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2025年のMLBトレードデッドライン総括|マリナーズ、メッツが積極的な補強に成功

Dan Treacy

石山修二 Shuji Ishiyama

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ポストシーズンを狙うチームはトレードデッドラインでチームに欠けているピースを探す。そして時に狙い通りの補強が実現することがある。

過去10回のワールドシリーズMVPのうち 3 人、ホルヘ・ソレア、スティーブ・ピアース、ベン・ゾブリストは、いずれもシーズン途中で移籍してきた選手だ。過去15年を振り返っても、ジャスティン・バーランダー、ハンター・ペンス、ジェイク・ピービー、アロルディス・チャップマン、ジョーダン・モンゴメリーといった選手たちは、移籍先のチームをチャンピオンシップへと導く大きな要因となった。

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ただ一方では、2015 年の メッツによるヨエニス・セスペデスのトレードや、2008 年の ブリューワーズのC.C.サバシア獲得など、チャンピオンシップという結果には至らなかったトレードももある。

シーズン後半戦はすでに始まっているが、トレードデッドラインを終え、現地金曜日からは新しいユニフォームに袖を通した選手たちが、10月まで勝ち進み、シーズンを勝利で締めくくることを目指して、終盤戦のデッドヒートを繰り広げる。

ここでは2025年のトレードデッドラインの結果を総括していく。

2025年トレードデッドラインの『勝ち組』

シアトル・マリナーズ

マリナーズはポストシーズン進出が保証されているわけではないが、最善の努力をしていることは評価すべきだ。野球運営部門社長のジェリー・ディポト氏が「シアトルの年間目標は勝率54%」と発言して波紋を呼んだが、ジョシュ・ネイラーとエウヘニオ・スアレスをトレードで獲得した今、彼は54%を超える目標を掲げているように見える。最高の計画も時に失敗することはあるが、スアレス、ネイラー、カル・ラリー(ローリー)、フリオ・ロドリゲス、ランディ・アロザレーナを擁するラインナップはポストシーズンに進出するにふさわしい。

ディポト氏は、若手の有望株を放出することなくネイラーとスアレスを獲得して見せた。AAAで素晴らしいシーズンを送っていたタイラー・ロックリアは移籍した選手の中では一番のビッグネームだが、彼は年齢も高く、バッターに有利な環境でプレーしていた。スアレスとネイラーはどちらもレンタル選手だが、マリナーズは2つのトレードでポジションプレーヤーの有望株を1人しか放出せずに済んだ点は評価できる。

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ニューヨーク・メッツ

メッツは、トレードデッドライン直前で「全てを賭ける」積極的な姿勢を見せた。タイラー・ロジャースを獲得するために手放した代償はロジャースがレンタル選手であることを考えると少し痛手だったが、それでもトップクラスのプロスペクトをトレードせずに、ロジャース、ライアン・ヘルスリー、グレゴリー・ソトを加えてブルペンを強化できた。

数日前まで、メッツのブルペンはナショナル・リーグの熾烈な争いを突破するには厳しい状況だった。だが、エドウィン・ディアス、ヘルスリー、ロジャースの加入で、チームはカブス、ドジャース、フィリーズの強力な打線に対抗できる強力なブルペンを構築し、メッツをチャンピオンシップ制覇の現実的な位置に押し上げた。セドリック・マリンズを絶好調のタイミングで獲得し、ポストシーズン争いの真っ只中で急務のポジションに起用したことも、デビッド・スターンズ編成本部長にとって大きな成果だ。

関連記事:メッツがカーディナルスのクローザー ライアン・ヘルスリーを獲得

アスレティックス

アスレティックスがリーグ屈指の球を持ち、今後も保有可能なクローザー、メイソン・ミラーをトレード放出したのは悪いアイデアのように思われる。しかし、パドレスが提示した条件を考慮すると、ミラーとシアーズをサンディエゴに放出したこのトレードは「勝利」以外の何物でもない。18歳のトップクラスのプロスペクトを獲得したアスレティックスは、彼のような才能ある打者を育成する能力があることも証明してきた。またブレイデン・ネットとヘンリー・バエズには、1~2年でメジャーリーグの先発投手として通用するポテンシャルを秘めている。ただし、ネットはコントロールの問題でリリーフに転向する可能性もあるだろう。

ミラーがトップクラスのクローザーになる可能性はあるが、リリーフはあくまでリリーフだ。デ・ブリース、ネット、バエズの3人は役割的にも2026年以降、アスレチックスにミラー以上の価値をもたらすはずだ。

関連記事:パドレスがアスレティックスからクローザーのメイソン・ミラーを獲得

ニューヨーク・ヤンキース

ヤンキースがバッティングが売りとは言えないライアン・マクマーンを獲得したのは当初疑問視されたが、移籍後のマクマーンが2つの勝利で大きな役割を果たしたことをみれば成果は明らかだ。先発投手を獲得しなかったことは問題になるかもしれないが、ニューヨークはデビッド・ベッドナー、カミロ・ドバル、ジェイク・バードを獲得し、誰もが想像した以上にブルペンを強化した。この3人は少なくとも2026年まで契約が残っており、10 月のプレーオフ進出の可能性を高めるだけでなく、仮に今シーズン成功を収められなくても引き続きチームに貢献できる選手たちだ。 

