ゴンザガ大学の監督としてシーズンを終えたマーク・フューは、オフシーズンの家族旅行をハワイで過ごす。砂浜、太陽、波、そして現地時間午後2時から始まるNBAプレイオフ。
「試合中は大声で叫んでいるんだ」とフューは笑いながら私に言った。
フューには、このカンファレンス・ファイナルで応援したい選手がたくさんいる。ペイサーズのガード、アンドリュー・ネムハードはゴンザガ大学で彼の下でプレーし、サンダーのビッグマン、チェット・ホルムグレンもそうだった。他にも、ジェイレン・ブランソン、タイリース・ハリバートン、ジョシュ・ハート、ミカル・ブリッジスなど、夏にUSAバスケットボールのアシスタントコーチを務めたことで縁のある選手もいる。
そのチームUSAの選手の中でフューと最も多くプレーしているのがアンソニー・エドワーズだ。彼とフューは過去2年の夏、合計87日間を共に過ごし、パリ五輪では金メダルを獲得した。
エドワーズについてフューは、「彼は信じられないほど陽気な精神の持ち主だ、それはチーム内でも伝染する。それを見て、感じることができる。彼は唯一無二の存在だ」と語った。
カンファレンス・ファイナルでのウルブズの状況は、第3戦でサンダーに143-101で圧勝し、シリーズを2勝1敗に戻すまでは暗澹たるものだった。この試合でエドワーズは、シュート17本中12本成功の30得点を挙げ、見事な活躍を見せた。
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エドワーズは昨シーズンよりも完成された選手であり、オリンピックでのフューらとの経験が、今の彼を作り上げている。

パリ五輪での経験がアンソニー・エドワーズを成長させる
エドワーズは、パリ五輪のUSAバスケットボールチームの最年少選手だった。そのチームには伝説的な選手たちが名を連ねており、エドワーズは常に彼らから学んでいた。特にレブロン・ジェームズ、ステフィン・カリー、ケビン・デュラント(特にデュラントは彼の幼少時代のヒーローである)を尊敬していたことは意外と知られていない。
エドワーズは、この3人の試合前のルーティンを自分のプレーに取り入れたことを明かしている。また、オリンピックのコーチングスタッフからヒントを得たことも、カンファレンス・ファイナルの第2戦と第3戦で役に立った。
「ハーフコートを超えてから速い展開に持ち込むよう、いつも彼に言っていたんだ」とフューは語った。「もし彼が4対3や3対2に持ち込めば、止めるのは不可能だ。サンダーとの2試合でも彼はそれをやって見せて、大きな違いを生み出したよね」
またフューをはじめとするコーチングスタッフは、エドワーズにオフボールディフェンスをもっとうまくやらせようとした。
「彼は天性のオンボール・ディフェンダーだ。特に集中しているときの彼のボールハンドラーに対するディフェンスはクレイジーだよ」とフューは言い、エドワーズがオフボールのスキルを磨くのに大学では1年しか時間がなかったことを指摘した。
エドワーズはリーグに入ったばかりの頃は、ヘルプの責任をよく理解しておらず、ヘルプ・ディフェンスにおいて未熟な選手だった。彼はオリンピックを通じて理解を深め、それがプレイオフで発揮されている。
「彼はオフボールやギャップに気を配るようになり、良いプレーをするようになった。オフボールのディフェンスについては、特に彼に重点的に指導していたものなんだ」
A key gameplan tweak that contributed to the Wolves big start to Game 3 was Anthony Edwards' gap help presence when Shai Gilgeous-Alexander had the ball.
— Dane Moore (@DaneMooreNBA) May 25, 2025
Ant brought the gap help on SGA that he is used to seeing himself. pic.twitter.com/nCG4x2YE43
エドワーズが指導を必要としなかったのは、1対1での得点力である。彼とアメリカ代表のチームメイトたちは、ほとんど毎回の練習後に1対1をプレイしていたそうだ。
「かなり拮抗していたよ。アントがトラッシュトークすると、みんなも盛り上がるんだ」とフューは笑って言った。
Anthony Edwards incredible driving reverse layup, wow pic.twitter.com/i8tzegylpO
— Timberwolves Clips (@WolvesClips) May 25, 2025
「彼は毎年飛躍している。カットがうまくなった。パスも良くなっている。ディフェンス面でも素晴らしい」
エドワーズはチームのメディアデーで彼が言ったように、カリーから多くのことを吸収した。
「ボールを持たずにプレーすること、例えばカットしたり、スペースを空けるようにすることで、簡単にシュートが打てるんだ。ステフから一番学んだよ」
エドワーズは第3戦で、この夏スティーブ・カーがカリーに使ったお馴染みのセットプレイで、自らオープンになって3Pを狙うというプレーを見せた。
Folks have asked for Anthony Edwards to be involved off ball and in movement an I love that Minnesota's answer was just to run Floppy for Anthony Edwards. Leads to a 3. pic.twitter.com/1NFmRuku4z
— Steve Jones Jr. (@stevejones20) May 25, 2025
この物語を通して一貫しているのは、エドワーズの姿勢である。エドワーズと知り合ってから、フューが最も感銘を受けたのはこの点だった。
「彼は本当に、楽しくて前向きな精神を持った素晴らしい男だ。この時代では希少な類の選手だと思う。彼に関わることができる、NBAに彼が居るというのは本当に素晴らしいことなんだ」
原文:Anthony Edwards is using lessons learned from Kevin Durant, Stephen Curry, LeBron James during Paris Olympics
抄訳:小野春稀(スポーティングニュース日本版)