MLB初の試み『スピードウェイ・クラシック』にファンの不満の声が続出

石山修二 Shuji Ishiyama

Daniel Mader

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メジャーリーグ(MLB)が開催した『スピードウェイ・クラシック』は天候不良により試合が土曜日から日曜日に延期されたが、週末の野球界にユニークな光景をもたらした。しかし、ブリストルの現場の状況はテレビで見られたほど素晴らしいもとは言い難かったようだ。

レッズとブレーブスが顔を合わせた一戦は、テネシー州のブリストル・モーター・スピードウェイ内に設営されたフィールドで行われ、野球とモータースポーツの融合という歴史的なイベントとして大々的に宣伝されていた。しかし、実際に現地で試合を観戦したファンの声を見る限り、『スピードウェイ・クラシック』の運営は十分とは言えないものだったようだ。

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もちろん、天候はMLBにもコントロール不可能だ。土曜日の夜に激しい雨が降り、試合は日曜日の午後に延期されたのは仕方のないことだろう。しかし天候以外にも、ファンはスタジアムのフード、サービス、座席など、様々な点で批判の声を上げていた。

ここでは、週末の『スピードウェイ・クラシック』がどのような状況だったのか、ソーシャルメディア上に上げられたファンの声を元に振り返ってみる。

土曜日の試合は雨天のため順延に

『スピードウェイ・クラシック』での体験の全てを否定するわけではない。土曜の夜、試合前には素晴らしい光景も見られた。ブレーブスのマスコットがブルペンカーでトラックを一周し、レッズのキャッチャー、タイラー・スティーブンソンはリッキー・ボビーのレーシングスーツを模したプロテクターで登場するなど、サーキットならでの演出も見られた。

しかし、そうした雰囲気も全てこの日の天候で台無しとなってしまった。試合は雨のため当初から遅延し、フィールドには何度となく雨よけのタープが敷かれた。スペンサー・ストライダーは遅延のため急遽先発登板を回避し、試合は始まったものの、1回には激しい雨が降ってきた。

(オースティン・ヘイズが内野の小さな湖を飛び越えるタイムリーヒットを放ち、レッズが1回に先制点を挙げた。)

レッズが1-0でリードしていたところから日曜日に再開された試合は、再開直後の2回にブレーブスが逆転し、そのまま4-2で勝利を収めた。

ただ、土曜日の時点では雨が降った土曜日の夜よりも日曜の方が観客が少なくなるのではと不安視されていた。天候自体は MLBの責任ではないものの、土曜日にサーキットを訪れたファンからは不満の声が多く聞かれていたからだった。

『スピードウェイ・クラシック』でのフードや座席が批判の的に

スポーツ観戦で雨による試合による中断は誰にとっても楽しいものではない。この土曜日の夜も、ブレーブス対レッズの試合開始を待つファンが不満を募らせたのは当然だった。そしてブリストルでの試合開始を待つ間、ファンたちは週末に臨時で設置されたスタジアムでの経験に対する不満をソーシャルメディア上に投稿した。

フード不足は大きな問題の一つだった。一部の人は受け取った「パンのないホットドッグ」の写真を共有し、他の人は雨天中断中にスタジアムのフードが売り切れたと投稿した。

ブリストルの試合は、MLB版の『ファイア・フェスティバル』だった。ロジスティクスはひどく、食べ物もバンズのないホットドッグとチーズのないナチョスしかなく、スタジアムに入るだけでも複数のシャトルバスが必要で、雨への対応もまったく準備ができていなかった。) 

(ブリストル・モーター・スピードウェイでブレーブス対レッズの試合を観戦している友人から、すべての売店が食べ物が売り切れ、ビールとピーナッツしか残っていないというメッセージが届いた。2時間の雨で試合はまだ始まっていない。すごいね。)

