このオフシーズンに何の補強をしなかったとしても、ロサンゼルス・ドジャースはおそらく来季もワールドシリーズ制覇の有力候補であり続けるだろう。
二連覇を果たしたドジャースは、今年のワールドシリーズ第7戦でトロント・ブルージェイズに瀬戸際まで追い込まれたが、超豪華な戦力を駆使して再び優勝を掴み取った。2026年もブレイク・スネル、山本由伸、タイラー・グラスノーが先発陣を支え、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、ウィル・スミスらが打線の主力として名を連ねる。そしてメジャーリーグ(MLB)最大のスター、大谷翔平は投打両面で輝きを放つだろう。
しかし近年のドジャースは明確な姿勢を打ち出している。ワールドシリーズ制覇、そして勝利を追い求める姿勢に決して慢心はない。
2025年、連覇を目指したロサンゼルスは多くの課題も露呈した。
三連覇を目指す2026年、ドジャースはどの穴を補強するだろうか? ここでは、今オフにドジャースが狙うべきフリーエージェント(FA)6選手をピックアップする。
6. デビン・ウィリアムズ(救援投手/クローザー)

- 2025年の成績: 67試合、18セーブ、62.0イニング、自責点33、被安打45、四球25、奪三振90、防御率4.79、WHIP 1.129
2年連続ワールドシリーズ制覇を果たしたチームに明らかな弱点があるとすれば、その一つが右のリリーフ投手だ。昨年のオフ、ドジャースはカービー・イェーツとタナー・スコットを獲得し、ブレイク・トレイネンを残留させた。ブルペン陣は強みになると期待されていた。だがワールドシリーズでは、デイブ・ロバーツ監督は先発投手たちの登板を可能な限り引き伸ばし、リリーフ役にも活用した。
左のリリーフ投手にはさほど問題ではない。2026年にはスコット、ジャスティン・ロブレスキー、アレックス・ベシア、アンソニー・バンダ、ジャック・ドレイヤーを再び起用できる。右投手に関しては、イェーツとマイケル・コペックがフリーエージェントとなった。ブレイク・トレイネンは2025年シーズンは不振だったし、エヴァン・フィリップスはトミー・ジョン手術のため2026年シーズンは出場できないだろう。
ロバーツ監督はブルペンに信頼できる右投手が必要になるだろう。佐々木朗希はポストシーズンでクローザーの役割を十分に果たせることを証明した。それでも、フリーエージェントの選択肢としては、2025年シーズンをニューヨーク・ヤンキースでプレイしたデビン・ウィリアムズが考えられる。
ウィリアムズの2025年の防御率4.79は、2019年のルーキーシーズン以来の最悪の数字だった。しかし、復活する可能性に加え、彼にはフリーエージェント市場にいる右のリリーフ投手の中では比較的安価な選択肢となる可能性がある。ミルウォーキーで時代には58.2イニングを投げ、87奪三振、36セーブを記録した2023年シーズンを含め、2度のオールスター選出という最高の成績を残している。
ウィリアムズは今オフ獲得可能な救援投手の中ではエリートとは言い難いが、過去にその域に達する実力を証明している。ドジャースは2026年に彼がその圧倒的な投球を取り戻す可能性に賭け、重要な局面でのリリーフ候補として獲得するかもしれない。
5. 村上宗隆(一塁/三塁)

- 2025年の成績 (NPB): 69試合、打率.286、出塁率.392、長打率.659、OPS 1.051 OPS、二塁打10、本塁打24、打点52、盗塁5、四球38、三振71
ドジャースは内野手を必要としている訳ではない。マックス・マンシー、トミー・エドマン、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンはいずれも、ワールドシリーズ制覇に貢献した主力選手であり、来季もそれぞれのポジションの有力な選択肢だ。しかし、エドマンを除く全員が30歳を超えているため、特にコーナーポジション(一塁・三塁)において、ロサンゼルスは長期的な内野陣の将来像を考え始めるかもしれない。フリーマンは36歳、マンシーは35歳だ。
そこで日本のスター、村上宗隆の登場だ。彼は11月初旬に正式にポスティングされた。25歳の村上は2022年に56本塁打を放ち、NPBにおける日本人選手のシーズン最多本塁打記録を保持している。三振率や守備力の不足に対する懸念はあるものの、村上の長打力はMLBのフリーエージェント市場で注目を集めるだろう。
ドジャースは日本のトップ選手にとって定番の移籍先となっている。大谷翔平は2023年12月にフリーエージェントとしてエンゼルスを離れてドジャースを選択した。その後、山本由伸が日本から移籍し、3億2500万ドルという高額契約で大谷に合流した。さらに2025年1月には佐々木朗希が新たな日本人選手としてドジャースに加わった。
2026年は村上を限定的な役割に留め、2027年までにマンシーやフリーマンに取って代わるという想定のもと、ドジャースがこの左のスラッガーを獲得する理由は十分にありうる。2026年はMLBに順応しつつ、村上がその長打力を発揮する環境があるとすれば、それはドジャースに他ならない。
4. コディ・ベリンジャー(外野手)

