連覇することはスポーツにおいて最も困難な偉業の一つである。その傾向は特に野球において当てはまる。
ゲームの本質そのものからメジャーリーグ(MLB)が絶えず変化させてきたプレイオフのフォーマットまで、MLBの各チームは様々な理由でワールドシリーズ連覇に常に苦戦してきた。ファンの中にはパリティ(戦力均衡)が欠けていると主張する向きもあるが、近年MLBで連覇を達成するチームがない事実はその指摘に反するものだ。
ここでは、MLBにおけるワールドシリーズ連覇の歴史を振り返ってみる。
ワールドシリーズ連覇は?
ロサンゼルス・ドジャースは2024年と2025年にワールドシリーズ連覇を達成し、ニューヨーク・ヤンキースが1998年、1999年、2000年に3年連続でワールドシリーズ制覇を果たして以来の連覇チームとなった。1996年から5年間で4度ワールドシリーズを制したヤンキースこそが、このスポーツにおける最後のダイナスティ(王朝)を築いたチームだった。
1998年、ヤンキースはレギュラーシーズン114勝というMLB史上屈指のシーズンを送った。そしてプレーオフでも11勝2敗と勝ち続け、3年間で2度目の優勝を果たした。この成績を翌年も維持するのは困難なチャレンジだったが、彼らは1999年にそれを成し遂げ、この10年間で2チーム目となるワールドシリーズ連覇を達成した。
ヤンキースがその間に行った補強といえば、トロント・ブルージェイズとのトレードによるロジャー・クレメンス獲得が挙げられる。クレメンスはその前年までブルージェイズで2年連続サイ・ヤング賞に輝いていたが、ブルージェイズに優勝のチャンスがなかったため、優勝争いのできるチームへの移籍を希望していた。
ヤンキースのロスターは、デレク・ジーター、アンディ・ペティット、マリアノ・リベラを軸にクレメンス以外はほぼ同じメンバーだった。バーニー・ウィリアムス、デビッド・コーン、スコット・ブロシアスはフリーエージェントとなったがいずれもチームと再契約し、連覇に向けた強力なチーム体制を整えた。
その結果、レギュラーシーズンでは98勝64敗と前年に比べて16勝減らしたが、それでもヤンキースはアメリカンリーグ最高の成績で収めた。さらにポストシーズンでは全く苦戦することなく、3つのシリーズで11勝1敗、そしてワールドシリーズでは103勝を挙げたアトランタ・ブレーブスをスイープして連覇を達成した。
ドジャースは、まず2024年のワールドシリーズでヤンキースを4勝1敗で下し、続く2025年のワールドシリーズでは第7戦までもつれた末にトロント・ブルージェイズを延長戦で破り、2年連続の王座を手にした。
過去に日本一連覇したチームは?
MLBの歴史で、ワールドシリーズを連覇したチームは15チームある。この中には3連覇を達成した3チーム、5連覇を達成した1チームが含まれている。
| チーム | シーズン |
| ロサンゼルス・ドジャース | 2024, 2025 |
| ニューヨーク・ヤンキース | 1998, 1999, 2000 |
| トロント・ブルージェイズ | 1992, 1993 |
| ニューヨーク・ヤンキース | 1977, 1978 |
| シンシナティ・レッズ | 1975, 1976 |
| オークランド・アスレティックス | 1972, 1973, 1974 |
| ニューヨーク・ヤンキース | 1961, 1962 |
| ニューヨーク・ヤンキース | 1949, 1950, 1951, 1952, 1953 |
| ニューヨーク・ヤンキース | 1936, 1937, 1938 |
| フィラデルフィア・アスレティックス | 1929, 1930 |
| ニューヨーク・ヤンキース | 1927, 1928 |
| ニューヨーク・ジャイアンツ | 1921, 1922 |
| ボストン・レッドソックス | 1915, 1916 |
| フィラデルフィア・アスレティックス | 1910, 1911 |
| シカゴ・カブス | 1906, 1907 |
なぜ連覇は難しいのか?
アメリカの主要スポーツの中でも、MLBは最も連覇が難しいリーグだ。
これには多くの理由があるが、1番の理由はMLBのプレイオフが長く設計されており、ポストシーズンの間により多くの偶然性が働くためだ。
2000年にヤンキースが最後の連覇を達成して以来、MLBはプレイオフを二度拡大しており、そのフォーマットは常に変化し続けている。
1903年から1968年の間はMLBのプレイオフはワールドシリーズのみで、両リーグの優勝チームが対戦していた。その後、1969年にALCS(アメリカンリーグ チャンピオンシップシリーズ)とNLCS(ナショナルリーグ チャンピオンシップシリーズ)が追加され、1993年まで4チームによるプレイオフの形が続いた。
1995年、MLBは両リーグをそれぞれ3地区に再編すると、プレイオフにワイルドカード枠を1つずつ追加した。これによりプレイオフ進出チームは各地区の優勝チームとワイルドカードの計8チームとなった。その後、2012年にはワイルドカードゲームが導入されて新たなプレイオフ枠が2つ追加され、さらに2022年にはワイルドカードラウンドが創設され、さらにプレオフ枠が2つ追加されて現在の12チームのフォーマットとなっている。
結果として、ワールドシリーズを制するには以前より多くのチームを倒さねばならず、偶然性の要素が増すとともに、プレイオフの間に調子を落とす可能性も高まった。また野球はもともと波のあるスポーツである。レギュラーシーズンでどんなに好調だったチームも、最悪のタイミングで不調に陥る可能性がある。
原文:Back-to-back World Series winners: History of MLB teams with consecutive titles and how hard it is to repeat
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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