オースティン・スレイター、ホセ・カバジェロ、アメッド・ロサリオといった外野手を補強したことはヤンキースのラインナップに特に必要なことではないかもしれない。だが、守備面で苦戦している今季のチームにとって柔軟性を高めることにはなるだろう。

関連記事:ヤンキースが三塁手ライアン・マクマーンをロッキーズから獲得したトレードを評価する

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2025年トレードデッドラインの『負け組』

ボストン・レッドソックス

アメリカン・リーグではナショナル・リーグほど激しい獲得競争はなかったが、それでもレッドソックスはダスティン・メイとスティーブン・マッツの2人しか獲得することができなかった。メイは2025年に効果的な活躍を見せておらず、このオフに契約満了することを考えれば、長期的なポテンシャルも低い。メリル・ケリーを獲得できず、マーリンズからサンディ・アルカンタラを引き抜くこともできなかったレッドソックスは、ワイルドカード争いはもちろんア・リーグ東地区の優勝争いに名乗りを上げる機会を逃した。

関連記事:レッドソックスがドジャースからダスティン・メイを獲得

デトロイト・タイガース

タイガースは、シーズン前半戦でアメリカン・リーグでトップの成績を残した。7月は厳しい状況にあったものの、ア・リーグ中地区での優勝は事実上確定的と言っていいだろう。ただ、トレードデッドラインに向けてもう少し努力すべきだったのではないか。デトロイトは獲得可能だったトップクラスのリリーフ投手をすべて見送って、代わりに苦戦中のカイル・フィネガン、負傷中のポール・シーウォルド、マイナーリーガーのコディ・ホイヤーを獲得した。

昨年のポストシーズン、タイガース最大の弱点は先発投手陣の層の薄さだった。にもかかわらず、クリス・パダックとチャーリー・モートンというつぎはぎの補強しか行わなかった。このアプローチは、2年前にアメリカン・リーグをリードしていたオリオールズがトレードデッドラインで苦戦中のジャック・フラハティしか獲得しなかったことを彷彿とさせる。タイガースがポストシーズンで早期に敗退した場合、その転機となったのはスコット・ハリス編成本部長の積極性の欠如だったと記憶されるだろう。

関連記事:タイガースが2人のベテラン投手獲得でブルペンの選手層を補強

ロサンゼルス・エンゼルス

エンゼルスは静かなトレードデッドラインを迎えたが、それは最も混乱したものでもあった。チームはナショナルズのリリーフ投手、アンドルー・チェイフィンとルイス・ガルシアの獲得に乗り出していたが、53勝56敗、混戦のワイルドカードレースで4ゲーム差を付けられているチーム状況から補強をストップした。

エンゼルスは、1 年以上の契約が残っているテイラー・ウォードやクローザーのケンリー・ジャンセンをトレードに出すこともできたし、ア・リーグのトップチームと戦うために選手層を大幅に強化することもできたはずだった。しかし、彼らは何ら動きを見せず、ポストシーズン進出に必要な補強もしないまま、ゴールを目指す決意を固めたようだ。

ミルウォーキー・ブルワーズ

ブルワーズが控え捕手のダニー・ジャンセンのトレード以外、大きな動きを見せなかったことは驚きではなかったが、失望すべきことではあった。過去の故障歴やジェイコブ・ミジオロウスキーの投球制限など、先発ローテーションが抱える不安を考慮すれば、期待を上回る活躍を見せ、逆境を跳ね除けてナショナル・リーグの頂点に立っているブルワーズの選手たちには、打線の強化やブルペンの補強など、何らかの有効な補強策が講じられてしかるべきだった

フィリーズ、メッツ、パドレスがあらゆる手段を尽くして補強に動いた中、ブルワーズはそのペースについていくことができなかった。

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原文:MLB trade deadline winners and losers 2025: Mets and Mariners go all in, Tigers and Red Sox miss big opportunity
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)

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Dan Treacy

Dan Treacy is a content producer for Sporting News, joining in 2022 after graduating from Boston University. He founded @allsportsnews on Instagram in 2012 and has written for Lineups and Yardbarker.

石山修二 Shuji Ishiyama

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。生まれも育ちも東京。幼い頃、王貞治に魅せられたのがスポーツに興味を持ったきっかけ。大学在学時に交換留学でアメリカ生活を経験し、すっかりフットボールファンに。大学卒業後、アメリカンフットボール専門誌で企画立案・取材・執筆・撮影・編集・広告営業まで多方面に携わり、最終的には副編集長を務めた。98年長野五輪でボランティア参加。以降は、PR会社勤務・フリーランスとして外資系企業を中心に企業や団体のPR活動をサポートする一方で、現職を含めたライティングも継続中。学生時代の運動経験は弓道。現在は趣味のランニングで1シーズンに数度フルマラソンに出場し、サブ4達成。