前任者を解任してから24時間と経たぬうちに、ミルウォーキー・バックスは新たな指揮官を選んだようだ。
複数の 報道 によると、バックスはドック・リバースと次期ヘッドコーチ就任で合意したという。『ESPN』のアナリストを務めていたリバースだが、短期間でNBAのベンチに戻ることとなる。
2022-2023シーズンでフィラデルフィア・76ersを率いたリバースは、開幕から43試合で30勝13敗という成績のバックスを引き継ぐ。
ここでは、バックスがすぐにリバース招へいを決断した理由をまとめる。
なぜバックスはドック・リバースをヘッドコーチに?
シンプルに言えば、指導経験や勝者としての歴史から、リバースが候補となるコーチの中で際立った存在だったからだ。
エイドリアン・グリフィン前HCの解任直後、『TNT』の クリス・ヘインズ記者 は、バックスが後任としてリバースを招へいすることを「強く検討」すると報じた。その後、ESPNの エイドリアン・ウォジナロウスキー記者 も、バックスは「招へい可能で実績のあるベテランヘッドコーチたち」を優先と伝えている。
シーズン途中での指揮官交代とあり、実績あるベテランという条件を満たし、かつ招へい可能なヘッドコーチというのは極めて限られていた。
1999年に初めてヘッドコーチになって以降、リバースはNBAのすべてのシーズンで指揮を執ってきた。ヘッドコーチとしての24シーズンで、リバースは年間最優秀コーチ賞を受賞し、2008年にNBA優勝、2010年にイースタン・カンファレンス・ファイナル進出を成し遂げている。NBA史上最も偉大なコーチ15人のひとりにも選ばれた。
ウォジナロウスキー記者 が『SportsCenter』で伝えたように、優勝経験のあるコーチとしての実績や、東地区で競争相手となるチームをよく知っていることから、リバースが候補リストのトップにあがったのだ。
76ersでの3シーズンで、リバースは154勝82敗という成績を残した。だが、毎年カンファレンス・セミファイナルで敗退している。2021年以来の優勝を目指すバックスで、リバースは近年の東地区を学んできたことを生かして貢献できる。
『The Athletic』の シャムズ・シャラニア記者 によると、リバースは12月に「バックスの依頼で非公式にグリフィンの相談役を務め始めた」という。そしてグリフィン解任後、球団内では「重要なステークホルダーたちが望む選択肢」として、すぐにリバースの存在が際立ったとのことだ。
ドック・リバースの指導実績
リバースはNBAのヘッドコーチとして25シーズン目に臨むこととなる。通算1000勝を達成している歴代10人のひとりで、あと2勝すればラリー・ブラウンを上回る。
| シーズン | チーム | レギュラーシーズン成績 | プレイオフ成績 |
| 1999-00 | マジック | 41勝41敗 | — |
| 2000-01 | マジック | 43勝39敗 | 1勝3敗 |
| 2001-02 | マジック | 44勝38敗 | 1勝3敗 |
| 2002-03 | マジック | 42勝40敗 | 3勝4敗 |
| 2003-04 | マジック | 1勝10敗 | — |
| 2004-05 | セルティックス | 45勝37敗 | 3勝4敗 |
| 2005-06 | セルティックス | 33勝49敗 | — |
| 2006-07 | セルティックス | 24勝58敗 | — |
| 2007-08 | セルティックス | 66勝16敗 | 16勝10敗 |
| 2008-09 | セルティックス | 62勝20敗 | 7勝7敗 |
| 2009-10 | セルティックス | 50勝32敗 | 15勝9敗 |
| 2010-11 | セルティックス | 56勝26敗 | 5勝4敗 |
| 2011-12 | セルティックス | 39勝27敗 | 11勝9敗 |
| 2012-13 | セルティックス | 41勝40敗 | 2勝4敗 |
| 2013-14 | クリッパーズ | 57勝25敗 | 6勝7敗 |
| 2014-15 | クリッパーズ | 56勝26敗 | 7勝7敗 |
| 2015-16 | クリッパーズ | 53勝29敗 | 2勝4敗 |
| 2016-17 | クリッパーズ | 51勝31敗 | 3勝4敗 |
| 2017-18 | クリッパーズ | 42勝40敗 | — |
| 2018-19 | クリッパーズ | 48勝34敗 | 2勝4敗 |
| 2019-20 | クリッパーズ | 49勝23敗 | 7勝6敗 |
| 2020-21 | 76ers | 49勝23敗 | 7勝5敗 |
| 2021-22 | 76ers | 51勝31敗 | 6勝6敗 |
| 2022-23 | 76ers | 54勝28敗 | 7勝4敗 |
| 通算 | 1097勝763敗 | 111勝104敗 |
原文:Why did the Bucks hire Doc Rivers? Experience, championship pedigree lead to Milwaukee's quick decision (抄訳)
翻訳:坂東実藍

