2015年10月14日、ディビジョン・シリーズ第5戦の7回裏、トロント・ブルージェイズのホセ・バティスタが勝ち越し3ランホームランを放った。ブルージェイズはこの試合に勝利し、テキサス・レンジャーズを下してアメリカンリーグ チャンピオンシップシリーズ(ALCS)へ進出した。
それから10年後、今度はジョージ・スプリンガーがその日を思い起こさせるような、ブルージェイズ史上に残るホームランを放った。7回裏、トロントが1対3でリードされていた状況でスプリンガーが3ランホーマーを放ち、4対3と逆転した。ブルージェイズはそのままこの試合を4対3で制し、32年ぶりのワールドシリーズ進出を決めた。
この光景は3659日前にバティスタが成し遂げたことにどこか似ていた。
GEORGE SPRINGER GO-AHEAD HOME RUN IN GAME 7
— FOX Sports: MLB (@MLBONFOX) October 21, 2025
WOW!!! Pic.twitter.com/Skt9REgmm0
(第7戦、ジョージ・スプリンガーの勝ち越しホームラン、WOW!!!)
スプリンガーの活躍はブルージェイズをここまで導き、ワールドシリーズへと押し上げた。同時にポストシーズンの通算本塁打記録でも彼を上位へと押し上げた。
ここでは、MLBの歴史に刻まれるだろうスプリンガーの本塁打を振り返る。
スプリンガーのポストシーズンのホームラン数
スプリンガーは現代の「ミスター・オクトーバー」の異名を取るにふさわしい選手と言える。この日の一本はポストシーズン通算23本目の本塁打となり、MLB史上でも歴代トップクラスに名を連ねている。
George Springer hit a 3-run HR on a 96-mph sinker in the bottom of the 7th to give the Blue Jays the lead in a winner-take-all game.
— Danny Vietti (@DannyVietti) October 21, 2025
Jose Bautista hit a 3-run HR on a 97-mph sinker in the bottom of the 7th to give the Blue Jays the lead in a winner-take-all game. Pic.twitter.com/CEjj7DQiRK
(ジョージ・スプリンガーは7回裏、96マイル(154キロ)のシンカーを捉えて3ランホーマーを放ち、勝者がシリーズを勝ち取る試合でブルージェイズにリードをもたらした。ホセ・バティスタは7回裏、97マイル(154キロ)のシンカーを捉えて3ランホーマーを放ち、勝者がシリーズを勝ち取る試合でブルージェイズにリードをもたらした)
スプリンガーの今ポストシーズンのスタッツ
スプリンガーはこのポストシーズン、打率.239、本塁打4本、打点9を記録している。
George Springer is the second player in MLB history to hit a go-ahead HR when down multiple runs in the 7th inning or later of a winner-take-all postseason game (Pete Alonso in 2024). Pic.twitter.com/KaVo4QkU1H
— ESPN Insights (@ESPNInsights) October 21, 2025
(ジョージ・スプリンガーは、ポストシーズンのシリーズの勝者を決する最終戦において7回以降に複数得点リードされている状況で勝ち越しのホームランを放ったMLB史上2人目の選手となった。1人目は2024年のピート・アロンソ)
この1本は彼自身にとってはもちろん、今年のポストシーズンにおいても、ブルージェイズの歴史においても最も重要な瞬間だったと言える。
ポストシーズンの通算最多本塁打
スプリンガーのポストシーズン通算23本塁打は、現在MLB屈指のホームランヒッターとして名高いカイル・シュワーバーと並ぶMLB史上3位タイの記録となっている。
| 順位 | 選手 | ポストシーズンの通算本塁打数 | チーム |
| 1 | マニー・ラミレス | 29 | インディアンズ、レッドソックス、ドジャース |
| 2 | ホセ・アルトゥーベ | 27 | アストロズ |
| 3 | カイル・シュワーバー | 23 | カブス、フィリーズ |
| 3 | ジョージ・スプリンガー | 23 | アストロズ、ブルージェイズ |
| 5 | バーニー・ウィリアムス | 22 | ヤンキース |
| 6 | デレク・ジーター | 20 | ヤンキース |
語り継がれるホセ・バティスタのバットフリップ
ブルージェイズの歴史に残る象徴的な瞬間は2015年10月14日、テキサス・レンジャーズとのアメリカンリーグ ディビジョンシリーズ第5戦、勝敗を決する一戦で訪れた。
トロントで行われたこの試合は7回、混沌とした展開を迎えた。7回表、キャッチャーの返球がチュ・シンスのバットに当たって内野に転がったボールは当初ボールデッドとされたものの、抗議の末にインプレーと認められ、レンジャーズが3-2でリードを奪った。ロジャース・センターに詰めかけた観客の希望が打ち砕かれかけた瞬間だった。
その判定後の緊張と苛立ちは、バティスタの英雄的な活躍へむけた舞台を完璧に整えた。
Coming in at #2 in our top 10 Blue Jays playoff moments in franchise history.
— Blue Jays Nation (@thejaysnation) October 3, 2025
Jose Bautista's home run and bat flip in game 5 of the 2015 ALDS. A moment that will be remembered forever!
🎥 MLB pic.twitter.com/rFkgHlbzWt
(ブルージェイズ史上のプレイオフ名場面トップ10の第2位に選ばれたのは、2015年ALDS第5戦でのホセ・バティスタのホームランとバットフリップ。永遠に語り継がれる瞬間である!)
そして7回裏、3対3の同点で迎えた打席で2人の走者を置き、バティスタは431フィート(約131メートル)の勝ち越し3ランホームランを放ち、トロントをチャンピオンシリーズへと導いた。
この一打、そしてこの後に起きたことがこの一瞬をMLBの歴史に刻み込んだ。世界中に知れ渡ったバットフリップだった。
バティスタは一瞬、ボールの軌道を眺める、力強くバットを放り投げた。このバットフリップは即座にブルージェイズの歴史とポップカルチャーに永遠に刻まれた。
原文:George Springer playoff HRs: Blue Jays outfielder has Jose Bautista moment in ALCS Game 7
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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