ボストン・レッドソックスは今季ここまで期待していたようなシーズンを送れていない。ニュースで取り沙汰されるのは選手たちの故障とポジション変更に関する話題ばかりで、ここ最近はトリストン・カサスの故障とラファエル・デバースの一塁転向拒否を巡る問題が大きな注目を集めている。
開幕前、レッドソックスはアレックス・ブレグマンと1億2000万ドル(1ドル143円換算で約171億6000万円)の契約を結んだ上で、デバースにフルタイムの指名打者となるよう要請した。しかし、カサスが今季絶望となる膝の怪我を負った後、野球部門責任者のクレイグ・ブレスロウ氏がデバースに一塁手としてプレーするよう求めたと報じられた。その要請に対し、デバースはチームが約束を守っていないとメディアを通じて反論し、その要請は自分を傷つけるものだったと語った。
デバースはその後も指名打者のままプレーを続けている。この状況について、レッドソックスのレジェンドであるデビッド・オルティーズ氏は、AP通信のインタビューでコメントした。
「彼は今、指名打者として素晴らしい仕事をしている。チームがそれを求め、彼は指名打者としてそれに応えている」とオルティーズ氏は言う。
「カサスの状況が起こった時……人は『デバースが一塁にまわって、ヨシダがDHに入ればチームはより強くなる』と思った。そんな想像をしたんだろう。でも実際はどうだろう。 スプリングトレーニングで『打つだけ』と頼まれた選手が、突然ポジションを変えるには時間が必要だ」
オルティーズ氏の言葉には説得力が感じられる。と言うのも、オーティズ氏は主に指名打者として通算541本のホームランを放ち、MLBの歴史に名を残した選手だからだ。レッドソックスで3度のワールドシリーズ優勝を経験し、殿堂入り選手も果たしている。そのオルティーズ氏は、指名打者として良いプレー続けているデバースを一塁手としてプレーさせるのであれば、十分な検討に基づいた判断であるべきだと指摘する。
「こう言っておこう。ある時点でデバース自身がファーストの練習をしたいと考え、守備に戻ることを望むのであれば、全ては彼次第だ」とオルティーズ氏は言う。
「彼にDHに回るよう頼んだのは自分たちだ。あの時、本気で頼んだんだ。スプリングトレーニングでのその会話を覚えている。今とは状況は違うが、彼は頼まれたことをしっかりこなしている。求めたものを与えてくれているんだ、たとえ心から納得した内容ではなかったとしてもね」
デバースは打率.286、OPS.923、12本塁打と指名打者として充分な数字を残している。だが、レッドソックスはさらなる起爆剤が必要な状況にあり、もしDHのポジションを活用することができればそれも可能かもしれない。
彼がファーストベースに移れば、吉田正尚が復帰した際にDHのポジションに入ることも可能だし、またはトップ・プロスペクトのロマン・アンソニーのメジャー昇格を考えることもできるだろう。
原文:Red Sox Hall of Famer sounds off on Rafael Devers first base situation
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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