
これらのドラフト指名権は、今後のグリズリーズの選択肢を増やすことになる。すでに若いチームをさらに成長させ、競争力を保ちながら将来に向けて築いていくのが第一だ。一方で、モラントや、場合によってはジャクソンJr.もトレードし、さらなる資産を獲得して、完全な再建にかじを切ることもできる。あるいは、これらのドラフト指名権をトレードに使い、先発レベルやスター選手をもっと獲得し、モラントとジャクソンJr.を中心と築いていく方法もあるだろう。
いずれにしても、ポイントは、これらのドラフト指名権があることで選択肢を持てるということだ。
だからこそ、今トレードのグリズリーズの評価はA-となる。ベストプレイヤーのひとりを失うのは、いつだってつらいものだ。しかし、球団を支えるようなレベルの選手でなく、マジックが提示したような見返りを得られるなら、大きな勝利となる。グリズリーズは一定の戦力と引き換えに、将来の柔軟性と有望なドラフト資産を手に入れたのだ。
原文:Grizzlies trade grade: Instant reaction to Memphis’ enormous Desmond Bane trade haul(抄訳)
翻訳:坂東実藍
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