本サイトに掲載されているリンクから商品の購入やサービスの契約をされた場合、本サイトが収益を得ることがあります。

ヤンキースが三塁手ライアン・マクマーンをロッキーズから獲得したトレードを評価する

Dan Treacy

石山修二 Shuji Ishiyama

ヤンキースが三塁手ライアン・マクマーンをロッキーズから獲得したトレードを評価する image

ヤンキースは現地25日(金)に新しい三塁手を獲得したが、それは期待されたエウへニオ・スアレスではなかった。

マリナーズがスアレス獲得の対価に難色を示し、ダイヤモンドバックスのチームメイトであるジョシュ・ネイラーをトレード獲得した翌日、ヤンキースはライアン・マクマーンと契約した。

▶MLBグッズをAmazonでチェック!

マクマーンはスアレスとは異なり、レンタル選手ではない。彼は2022年にロッキーズと 6年7000万ドル(1ドル147円換算で102億9000万円、以下同)で契約延長しており、複数年にわたってヤンキースの三塁手となる可能性がある。スアレスほどのパワーはないが、マクマーンの守備力とヤンキー・スタジアムへのフィットがヤンキースの興味を惹いたのだろう。

ここでは、このヤンキースとロッキーズのトレードについての評価をまとめる。

ライアン・マクマーンのトレード評価

ヤンキース:C+ 

  • ヤンキース:ライアン・マクマーン(三塁手)

ここ数年間、良い意味でも悪い意味でもこのスポーツにおいてマクマーンほど安定した選手はそういない。30歳のマクマーンは過去5シーズン、OPS+が90〜99(リーグ平均は100)を記録しているほか、堅実な守備を披露し、今シーズンもここまで16ホーマーを放っているように毎シーズン20〜25本のホームランを打っている。

その堅実なパワーと安定した守備は、マクマーンを価値のある選手にしている。しかし打率と出塁率は高くなく、平均的な選手と比べても打席で発揮する価値は限定的と言わざるを得ない。マクマーンがアウェイゲームで残した成績を見ても特に期待ができるものではないが、D.J.ラメイヒューを含む多くのロッキーズの強打者が新チームに移籍し、好成績を残しているという過去もある。

ヤンキースのラインナップは、ライアン・マクマーン1人を獲得しただけで理想の形になるわけではない。アンソニー・ボルピー、オースティン・ウェルズ、ジェイソン・ドミンゲスがここ数週間、深刻なスランプに陥っている。マクマーンの守備力がヤンキースの悪夢のような守備の安定に貢献したとしても、彼のバッティングがニューヨークの攻撃力を著しく向上できるとは言い難い。

また、2027年まで残っているマクマーンの契約は別の疑問を投げかける。彼が平均的な打者であり続けるとしたら、2026年以降ヤンキースは平均的な打者を何人まで許容できるのだろうか? ウェルズ、ボルピー、ドミンゲスが現在の打率を大幅に改善できない限り、攻撃力の向上は他の選手に頼らざるを得ない。仮に毎シーズン20本のホームランを打ったとしても、マクマーンがチームに大きな変化をもたらすことは難しいだろう。彼が2026年、2027年ともに年俸1600万ドル(約23億5200万円)を手にする選手と考えるとなおさらだ。

マクマーンが、ヤンキースの三塁手の状況を改善することは間違いない。彼の存在はヤンキースをシーズン終盤に向けてより良いチームにする。また、チームが投手陣の強化に積極的に取り組むならば、スアレスよりも少ない資金でマクマーンを獲得するという判断は賢明なものとなるだろう。しかし、ア・リーグ東地区で5.5ゲーム差の2位につけるチームにとって、マクマーン獲得だけでは攻撃力の強化としては不十分だ。

ロッキーズ:A-

  • ロッキーズ: グリフィン・ヘリング(左投手)、ジョシュ・グロス(右投手)

ロッキーズはこれまで、プレーオフ争いから脱落している状況でもなぜかトレードデッドラインに選手を手放さないということを繰り返してきた。その点では、このトレードをまとめただけでも称賛に値するだろう。マクマーンはMLBのシーズン最多敗戦記録を避けたいロッキーズにとってはそこまで役に立つ選手とは言えず、このトレードはチーが少なくなくとも今の厳しい立場を理解していることを示している。

見返りに獲得した選手も決して悪くない。22歳のヘリングは打者を圧倒する速球を持っているわけではないが、2024年後半のプロデビュー以来、素晴らしい成績を残している。LSU(ルイジアナ州立大)の優秀な選手だった彼は今シーズン、AとAAで 89.1イニングを投げ、防御率1.71、102奪三振、9イニングあたりの被安打を5.6に抑え、本塁打は3本しか許していない。ヘリングはこの先、プロスペクトとしての順位を上げていくだろう。また、投手を常に必要としているロッキーズにとしては、育成していく上で必然的に障害にぶつかるようなプロジェクト型の選手ではなく、すでにかなり完成度の高い投手を獲得できた。

同じく22歳のグロスはヘリングほどのポテンシャルはないが、強力な速球が武器で制球力もある。右投手のグロスは今季、アドバンスドAで87イニングを投げて防御率4.14を記録しており、被本塁打5本、9イニングあたりの奪三振数9.7個と、3.85の防御率をマークした2024年シーズンとほぼ同様の投球内容を見せている。

多くのチームは、リスクはありながらも高いポテンシャルを秘めるプロジェクト型の投手を好むかもしれないが、ロッキーズにはそうした選手を自分たちで育てられる育成システムがない。ヘリングとグロスはロッキーズのシステムにマッチし、組織内で急速に昇格する可能性を秘めている。

▶土曜の朝はApple TV+でMLB中継! まずは7日間無料トライアル

原文:Ryan McMahon trade grades: Yankees play it safe with Rockies infielder, Colorado addresses pitching
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)


MLB関連記事

Dan Treacy

Dan Treacy is a content producer for Sporting News, joining in 2022 after graduating from Boston University. He founded @allsportsnews on Instagram in 2012 and has written for Lineups and Yardbarker.

石山修二 Shuji Ishiyama

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。生まれも育ちも東京。幼い頃、王貞治に魅せられたのがスポーツに興味を持ったきっかけ。大学在学時に交換留学でアメリカ生活を経験し、すっかりフットボールファンに。大学卒業後、アメリカンフットボール専門誌で企画立案・取材・執筆・撮影・編集・広告営業まで多方面に携わり、最終的には副編集長を務めた。98年長野五輪でボランティア参加。以降は、PR会社勤務・フリーランスとして外資系企業を中心に企業や団体のPR活動をサポートする一方で、現職を含めたライティングも継続中。学生時代の運動経験は弓道。現在は趣味のランニングで1シーズンに数度フルマラソンに出場し、サブ4達成。