ホープフルS2025 レース詳細
12月27日(土)、中山競馬場でホープフルS(G1、芝2000メートル、2歳)が行われる。
ここでは注目データの紹介、予想のポイント、全頭診断を行う。
ホープフルS2025 注目データ
関西馬
G1昇格後、所属別の成績は以下の通り。
| 所属 | 着順 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 関東馬 | 1-1-4-43 | 2.0% | 4.1% | 12.2% |
| 関西馬 | 7-7-4-58 | 9.2% | 18.4% | 23.7% |
関東で開催される2歳重賞ながら、関西馬が勝率、連対率、複勝率すべてで関東馬を上回っている。
2歳馬は初の長距離輸送が原因し、本来の結果を出し切れないケースがある。にもかかわらずこの数字が出ているということは、偶然の産物ではない。
以前は栗東と美浦の坂路の質が若駒の完成度に影響すると言われていたが、美浦は2023年10月に新坂路がオープン。2歳馬が長く使えるようになった昨年のホープフルSでは関東馬の巻き返しが期待されたが、1着から7着まで関西馬が占領。時代の変化は起きなかった。
今回も、関西馬を中心に馬券は組み立てたい。
ホープフルS2025 予想のポイント
距離経験
G1昇格後の17年以降、3着以内に入った24頭のうち、17 頭が コーナー4つの競馬での勝利経験 を持つ。過去のレースをみると、3角から4角にかけてのコーナリングでスタミナがない馬はガス欠してしまう。距離経験は大事な要素の1つだ。
一方、コーナー4つの競馬で勝利経験がない中で好走した馬が以下の通り。
| 年 | 着 | 馬名 | 後の主なG1成績 |
|---|---|---|---|
| 17年 | 1着 | タイムフライヤー | |
| 17年 | 2着 | ジャンダルム | 22年G1スプリンターズS覇者 |
| 18年 | 1着 | サートゥルナーリア | 19年G1皐月賞覇者 |
| 19年 | 1着 | コントレイル | 20年牡馬クラシック3冠 |
| 19年 | 3着 | ワーケア | |
| 20年 | 1着 | ダノンザキッド | 22年G1マイルCS2着など |
| 24年 | 1着 | クロワデュノール | 25年ダービー馬 |
7頭のうち4頭が後のG1馬と、名馬たちがラインナップ。コーナー4つの競馬に即対応できる競走馬として高い力を持つ馬が、その条件を跳ね返すことができる。
また、春クラシック路線へのローテーションとして定まってきた19年以降の該当馬4頭はいずれも東京芝1800メートルでの勝利経験を持っていた。
コーナー4つの勝利経験がない馬で、東京芝1800メートルを勝利経験がない馬は思い切って消すのも手だ。
ホープフルS2025 出走馬 全頭診断
ここでは、出走馬全頭の評価を行う。S、A、B、C、Dの5段階評価で、Sが最高評価。
(掲載は50音順)
アーレムアレス(牡2、栗東・橋口)【評価B】
一発を期待できる馬だ。
特に内容が濃かったのは新馬戦。函館芝1800メートルで行われたが、後半5Fのタイムが58秒6。これがとても優秀だった。
23年ホープフルS覇者のレガレイラは同コースで新馬戦を勝利したが、その時の後半5Fのタイムは59秒7。1秒以上アーレムアレスの新馬戦の方が速い。馬場の条件やペースなどに違いはあるが、それを考慮しても同馬の力が高いことを表している。
その後札幌2歳Sは4着に敗れたが、ゲートで出遅れ序盤に脚を使った部分が大きかった。前走黄菊賞は休み明け。さらに道中は外々を回って進出する距離ロスがありながら、勝ち馬とクビ差2着と内容が良かった。上位候補だ。
アスクエジンバラ(牡2、栗東・福永)【評価C】
今夏コスモス賞勝ち馬。同レースはメンバーレベルが低かったが、圧勝のパフォーマンスだった。
前走京都2歳Sは2着に。内枠から鞍上が上手に運び、直線では狭いところをこじ開けてきた。ここまで馬券圏外に敗れたのは新馬戦とサウジアラビアRCの2戦のみ。地力がある馬で、ここでも内枠が欲しいところだ。
アンドゥリール(牡2、栗東・中内田)【評価A】
異次元のフットワークを持つ怪物候補。
新馬戦は2着に敗れたが、マイル戦ながら前半1000メートル63秒0とドスロー。鞍上は無理に勝ちにいかず、競馬を覚えさせるためにしっかりと後方で脚を溜めた。直線では逃げ馬を猛追する末脚を発揮。負けて強しの競馬だった。
2戦目の未勝利は2着に5馬身差をつける圧勝劇。ラップも優秀で、後半4Fが11:8-11:8-11:5-11:5と緩むことなく最後まで伸び続けた点も評価ポイントだ。
前走アイビーSは出世レース。21年に後のダービー馬ドウデュース、昨年は後の天皇賞馬マスカレードボールが制した。その勝ちのあるレースを快勝しただけに、期待は大きい。
