山本由伸が2001年カート・シリング以来のポストシーズン2戦連続完投の快挙

David Suggs

佐藤瑞紀 Mizuki Sato

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Jiji Press

ロサンゼルス・ドジャースがNPBから山本由伸を獲得したとき、その莫大な契約金に対して、多くの野球評論家たちが首をかしげたのは当然のことだった。どんな契約にもリスクはある。ましてや、まだMLBで1球も投げていない選手に数億ドルを投じるとなれば、前例のない決断だった。

しかし、MLB2年目を迎えた今、彼はそのすべての価値を証明してみせている。

レギュラーシーズンでは、山本はMLB屈指の投手の1人として君臨し、48試合の先発で防御率2.66という圧倒的な数字を残している。

だが、彼が真に輝くのはポストシーズンだった。ドジャースのエースとして、短期決戦でこそ真価を発揮する“ビッグゲーム・ピッチャー”として急速に地位を確立した。その象徴的な瞬間が、まさに今季のポストシーズンである。

山本はワールドシリーズ第2戦でトロント・ブルージェイズを相手に、5-1での勝利を導く圧巻のピッチングを披露。この試合で彼は今ポストシーズン2度目の完投勝利を記録した。

ここでは、山本の近年のポストシーズンでのパフォーマンスが、メジャーの歴史的な名投手たちとどう並ぶのかをまとめた。

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山本由伸 2025年ポストシーズンのスタッツ

試合勝利防御率投球回奪三振WHIP
4311.5728.2260.73

山本はWS第2戦に臨む時点で、2025年のポストシーズンで計19.2イニングを投げ、防御率1.83という驚異的な数字を記録していた。そしてこの日も、その伝説に新たな1ページを加えた。9イニングを投げ抜き、わずか1失点。8つの三振を奪う圧巻の完投劇だった。

試合中、山本は12人連続で打者を打ち取る完璧なピッチングを披露し、試合が進むにつれて相手先発ケビン・ガウズマンを圧倒した。

彼は序盤から多彩な球種を巧みに操り、特に威力抜群のフォーシームを多用して、トロント打線のバットを鈍らせた。さらに、世界トップクラスと称されるスプリットをはじめとする変化球も冴えわたり、アメリカン・リーグ屈指の強打者たちから次々と凡打を引き出していった。

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山本由伸のポストシーズン最高の瞬間

山本はここまでのポストシーズンで、すでにいくつもの華々しいハイライトを残している。中でも圧巻だったのが、チャンピオンシップシリーズ(NLCS)でのミルウォーキー・ブルワーズ戦だ。わずか3安打に抑える完投勝利を挙げ、近年でも屈指のポストシーズン投球を披露した。

この快投により、山本は2017年のジャスティン・バーランダー以来となる「ポストシーズンでの完投」を達成した投手となった。

そして今回の登板も、近年の投手史に残る名演として語り継がれるだろう。第1戦で1イニングに9得点を叩き出したブルージェイズ打線を、この日の山本は完全に沈黙させた。ワールドシリーズで完投を記録したのは、10年前にジョニー・クエトが達成して以来、山本が初めてである。

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山本由伸の契約内容

  • 契約年数: 12年
  • 契約金額: 3.25億ドル

山本は2023年12月、当時投手として史上最高額となる契約にサインした。複数のメジャー球団からオファーを受けた末、ロサンゼルス・ドジャースと12年総額3億2500万ドル(当時約465億円)の契約に合意。

さらにドジャースは、山本のポスティング料として追加で5000万ドルを支払っている。

契約内容によると、山本の年俸は2700万ドルで、2度のオプトアウト(契約破棄・FA条項)が含まれている。ただし、その行使時期については明らかにされておらず、肘の健康状態に関連しているとされている。

ポストシーズンで完投した直近の5投手

山本のこの快投は、いくつかの理由で歴史的なものとなった。その最大の理由は、「ポストシーズンでの完投」がいかに珍しいかという点だ。

以下は、過去にポストシーズンで完投を記録した最後の5人の投手である。

選手日付(日本時間)チーム対戦相手シリーズスコア (勝敗)
山本由伸2025年10月26日ドジャースブルージェイズWS5-1(勝利)
山本由伸2025年10月15日ドジャースブルワーズNLDS2-0(勝利)
ジャスティン・バーランダー2017年10月15日アストロズヤンキースALCS8-1(勝利)
マルコ・エストラーダ2016年10月15日ブルージェイズガーディアンズALCS0-3(敗北)
ジョニー・クエト2016年10月7日ジャイアンツカブスNLDS1-0(敗北)

以下は、ワールドシリーズで完投を達成した最後の5人の投手である。

選手日付(日本時間)チーム対戦相手スコア (勝敗)
山本由伸2025年10月26日ドジャースブルージェイズ5-1(勝利)
ジョニー・クエト2015年10月29日ロイヤルズメッツ7-2(勝利)
マディソン・バムガーナー2014年10月27日ジャイアンツロイヤルズ5-0(勝利)
クリフ・リー2009年10月29日フィリーズヤンキース6-1(勝利)
ジョシュ・ベケット2003年10月26日マーリンズヤンキース2-0(勝利)

 原文:Yoshinobu Yamamoto’s playoff dominance: How the Dodgers ace is becoming a World Series legend in just his second MLB season
抄訳:佐藤瑞紀(スポーティングニュース日本版)

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