歴史的な数の観客に対する準備不足に対してもファンの批判が聞かれた。『スピードウェイ・クラシック』では85,000 枚以上のチケットが販売され、MLBはレギュラーシーズンの観客動員数新記録を達成するだろうと発表していた。にもかかわらず、大勢の観客が訪れた試合会場は混雑し、長い行列ができ、人々が溢れかえるなど、不十分な対応が見受けられた。

(雨の中、座っている。食べ物も手に入らない。国歌が流れる前に売り切れてしまった。ブリストル・スピードウェイ。彼らはチケットの販売枚数を把握していたはず。ばかばかしい運営だ。ファンゾーンは長蛇の列で、食べ物はなかった。この試合に来たのは大間違いだった。人々は怒っている。多くの人が帰っている。) 

 (ブリストルでのスピードウェイ・クラシックは酷かった。

ティム・マグロウ ✅
選手入場 ✅
売店 ❌(試合開始前に売り切れになる?)
交通 ❌
野球ができず ❌
周辺のホテル ❌
コンコースを歩くことができる ❌

雨は仕方ないが、ファンとしては最高の体験ではなかった。)

ブリストルは9万人の観客を扱い方を知っているし、@NASCARも9万人の観客を扱い方を知っている。@mlbは観客を扱い方について全く無知で、ファンゾーンの状況は惨状だ。) 

(今夜ブリストルにいたが、その悲惨さは言葉では表現できない。売店の列で 1時間半も待ったのに、試合前にはほとんどの食べ物が売り切れてしまった。)

試合前に分かっていた問題は、観客席が遠すぎてプレイが見にくいことだった。またブリストル・モーター・スピードウェイのようにダイヤモンド型に設計されていない大規模な会場では、観客の視界が遮られるエリアもあった。

 (MLB『スピードウェイ・クラシック』の素晴らしい眺め)

(昨日、Twitterで話題になっていた「ひどい」席の1つに座った。ひどい席でも頭をおおう屋根があってよかった!写真では実際よりもさらにひどく見える!)

土曜日の夜の激しい雨も加わり、『MLBスピードウェイ・クラシック』は素晴らしいビジュアルを除けば、期待に応えるものとはならなかったようだ。この試合には9万1032人の観衆が足を運んだと発表され、レギュラーシーズンの試合としてはMLB史上最多の観客動員数を記録したが、実際には空席が目立っていた。

関連記事:MLBで最も多く観客を動員した試合は?|『スピードウェイ・クラシック』で記録更新なるか

(1日で大違いに…

写真 1:昨日、約 90,000 人
写真 2:今日、おそらくその4分の1程度

MLB の観客動員記録を更新するために建設された『スピードウェイ・クラシック』も、グレート・アメリカン・ボールパークでの試合のように見える。) 

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原文:MLB Speedway Classic stadium issues: Fans criticize food, seating and more as Braves, Reds meet at Bristol
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)

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石山修二 Shuji Ishiyama

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。生まれも育ちも東京。幼い頃、王貞治に魅せられたのがスポーツに興味を持ったきっかけ。大学在学時に交換留学でアメリカ生活を経験し、すっかりフットボールファンに。大学卒業後、アメリカンフットボール専門誌で企画立案・取材・執筆・撮影・編集・広告営業まで多方面に携わり、最終的には副編集長を務めた。98年長野五輪でボランティア参加。以降は、PR会社勤務・フリーランスとして外資系企業を中心に企業や団体のPR活動をサポートする一方で、現職を含めたライティングも継続中。学生時代の運動経験は弓道。現在は趣味のランニングで1シーズンに数度フルマラソンに出場し、サブ4達成。

Daniel Mader

Daniel Mader is a Content Producer for The Sporting News. He joined SN in 2024 as an editorial intern following graduation from Penn State University. He has previously written for Sports Illustrated, NBC Sports, the Centre Daily Times, the Pittsburgh Post-Gazette, The Daily Collegian and LancasterOnline. Daniel grew up in Lancaster, Penn., with a love for baseball that’ll never fade, but could also talk basketball or football for days.