本サイトに掲載されているリンクから商品の購入やサービスの契約をされた場合、本サイトが収益を得ることがあります。

今年のMLBオールスターゲームで導入されるロボット審判=ABSとはどんなもの?

石山修二 Shuji Ishiyama

Teddy Ricketson

今年のMLBオールスターゲームで導入されるロボット審判=ABSとはどんなもの? image

メジャーリーグ(MLB) はフィールド上の試合の質を向上させる方法を常に模索している。年間162試合という長いシーズンの間、ファンの関心を維持し続けることは難しいからだ。

近年で言えば、リーグは盗塁を試みる選手を増やすため、ベースのサイズを拡大した。また、試合のペースを大幅に速めるため、ピッチクロックを導入した。そして最も議論を呼んでいる改革の一つが、『ロボット審判』の導入だ。一部のファンは、すべての判定を正確に下すことが技術的に可能なら導入すべきだと主張している。一方、伝統を重んじるファンは、野球の最大の魅力の一つは人間ならではのミスがある点だと考えている。

▶MLBオールスターグッズをAmazonでチェック!

他のルール同様、導入の可能性が高いルールはまずマイナーリーグで試験導入される。ロボット審判(ABS=automated balls and strikes)もその一つだ。名前だけ聞くと革新的だが、実際にはそれほどではない。ABSという名称からすべての投球がボールかストライクかコンピュータによって判定されることをイメージするが、現時点ではまだその段階には至っていない。

ここでは、現在のMLBのABSチャレンジシステムの詳細と2025年のMLBオールスターゲームでの導入方法について説明する。

MLBの『ロボット審判』とは?

ABSは2021年にマイナーリーグで試験導入され、2022年に正式導入された。だがメジャーリーグへの導入は2025年のスプリングトレーニングまで待たれた。先ほども書いた通り、このシステムは名前が示すようにすべての投球を自動的に判定するものではない。これはチャレンジ・システムの名称である。

MLBは、スプリングトレーニングで使用したABSのルールを2025年のオールスターゲームで同様に導入する。そのルールが以下の通り。

  • 各チームは試合開始時に2回のチャレンジ権を持つ。
  • 投球が行われ、審判の判定が下された後、投球した投手、受けた捕手、打席にいる打者のみが判定にチャレンジできる。
  • チャレンジするには、キャップやヘルメットの上部をタップして合図を送る。チャレンジのシグナルは、ベンチ内のコーチやチームメイトからの情報を受け取った後ではなく、即座に行わなければならない。
  • 審判はタイムを宣言し、ビデオボードで投球が確認され、正しい判定が下される。チャレンジが成功した場合、そのチャレンジ権は維持される。失敗した場合には、そのチャレンジ権は失われ、チームが試合開始時に持っていた2回のチャレンジから差し引かれる。

(近日導入:TMobileによる自動ボールストライクチャレンジシステム(ABS)が、春季トレーニングの試合で初めて採用される。ABSは2021年からマイナーリーグで試験的に導入されており、2025 年はメジャーリーグの選手による試験運用が開始される。2025年のスプリングトレーニングでのゲームの約 60%がABSチャレンジシステムを使用して行われる...)

▶MLBグッズをAmazonでチェック!

ABSとは?

ABSという名称が誤解を招く理由となっている。ABSとは「Automated Balls and Strikes」の略であり、名前だけ聞くとホームプレートの後ろに審判はおらず、各投球後に自動判定が行われるように思われる。将来的にそうなる可能性はあるだろうが、現時点でのABSはそうではない。

現在のところ —そして2025年のMLBオールスターゲームでは— ABSは、ピッチャー、キャッチャー、またはバッターが試合中の投球に対して2度チャレンジできるシステムの名称となっている。チャレンジが成功すれば、そのチームのチャレンジ権は維持されるが、失敗すればそのチャレンジ権を失うことになる。

ABSはいつスタートした?

MLBは2021年からマイナーリーグでABSの試験導入を行ってきた。2022年からは下位リーグで何らかの形で導入されている。繰り返し成功を収めてきた末に、ABSは2025年のスプリングトレーニングで初めてMLBで導入された。レギュラーシーズンでは、2025 年のMLBオールスターゲームで初めてABSが使用される。

▶AmazonでMLB The Show最新シリーズをチェック!

チームのチャレンジ権は何回?

各チームには試合開始時、2つのチャレンジ権が与えられる。ピッチャー、キャッチャー、またはバッターが投球の判定にチャレンジした場合、そのチームのチャレンジ権が1つ使用される。チャレンジが成功した場合、そのチャレンジ権は保持されるが、失敗した場合、つまり審判の判定が正しかった場合には、チームはそのチャレンジ権を失うことになる。 

2025年のオールスターゲームに審判はいる?

「ABS」という名前を聞くと、もはや審判は不要になるのではないかと考えるかもしれない。しかし、現在のABSの使い方はそのような状況を実現するものではない。唯一変わる点は、審判のストライク・ボールの判定がチャレンジの対象となることだ。

2025年のMLBオールスターゲームでもこれまで通り審判がホームプレートの後ろに立ち、試合中のすべての投球について判定を行う。

▶土曜の朝はApple TV+でMLB中継! まずは7日間無料トライアル

原文:MLB robot umpires, explained: What to know about ABS challenge system and how it works for 2025 All-Star Game
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)


MLB関連記事

石山修二 Shuji Ishiyama

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。生まれも育ちも東京。幼い頃、王貞治に魅せられたのがスポーツに興味を持ったきっかけ。大学在学時に交換留学でアメリカ生活を経験し、すっかりフットボールファンに。大学卒業後、アメリカンフットボール専門誌で企画立案・取材・執筆・撮影・編集・広告営業まで多方面に携わり、最終的には副編集長を務めた。98年長野五輪でボランティア参加。以降は、PR会社勤務・フリーランスとして外資系企業を中心に企業や団体のPR活動をサポートする一方で、現職を含めたライティングも継続中。学生時代の運動経験は弓道。現在は趣味のランニングで1シーズンに数度フルマラソンに出場し、サブ4達成。

Teddy Ricketson

Teddy Ricketson is a Digital Content Producer at The Sporting News. He joined the team in 2024 after spending the last three years writing for Vox Media as part of its DK Nation/Network team. Teddy does his best to support the South Carolina Gamecocks and Carolina Panthers, but tends to have more fun cheering on the Atlanta Braves. In his free time, he loves spending time with his wife, Brooke, and their two dogs, Bo and Hootie.