- 2025年の成績: 152試合、打率.272、出塁率.334、超打率.480、OPS.813、二塁打25、本塁打29、打点98、盗塁13、四球57、三振90
コディ・ベリンジャーがドジャースへ復帰する選択肢はあるのだろうか? 2019年にロサンゼルスでナ・リーグ MVPを獲得したベリンジャーは、2023年にチームを去った。その時は下降傾向にあり、そのパワーを除けば打撃面で負担となる存在になりつつあった。しかしその後3シーズンで、ベリンジャーは今オフのフリーエージェント市場で高額契約を勝ち取る態勢を整えた。
2023年と2024年のカブス、そして2025年のヤンキースで、ベリンジャーは堅実な外野守備を維持しつつ打撃面も修正してきた。今シーズンはWAR(5.1)と本塁打数(29)でドジャース時代の2019年MVPシーズン以来最高の数字を記録している。
ドジャースの外野陣は、ブルペン陣と並んで改善が必要なエリアだ。テオスカー・ヘルナンデスの打撃力は依然として高いが、守備面ではMLBでも最下位クラスの右翼手である。マイケル・コンフォートは不振を極めてフリーエージェントとなった。アンディ・パヘスは守備では光る場面を見せたものの、2025年シーズンを通じて打撃面で苦戦を強いられた。
エリートチームとは思えない話だが、ドジャースは外野の打撃力強化が必要だ。ベリンジャーはそのニーズに合致する。ヘルナンデスが左翼へ移る可能性もある中、堅実な右翼を守れるだけでなく、ドジャース・ファンにとって馴染みのある選手、復活を遂げつつある選手だからだ。
ロサンゼルスは今オフに外野手を求めており、米ケーブル局『ESPN』のジェフ・パッサン氏も ドジャースがベリンジャーに「関心を示している」としている。
3. ロベルト・スアレス(救援投手/クローザー)

Mandatory Credit: Gary A. Vasquez-Imagn Images
- 2025年の成績: 70試合、40セーブ、69.2イニング、自責点23、被安打47、四球16、奪三振75、防御率2.97、WHIP 0.904
右のリリーフ投手ではこのオフ、フリーエージェント市場にトップクラスの投手が二人いる。その1人がロベルト・スアレスだ。スアレスはこの数シーズンでMLB屈指の信頼できる救援投手となった。
スアレスはドジャースが2025年ポストシーズンで欠いていた、空振りの取れる救援投手だ。佐々木と組ませれば8回、9回を締めくくる1-2パンチとなるだろう。
スアレスの獲得は、現時点で最大のライバルであるナショナルリーグ西地区のサンディエゴ・パドレスから戦力を引き抜くという意味でもいい気分だろう。パドレスを上回る契約提示でスアレスを獲得することは、ドジャース黄金時代を象徴する新たな金銭的パワープレイとなる。
2024年シーズン開始以降、75セーブ以上を記録したMLB唯一の救援投手であるスアレスは、ドジャースが獲得できる最高のクローザー/救援投手の1人だ。ドジャース加入には 過去の確執が大きすぎる かもしれないが、自然とチームに溶け込んでいくだろう。
2. カイル・タッカー(外野手)

- 2025年の成績: 136試合、打率.266、出塁率.377、長打率.464、OPS.841、二塁打25、本塁打22、打点73、盗塁25、四球87、三振88
この組み合わせが実現するようなら、2027年のMLBロックアウトに備えた方がいいだろう。ドジャースはトップクラスのFA選手を獲得することで知られており、既に巨額の契約を抱えている。MLBにサラリーキャップが必要かどうかの議論を巻き起こしている中心的存在がドジャースだ。もし彼らがタッカーまで獲得するようなことになれば、FA市場で最高の選手、打者を手中に収めることになり、大きな混乱が起きるかもしれない。
一方で、現実的に考えてもタッカー獲得はドジャースにとって理にかなった補強だ。将来的な支払いを多く抱える中、28歳のタッカーが期待しているような長期契約をドジャースが提示できるとは考えにくい。だが、タッカーが優勝争いできるチームへの加入を望み、短期の高額契約を受け入れるなら、ドジャースはフィットするだろう。
タッカーは野球界で屈指のオールラウンダーとなった。堅実な外野の守備に加え、打率も残せるし、長打も狙える。四球を選ぶこともできれば、走力もある。ベリンジャーの時にも触れたが、ドジャースにはテオスカー・エルナンデスの不振をカバーできる、守備力に優れた信頼できる外野者が必要だ。
他チームのファンにとっては苛立たしいだろうが、トップクラスのFA打者であるタッカーの移籍先候補としてドジャースを外すことはできない。ドジャースはこれまでにもチーム強化のためなら惜しみなく資金を投入しており、今の彼らはタッカーの力を必要としているのだ。
1. エドウィン・ディアス(救援投手/クローザー)

- 2025の成績: 62試合、28セーブ、66.1イニング、自責点12、被安打37、四球21、奪三振98、防御率1.63、WHIP 0.874
もしドジャースが打線強化に巨額を投じる意向がないなら、その資金は2025年に弱点だったブルペンに充てるべきだろう。そしてこのオフのFA市場で最も大型の契約を手にするだろう右腕はエドウィン・ディアスだ。
31歳のディアスは2024年に調子を崩したが、2025年にはニューヨーク・メッツで復調し、28セーブ、98奪三振を記録して3度目のオールスター選出も果たした。現在のMLBで彼以上のリリーフ投手は多くない。右腕となればなおさらだ。2026年も多くの勝利を積み重ねるであろうドジャースでもディアスは即座に守護神の最有力候補となるだろう。
2度目のナショナルリーグ最優秀救援投手賞を今季受賞したディアスは、来季メッツに復帰しない可能性があることを自ら語っている。優勝争いをするチーム、確立された抑えの役割、そして高額な契約、現実的に見てもドジャースであればディアスが望む全てのものを提供することができる。
ドジャースは補強ポイントにトップクラスの選手を獲得していくという点では今やMLB随一のチームとなった。今オフの彼らの最優先課題は信頼できる救援投手であり、そのニーズにディアス以上に適した選択肢は存在しない。
原文:Dodgers free agency targets: Ranking the 6 best options for L.A., from Edwin Diaz to Kyle Tucker
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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