サンフランシスコ・ジャイアンツに大学野球の強豪校出身の新監督が就任した。米ケーブル局『ESPN』のピート・サメル氏は、ジャイアンツがテネシー大学の監督トニー・ビテロを招聘すると報じた。
ヴィテッロはテネシー大で通算341勝131敗の成績を残し、カレッジワールドシリーズ優勝に輝いた実績を持つ。プロへの転身は数日前から噂されていたが、現地22日(水)午後に正式発表された。この人事によりテネシー大学は重要なポストが空席となり、ジャイアンツは来季のメジャーリグ(MLB)で最も注目すべきチームの一つとなった。
ここでは大学野球界からMLBへという珍しいステップアップを遂げたジャイアンツの新監督について紹介する。
Tennessee baseball coach Tony Vitello is finalizing a deal to become the next manager of the San Francisco Giants, sources tell me and @jeffpassan. Vitello, 47, will be the first ever to jump from college coach to MLB manager without any professional experience. Pic.twitter.com/A43z7x8ScP
— Pete Thamel (@PeteThamel) October 22, 2025
(テネシー大学の監督トニー・ビテロが、サンフランシスコ・ジャイアンツの次期監督に就任する契約を最終調整中だと複数の情報筋が私と @jeffpassan に伝えた。47歳のヴィテッロは、プロ経験なしで大学監督からMLB監督に抜擢される史上初のケースとなる)
トニー・ビテロとは?
ビテロは大学球界で最も成功を収めた精力的なヘッドコーチの一人だ。2017年にテネシー大学の監督に就任して以来、同校を全米屈指の強豪校へと変貌させたことで知られる。現役時代にはミズーリ大で内野手としてプレーした経歴を持つビテロは、ミズーリ大やTCU(テキサスクリスチャン大)、アーカンソー大での長期にわたってアシスタントコーチとしてのキャリアを積んだ。この期間、彼は全米屈指のリクルーターとしても評価を高め、毎年のように全米トップ15に入るリクルートクラスを編成し続けた。
ビテロのテネシー大でのキャリアは前例のない成功に彩られている。彼の指導下でテネシー大は5シーズン中3度(2021年、2023年、2024年)カレッジ・ワールドシリーズ進出を果たし、2024年には同校初のNCAA全米選手権優勝を達成した。
通算成績341勝131敗はテネシー大の野球史上でも歴代最高勝率であり、2024年には全米大学野球協会(ABCA)の最優秀監督賞を受賞した。
OFFICIAL: It’s Tony Vitello time ✍️ pic.twitter.com/PG5pvQwLYu
— SFGiants (@SFGiants) October 22, 2025
(公式発表:トニー・ビテロの番だ✍️)
ビテロのコーチ経験
ミズーリ大でプレーした後、ヴィテッロは2003年に母校でボランティアアシスタントコーチとして指導者のキャリアをスタートした。その後すぐにフルタイムのアシスタントコーチに昇格し、7年間をタイガースで過ごした。その間、チームを毎シーズンNCAAポストシーズンに出場し、全米ランク入りするリクルートクラスを何年にもわたって編成した。
ビテロはその後、TCU(2011~2013年)とアーカンソー(2014~2017年)という全米屈指の強豪校で、アシスタントコーチおよびリクルートコーディネーターを務めた。特にアーカンソーでは、2014年に全米1位のリクルートクラスを構築するなど、タレント評価に優れているという評判を急速に高めた。
また全米最優秀選手に輝いたアンドリュー・ベニンテンディ(ホワイトソックス)やサイ・ヤング賞を受賞したマックス・シャーザー(ブルージェイズ)など将来のMLBスター選手たちを指導したことで、プロレベルの才能を見出し、育成する能力でその名声を確固たるものにしていった。
ビテロにはMLBでのプレイ経験、コーチ経験はない。
ビテロのテネシー大との契約
2024年のカレッジ・ワールドシリーズ後、テネシー大学はビテロに記録的な契約延長を提示した。2024年8月に発表されたこの契約により、彼は大学野球界で最高額の報酬を得る監督となった。
テネシー大学との5年契約では年俸300万ドル、契約期間は2029年6月30日までとなっていた。
過去に大学野球の監督がMLBの監督となったことはある?
大学野球界のコーチが直接MLBの監督に就任することは極めて稀であり、プロでの経験がないコーチを採用することもほぼ前例がない。
MLBの監督の中にはかつて大学で成功を収めたコーチだったケースもあるが、ほとんどの場合は監督となる前にプロでその実力を証明する時間を過ごしている。
例えばミルウォーキー・ブルワーズのパット・マーフィー監督ははノートルダム大学とアリゾナ州立大学で 20年以上にわたりヘッドコーチを務めて成功を収めた。その後、ブルワーズの監督に昇格するまでには、サンディエゴ・パドレスのマイナーリーグシステムやMLBのベンチコーチとして10年近くを過ごしている。
これに対し、ビテロはプロとしてのコーチ経験なしでテネシー大学から直接MLBに転身することになる。
原文:Who is Tony Vitello? Meet the University of Tennessee coach making rare college-to-MLB jump to manage the Giants
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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