日本人スラッガー、村上宗隆がMLB球団と契約できる期限が目前に迫っている。ポスティングの交渉期限は、米東部時間22日(月)午後5時で、マーケットの動向はいまだ不透明なままだ。
村上は、日本プロ野球(NPB)からMLBへ挑戦する屈指の強打者の一人である。7シーズン余りで通算246本塁打、OPS.951という圧巻の成績を残してきた。これだけの数字を見れば、MLB球団が長年にわたって村上に注目してきた理由は明らかだ。しかし、三振の多さが懸念材料として指摘されている。
直近3シーズンはいずれも三振率が28%を超えており、NPBよりもレベルの高いMLB投手陣を相手にすることを考えると、この数字は不安要素となる。そのため、球団側は超大型契約を結ぶことに慎重となり、これまでのところフリーエージェント市場で大きな盛り上がりを欠いている。現時点では、日本人FAとして記録的な3億2500万ドルの契約を結んだ山本由伸よりも、吉田正尚の総額9000万ドルの契約に近い条件になる可能性が高い。
村上宗隆は多くの球団にとって手の届く存在になりつつある
村上の市場で興味深いのは、数年前にMLB挑戦が明確になった当時と比べて評価自体は下がっている一方で、現実的に獲得を検討できる球団の数が増えている点だ。ポスティング期限が近づくにつれ、当初は獲得候補に挙がっていなかった球団にとっても、村上の要求額が現実的な水準まで下がってきている可能性が高い。
その“意外な候補”の一つが、シカゴ・ホワイトソックスだ。最近、村上との関係が報じられており、交渉期限が迫る中で獲得の可能性は高まっている。
仮に村上と契約すれば、それはホワイトソックス史上、FA選手に支払った最大契約額を更新するものになるだろう。現在の球団記録は、アンドリュー・ベニンテンディの5年総額7500万ドルだ。フロントがベニンテンディにその規模の契約を出したのであれば、ハイリスク・ハイリターンな存在である村上に、さらに上積みすることをためらう理由はない。
ここ数年、ホワイトソックスは不運が続いてきたが、再建の中で転機を迎えつつある。ドラフト戦略は奏功しており、その成果がすでに表れ始めている。
ホワイトソックスは球界屈指の明るい未来を持つ可能性がある
ショートのコルソン・モンゴメリーは、2025年にで素晴らしいMLBデビューを果たし、キャッチャーのカイル・ティールとエドガー・クエロもルーキーとして将来性を示した。投手陣では、シェーン・スミスが2025年に台頭し、今後も主力として定着する可能性をみせている。さらに、左腕の有望株ノア・シュルツとヘイゲン・スミスは、将来的にエース級へ成長するポテンシャルを秘めている。
野手のプロスペクトも豊富だ。ブレイデン・モンゴメリーは外野でオールスター級の素質を持ち、近年高校生ドラフトで指名されたケイレブ・ボネマーとビリー・カールソンも、そう遠くない将来メジャー昇格が期待されている。加えて、ホワイトソックスは2026年MLBドラフトで全体1位指名権を保有しており、マイナーリーグから短期間で昇格すると評価されているのロク・チョロウスキーを指名する可能性が高い。
もし、ホワイトソックスが村上宗隆を獲得すれば、彼は即座に打線屈指の長距離砲となるだろう。チームの打線は今後さらに強化される見込みだ。現状、ホワイトソックスは高額FA選手にとって魅力的な移籍先とは言い難いが、村上との契約は将来に向けた“呼び水”となり得る。さらに、国際FA市場で最大級の選手を獲得することは、渇望しているファンたちに活気をもたらすはずだ。
村上は現在のロスターにも、そして将来のロスターにもフィットする存在である。FA市場の他のスター選手と比べて割安な条件で獲得できる可能性がある中、適切な育成が伴えば、サウスサイダーズにとって大きな“掘り出し物”となるかもしれない。
原文:Why the White Sox might be the perfect fit for Munetaka Murakami
翻訳:小鷹理人(スポーティングニュース日本版)
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