大型契約の可能性も囁かれた中、シェーン・ビーバーは直感を信じて決断した。
米紙『ニューヨーク・ポスト』のジョン・ヘイマン氏 によれば、ビーバーは400万ドル（1ドル154円換算で約6億1600万円、以下同）の買い取り条項を放棄し、1600万ドル（約24億6400万円）のオプションを行使してブルージェイズに残留した。第7戦の衝撃的な敗戦から数日後、彼は敗因について自らの責任を認め、チームを深く愛していることを語っていた。
彼は今、その言葉を実行に移している。
今季のビーバーの成績
ビーバーは7試合に先発登板し、40.1イニングを投げ、防御率3.57、WHIP1.02、37奪三振を記録した。サンプル数は少ないが、トミー・ジョン手術からの長い復帰期間を経た後としては期待が持てる内容だった。速球は90マイル台前半（140キロ台後半）、スライダーは80マイル中盤（130キロ台後半）で、5種類の球種を駆使する投球スタイルは健在だった。
今後の活躍を期待させるだけの球速 と制球力を見せたと言っていいだろう。
2026年のローテーション
ビーバーの残留で、ブルージェイズはケビン・ゴーズマン、ホセ・ベリオス、トレイ・イーサベッジと共により安定したトップ4を形成する。
ジャリエル・ロドリゲス、チーム内の他の投手がその後に続くが、このラインアップであればイーサベッジに2年目の過重な負担がかかることもないだろう。
もしクリス・バシットとマックス・シャーザーがチームを去るなら、先発投手がもう1人、先発・救援ともこなすスイングマンが欲しいところだ。とはいえ、計算できる先発投手がすでに4人がいる状況は、現時点でア・リーグの他の優勝候補チームをリードしている。
2026年のCBT（ぜい沢税）の状況
MLBの2026年のぜい沢税の基準値は 2億4400万ドル（約375億7600万円）となる。ブルージェイズはブラディミール・ゲレーロJr.の年3571万ドル（約54億9934万円）を含め、既に約9340万ドル（約143億8360万円）をコミットしている。
つまり、残りのロスターに追加コスト（イェサベージ〈調停前〉、先発ローテーションの拡充、ブルペン補強、調停対象選手、通常の40人登録枠／福利厚生分）が発生する前の時点ではあるが、まだ約1億5060万ドル（約231億9240万円）の余裕があることになる。主力選手の年俸は高額ではあるが、チームとして完全に手詰まりという状況ではない。妥当なコストであれば、先発投手1人とリリーフ投手1人を補強できる余地はある。
ビーバー残留後のブルージェイズの課題
ショートはどうする？ ： ブルージェイズは本当にボー・ビシェットを手放すのか？もしそうなら、プランBは？ 彼が残留すれば万事OKだが、そうでないなら、レギュラークラスの選手を獲得するか、守備のスペシャリストとビシェットがいなくなる分の攻撃力をアップする他の選手の組み合わせを考える必要がある。
バシット／シャーザー残留か、外から補強するか： バシット残留には短期の高額年俸が必要だろう。シャーザーは2026年も現役続行を望んでいる。もし2人がチームを去った場合、信頼できる先発投手1人と先発のオプションともなりうる投手を獲得してくる必要がある。
イニングを任せられる投手を： 長いイニングを戦ったこのワールドシリーズを振り返ると、インセンティブ・ベースの契約で補強できれば理想的だ。若手投手陣に休息を与えるためにも、ロドリゲスともう1人、イニングを任せられる投手を用意しておきたい。
ブルペンの再構築へ： ジェフ・ホフマンはいるが、もう1人のクローザ候補と複数イニングを投げられる投手を確保できれば、主力投手が6月までに消耗することも避けられる。
まとめ
ビーバーの残留は先発投手陣を安定させ、ブルージェイズの強みを生かした戦いを可能にする。彼が今季終盤の調子を来季の春先に見せられるなら、ブルージェイズに必要なのは先発投手もう1人、より堅実な控え投手陣、そしてブルペンの微調整といったところ。ワールドシリーズ第7戦まで勝ち進んだチームに必要な補強はそのくらいで、堅実に補強を進めていけば派手さは必要ない。
原文：Blue Jays lock in Shane Bieber as rotation anchor for 2026
翻訳・編集：石山修二（スポーティングニュース日本版編集部）
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