ブルージェイズのファン「大谷はいらない」、ドジャースの大谷翔平へのチャントの理由とは?

Dan Treacy

小鷹理人 Masato Odaka

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トロント・ブルージェイズのファンたちは、実に32年ぶりとなるワールドシリーズ初戦の大半を立ち上がって応援していた。しかし、6回に9点を奪うビッグイニングで試合が一方的になると、彼らは少し余裕を見せ始めた。

9回、大谷翔平がその日の最後の打席に立つと、ロジャース・センターの観客席からは「We don’t need you(大谷はいらない)」、あるいは「We don’t need him」というチャントが響き渡った。

大谷は直前の7回に2ランホームランを放ったが、ロサンゼルス・ドジャースは依然として11-4と大差で劣勢。ブルージェイズのファンたちは、王者撃破への自信に満ちていた。

ここでは、なぜブルージェイズファンが大谷翔平に向かってこのチャントを浴びせたのか、その背景を説明する。

ブルージェイズファンの大谷へのチャントの理由とは?

ブルージェイズファンがワールドシリーズ第1戦の9回に大谷へ「We don’t need you」と叫んだのは、2023年オフのFA市場で、大谷がブルージェイズではなくドジャースを選んだからだ。

トロントは大谷獲得に非常に積極的で、自信を持って交渉に臨んでいた。しかし、最終的に大谷はロサンゼルスに残り、ドジャースと契約した。

ブルージェイズファンにとって、この過程は特に苦いものだった。2023年12月8日、大谷がトロント行きのプライベートジェットに乗っているという報道が流れ、「ついにブルージェイズ入りか」と多くのファンが信じた。実際、大谷はすでにチームと一度面談をしており、決断間近と伝えられていたため、その飛行機が「契約サインのための移動」と見られたのだ。

しかし、実際にその飛行機に乗っていたのは、「シャーク・タンク(Shark Tank)」の投資家ロバート・ハージャベック氏であり、大谷ではなかった。大谷は飛行機に乗っておらず、翌日にドジャースと契約することを発表した。

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大谷の決断からほぼ2年が経つが、この話題はワールドシリーズ前に再び注目された。

ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督は冗談交じりにこう語った。

「彼(大谷)があの時持っていったブルージェイズの帽子、返してくれたらいいのにね。あと、デコピン(大谷の愛犬)用のジャケットも。僕らのものを返してくれよ」

これに対し、大谷は笑いながら「帽子は返しません。ガレージにあります」と答えた上で、ブルージェイズの組織を称賛した。

「本当に素晴らしい時間を過ごせました。チーム全体から一流の印象を受けました」(通訳を通じて)

トロントの人々は、まだ“高潔な対応”を取る気にはなっていないようだ。

もしブルージェイズがドジャースを倒して32年ぶりの優勝を果たすことができれば、そのときこそファンたちはようやく「これでチャラだ」と言えるかもしれない。

大谷翔平はブルージェイズでプレーしたことがある?

ファンの中には、「大谷はドジャースに来る前、ブルージェイズにいた?」と思う人もいるかもしれない。しかし、実際にはそうではない。

大谷はメジャーでの最初の6シーズンをロサンゼルス・エンゼルスで過ごし、2023年に同じ南カリフォルニアのライバル球団のドジャースに移籍した。

2017年にアマチュアFAとしてMLB入りした際、ブルージェイズがどれほど真剣に獲得を狙っていたかは定かではないが、当時はシアトル・マリナーズが有力候補の一つと見られていた。

現在ブルージェイズは、そのマリナーズとともに「大谷争奪戦で敗れたチーム同士」としてALCS(アメリカンリーグチャンピオンシップシリーズ)を戦っており、2年前に北の国行きを断られたトロントの心の傷は、いまだ完全には癒えていないようだ。

原文:Blue Jays' Shohei Ohtani chant: Why fans shouted 'We don't need you' at Dodgers star during World Series
翻訳:小鷹理人(スポーティングニュース日本版)

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