現在25勝25敗と勝率5割の成績にとどまっているボストン・レッドソックスにとって、近日中に負傷者リストから復帰してくる選手がプラス要素となるかもしれない。ここまで負傷中だった昨季までの主力打者が今季初出場に向けて着実な回復を見せている。
昨年10月に肩の手術を受けた吉田正尚は、今季まだ出場することができていない。しかし、アレックス・コーラ監督は記者団に対し、吉田が60フィート(約18メートル)のスローイングを開始すると明言した。
ただ、地元ニュースを扱うニュースサイト『MassLive』のクリス・コティロ氏は、昨年までチームの指名打者だった吉田は、今季は外野手としてプレーする必要があると指摘する。
レッドソックスの指名打者には今シーズン、三塁手だったラファエル・デバースが起用されている。そのため、吉田は復帰しても外野を守ることになる。これには2つの問題がつきまとう。まず吉田は守備に優れた選手ではないこと、そしてプロスペクトのロマン・アンソニーの昇格を複雑にすることだ。
吉田は2023年、メジャーリーグ最初のシーズンで外野手として87試合に出場した。選手たちのパフォーマンスを統計で示す『Baseball Savant』によると、守備範囲を基に選手の守備のスキルを表す指標OAA(Outs Above Average)で吉田は平均値と比べてマイナス8と低く、守備のパフォーマンスを数値化する Fielding Run Valueではマイナス12とその年メジャーリーグで最低レベルの数字を記録していた。そのため吉田は2024年、指名打者にまわって98試合に先発出場した。
今回、吉田が外野手に戻らざるを得なくなったことで、コーラ監督とすれば出場機会をコントロールしなくてはならない選手が一人増えることとなる。レッドソックスにはすでにセダン・ラファエラ、ウィリー・アブレイユ、ジャレン・デュランの3人の外野手がいる。さらに3Aにはリーグのトッププロスペクトであるアンソニーも控えている。吉田が復帰してくればアンソニーのメジャー昇格はますます難しくなるだろう。
吉田は2023シーズンの前にレッドソックスと5年9000万ドル(1ドル143円換算で約128億7,000万円)の契約を結んだが、ここまでは契約に見合った成績を残せていない。日本での最後の5シーズン中4シーズンで20本以上のホームランを打ってきたスラッガーは、メジャーではこの2シーズンでわずか25本しかホームランを打つことができていない。
復帰した吉田がレッドソックスでいかにして出場機会を勝ち取っていくか、それとも噂される放出が夏までにあるのか、いずれにせよ取り巻く環境は厳しいものとなりそうだ。
原文:Red Sox announce major update on return of $90 million slugger
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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