NBAオールスター選出3回のガードが、ロサンゼルスへ向かう。
『ESPN』のシャムズ・シャラニア記者は7月17日(現地16日)、ブラッドリー・ビールがフェニックス・サンズとの契約のバイアウトで合意したと報じた。ウェイバー期間終了後にビールはロサンゼルス・クリッパーズと契約するという。
なぜ、32歳のビールはサンズ退団とクリッパーズ移籍を決めたのか。
なぜブラッドリー・ビールはクリッパーズと契約?
サンズ退団がうわさになってから、ビールはクリッパーズ移籍がささやかれてきた。
今オフシーズンのクリッパーズは大きく動いている。ジョン・コリンズ、ブルック・ロペスを獲得し、フロントコートを強化した。コリンズ獲得の三角トレードの一環で、クリッパーズはノーマン・パウエルをマイアミ・ヒートに放出しており、ビールはその代役としての加入になる。
2024-2025シーズンのクリッパーズは、50勝32敗でウェスタン・カンファレンスの第5シードを獲得。だが、プレイオフはデンバー・ナゲッツに第7戦で敗れ、ファーストラウンドで姿を消した。
ビールはコリンズ、ジェームズ・ハーデン、カワイ・レナード、イビツァ・ズバッツとともにスターティングラインナップ入りすると見られる。
なぜサンズはブラッドリー・ビールを放出したのか?
異なる方向に進むためだ。ビールはサンズとフィットしなかった。
サンズは2023年、6選手と二桁超のドラフト指名権が絡んだ三角トレードでビールを獲得した。
1年目のビールは53試合に出場にとどまったが、平均19.6得点、4.7リバウンド、5.4アシスト、フィールドゴール成功率51.3%、3ポイントショット成功率43.0%を記録。チームは49勝をあげた。だが、西地区第6シードで臨んだプレイオフでは、ファーストラウンドでスウィープ(4勝0敗)されている。
サンズはビールの契約のためにロスター強化に動けなかった。2024-2025シーズンのビールの年俸は5020万ドル(約74億2960万円/1ドル=148円換算)。そこにデビン・ブッカーとケビン・デュラントの年俸も加わり、サンズはこの3選手だけで1億5000万ドル(約222億円)超を支払わなければならず、柔軟性がなかったのだ。
高額年俸に加え、ビールの契約にはトレード拒否条項も含まれていた。どんな取引でも、自分が関わっていたら、選手が拒否できるものだ。
今回の決定で、サンズは毎年の支払いを抑えつつ、より長期にわたってビールに支払っていくことで、当面の柔軟性を増すことができる。ミルウォーキー・バックスがデイミアン・リラードをウェイブ(保有権放棄)したのと同様だ。
サンズはこの夏、史上初の7チーム間トレードでデュラントを放出。ブッカーはフランチャイズプレイヤーとしてとどまるが、チームは若返りを図り、今後の再編成に柔軟性を増していこうとしている。
ブラッドリー・ビールの契約
シャラニア記者によると、ビールはクリッパーズと2年1100万ドル(約16億2800万円)の契約を結ぶという。
ビールは2年で1億1000万ドル(約162億8000万円)を得ることになっていたが、具体的な金額は不明ながら、バイアウトによって一部を放棄するかたちとなる。
シーズン | 年齢 | 年俸 |
2025-26 | 32 | 5366万6270ドル |
2026-27 | 33 | 5712万8610 ドル(プレイヤーオプション) |
サンズのサラリーキャップ
ビールとの合意により、サンズはロスターに2つの空きを得る。すでにルーキーの2選手と本契約を、コービー・ブレイアとは2ウェイ契約を結んだ。
Gerald Bouguet記者によると、バイアウトの内容次第で、サンズはファーストエプロン(※エプロンは例外条項などの制限を決定する基準額)を下回り、ミッドレベル例外条項でFA選手を獲得できる可能性があるという。
ミッドレベル例外条項の規定はこちらを参照。
原文:Why did Bradley Beal sign with Clippers? How contract buyout with Suns led star to Los Angeles(抄訳)
翻訳:坂東実藍