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使っているのはヤンキースだけじゃない! 本塁打量産のトルピードバットのメリットとは

石山修二 Shuji Ishiyama

Teddy Ricketson

使っているのはヤンキースだけじゃない! 本塁打量産のトルピードバットのメリットとは image

2025年のメジャーリーグは華やかな幕開きとなった。野球シーズンの到来を待ち望んでいたファンの期待を上回る、ド派手なスタートだったと言っていいだろう。ニューヨーク・ヤンキースはミルウォーキー・ブルワーズとの3連戦でトータル36対14という圧勝を飾ってみせた。

ヤンキースの攻撃力の高さが印象的だったが、それ以上にファンが注目したのはヤンキースの一部の選手たちが使用していたバットだった。

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バットのバレルが拡大されており、ソーシャルメディアではその形状から「トルピード(魚雷)バット」と名付けられた。普通のバットとは見た目からして異なるため、対戦チームのファンはすぐにヤンキースの不正の可能性を指摘したが、ニューヨークが不正をしていたわけでもなければ、開幕シリーズでこのトルピードバットを使用していたのはヤンキースの選手たちだけでもなかった。

科学と数学は、野球というゲームの根幹にある一要素だ。誰もが常に相手選手より少しでも優位に立てる要素を探している。その点でトルピードバットはまさにうってつけだった。バットの胴体が太く見えるので違和感があるが、MLBの規定には適合している。しかも、すべての選手がそれを使っているわけではない。

だが、開幕シリーズでのヤンキースの好成績によって、このバットは白日の下にさらされた。リーグ全体でトルピードバットが普及していく可能性が高まったと言えるだろう。

ここでは、トルピードバットとはいったい何なのか、何が違うのか、どのような利点があるのか、誰が使用しているのかなど、注目の新型バットに関する情報をまとめる。

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トルピードバットとは何?

打者はよくバットの『スイートスポット』で打ちたいと口にするが、このスイートスポットとは通常バットのバレル部分を指す。バッティングに優れた選手でもバットの下部、ラベルに近いところで打ってしまいがちだ。トルピードバットではロゴを上部に移動させ、バレルを大型化し、バットの先端をボーリングのピンのような形状にするよう設計されている。

その意図はボールをバットの芯でとらえる機会を増やし、より良い結果につなげるというものだ。ただし、このデザインではバットの重心が移動するため、スイングしたときの感触をすべての選手が気に入るわけではない。

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トルピードバットは誰が考えた?

トルピードバットを生み出したのはアーロン・リーンハート氏だ。知らなくても心配ない。今は馴染みのない名前かもしれないが、トルピードバットが成功を納め続けれけば、野球を変えた人物として歴史に名を残すだろう。

リーンハート氏はMIT(マサチューセッツ工科大)を物理学者として卒業し、ミシガン大学で7年間教授として働いた。

(ヤンキースのトルピードバットの発案者であるアーロン・リーンハートは、これまでで最もクレイジーなキャリアパスを経験してきた。

  • MITで博士号を取得
  • NASAの資金提供を受けた研究チームで勤務
  • ミシガン州の物理学の教授を7年間務める

そして、[40歳にして]学問の世界を離れて追求したのが...)

その後、彼は学問の世界を離れ、スポーツと科学の交差点で問題解決に取り組むキャリアを追求することにした。彼に投げかけられた疑問は、投手の進歩に打者がついていけるのかというもの。リーンハート氏は打者がより長いバットを持つことが最善の策だと考え、MLBが定めた要件を満たしつつ、魚雷のような形のバットを生み出した。

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トルピードバットと通常のバットの比較

通常、バットのバレルは先端から約15~18cm下に位置している。これに対し、トルピードバットはバレルをグリップ側により長く伸ばしている。 これによりバットは太くなるが、先端が少し細くなり、魚雷のような形になる。

(トルピードバットの基本 [3/7]

これまでのバット:先端が太く、グリップ側が細い。 魚雷型バット:ラベル付近が太く、先端が急激に細くなる、ボーリングのピンのような形をしている。これは、スイートスポットを教科書通りの位置に調整するのではなく、スイートスポットを最大化するように作られている)

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ヤンキースのバットはルール違反なのか?

答えはノー。ヤンキースがオープン戦で使用したトルピードバットは、MLBが定めた規定の範囲内でありルールには反していない。

MLB のバットの規定は?

MLBのルール 3.02 には、「バットは、最も太い部分でも直径2.61インチを超えず、長さ42インチを超えない滑らかで丸い棒状のものでなければならない。またバットは1本の無垢材でなければならない」とある。この緩やかな基準の範囲内のバットであれば、それはルール内となる。

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ヤンキースで新型バットを使っている選手は?

開幕時にトルピードバットを使用していたヤンキースの選手は、アンソニー・ボルピとジャズ・チザムJr.だけだった。だが、週末の間にポール・ゴールドシュミット、オースティン・ウェルズ、コーディ・ベリンジャーもシリーズ中にそのバットを使用していた。

ヤンキースは、そのバットが不正行為なのではと考えるファンから激しい批判を受けた。これに対して、常に逃げることなく反論する姿勢を崩さないチザムは、Xにバットの利点について投稿し、それが合法的な調整であることを改めて主張した。

(いいか、バレルは大きいが、MLBの規定内だ!ラベルを移動したと言う奴がいるが、そいつらはバカだ!誰もトラブルなんか求めてない。木材の使わない部分を使う部分に移動しているだけだ!お疲れ様。もうストレスを感じる必要はない!)

アーロン・ジャッジは新型バットを使っている?

答えはノーだ。2度のMVPに輝くスラッガーはトルピードバットを使用していない。そして、その理由をはっきりと語ってみせている。ジャッジは、「過去数シーズンに自分が成し遂げたこと、それ自体が物語っている。うまくいっていることがあるのに、なぜ何かを変えようとするのか?」とトルピードバットを使用しない理由を説明した。

「ジャッジは300本以上の本塁打と3回のMVP(※編集部注 正しくは2回)を獲得している。彼が使っていないことは確かだ」と チザムがXに投稿した通りだ。

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2025年シーズン、MLBでトルピードバットを使用している選手たちは?

Yahoo Sports』によると、2025年の現時点でトルピードバットの使用しが確認されているMLBの選手は以下の通り。

  • アドリー・ラッチマン/ボルティモア・オリオールズ捕手
  • ホセ・トレビーノ/シンチナティ・レッズ捕手
  • エリー・デラクルーズ/シンチナティ・レッズ捕遊撃手
  • ダンズビー・スワンソン/シカゴ・カブス遊撃手
  • ニコ・ホーナー/シカゴ・カブス二塁手
  • ライアン・ジェファーズ/ミネソタ・ツインズ捕手
  • フランシスコ・リンドーア/ニューヨーク・メッツ遊撃手
  • コディ・ベリンジャー/ニューヨーク・ヤンキース外野手
  • ジャズ・チザムJr./ ニューヨーク・ヤンキース二塁手
  • ポール・ゴールドシュミット/ニューヨーク・ヤンキース一塁手
  • アンソニー・ボルピ/ニューヨーク・ヤンキース遊撃手
  • オースティン・ウェルズ/ニューヨーク・ヤンキース捕手
  • ジュニア・カミネロ/タンパベイ・レイズ三塁手
  • デービス・シュナイダー/トロント・ブルージェイズ外野手

原文:Are the Yankees' new bats legal? Explaining MLB's rules for torpedo bats vs. Regular bats
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)

Contributing Writer

Content Producer

Staff Writer