マイルデビューでスタートが速く、前進気勢が強い。前述の通り、今メンバーではトップクラスのフットワークの持ち主だ。ただ、スピードが有り過ぎるが故に中山芝2000メートルがどうか。初のコーナー4つがトリッキーな内回りであることは難易度が高く、東京で買いたい馬の1頭だ。
だからこそ、ここを勝利すれば一気に来年のクラシック主役候補に名乗りを上げる。注目の一戦を迎える。
ウイナーズナイン(牡2、栗東・小栗)【評価B】
今回と同コースの芙蓉Sを好時計で勝利した馬だ。
同レースの勝ち時計は2分00秒3で、過去10年の同レースでは最速。同じく2分00秒台で走ったラーグルフが21年ホープフルSで3着に好走しただけに、この馬の中山適正は高そうだ。
前走の京都2歳Sは6着に敗れたが、3角から進出を開始する「勝ちに行く競馬」を選択。結果的に早仕掛けとなったが、継続騎乗となる今回は挽回を期待したい。
オルフセン(牡2、美浦・斎藤誠)【評価B】
新馬戦は内容のある3着だった。先行内枠有利な東京芝2000メートルで、同馬は大外のピンク帽を引いて後方からレースを進めた。前半1000メートルは62秒9とドスロー。それでも競馬を教えるために鞍上は後方でじっくり脚をためた。
直線でもギリギリまで追い出しを我慢。残り200メートル手前から一気にエンジンを点火させると、1頭凄まじい勢いで先行勢を強襲。能力を感じさせる一戦だった。
続く未勝利戦で見事勝利。新馬戦と同じコースで、同じような進路取りをみせ、最後は1頭フットワークの違いをみせて突き抜けた。
馬の力は問題ないが、今回は初めてのコーナー4つで、初めての右回り。ここを乗り越えられるか。
ショウナンガルフ(牡2、栗東・須貝)【評価B】
無敗のG1制覇に挑む。
新馬戦は函館芝1800メートル。2着に7馬身差をつける圧勝劇をみせ、他馬との素質の違いを見せつけた。
前走の札幌2歳Sは圧巻の差し脚を披露。前半1000メートルは過去10年で最も遅い62秒6とドスローに。逃げたジーネキングが2着に残ったように、先行有利の展開を後方から差し切ってしまった。馬の力は証明済みだ。
注目したいのはローテーション。7月の函館でデビューし、9月札幌で重賞制覇。今回はそれ以来の休み明けの一戦でG1を迎える。ここで勝利をねらって獲りに来ているローテだとは言い難い。
函館の稍重馬場で快勝している通り、異質な洋芝での適性は申し分がない。一方で今回は本州での初の競馬。野芝でのパフォーマンスは未知数で、ここはチャレンジの一戦となる。
ジーネキング(牡2、美浦・斎藤誠)【評価C】
今回のレースの主導権を握るのはこの馬か。
3戦連続逃げの競馬を披露している同馬。前走、重賞の札幌2歳Sでもペースメイク。前半1000メートル62秒6のペースを作り出し、10番人気ながら2着に逃げ残った。
メンバー構成をみても楽に逃げられそうな今回だが、ショウナンガルフ同様に札幌2歳S以来のローテーションを攻略できるかがポイントに挙がる。
ジャスティンビスタ(牡2、栗東・吉岡)【評価A】
こちらも無敗でG1制覇となるか―。
新馬戦は京都の1800メートル。スピードの持続力と末脚が求められる舞台での一戦で、早め抜け出し勝ち。直線では2着馬に並ばれる場面もあったが、そこからもう一段階ギアを上げて差し返し。簡単にはへこたれない精神力の強さも魅力の一つだ。
前走は出世レースの京都2歳S。好スタートを切りながらも道中は後方へ位置。折り合いにも困ることなく運ぶと、直線ではゴール前で一頭見栄えする差し脚を披露した。
新馬戦、2戦目とコース設定が異なる中、違った脚質で勝利するレースセンスは大きな魅力だ。初の関東輸送、直線急坂と乗り越える課題はあるが、ここでも好勝負を期待したい。
フォルテアンジェロ(牡2、上原佑)【評価B】
豪快な末脚を持つ一頭だ。
新馬戦は中山芝1800メートルを勝利した。ラスト1ハロン11秒0と、並大抵の馬ではマークできない数字をたたき出した。ゴール後もそのスピードは中々おさまらず、使える脚は決して一瞬だけではない。
前走百日草特別は2着に敗れたが、位置取りの差が大きかった。逃げ馬と勝った2番手の馬がそれぞれ後続を離すレースを選択。馬群が縦に大きく広がった。
フォルテアンジェロは3番手を進んだが、普通のレースであれば最後方追走くらいの位置だった。そんな中、直線半ばまで追い出しを我慢。そのタイミング次第で勝ち方は変わっていた。まだまだ底は見えていない馬だ。
テーオーアルアイン(牡2、栗東・奥村豊)【評価C】
重賞初挑戦の1頭。
前走阪神芝1800メートルの未勝利で初勝利。4角で先頭に立つ「勝ちにいく競馬」で見事に白星をおさめた。稍重馬場もこの馬に向いた。
今回が初の関東輸送に加え、初のコーナー4つ競馬。12月14日の未勝利から約10日後のG1ということで、今回は経験を得る一戦となりそうだ。
ノーウェアマン(牡2、美浦・浅利)【評価C】
こちらも重賞初挑戦。
前走は道悪馬場で逃げを選択。前半1000メートル61秒0のスローも相まって、この馬に向く展開に。最後まで一人旅を貫いて勝利した。
新馬戦、2戦目とゲートの出が遅く、思うような競馬が出来なかった。今回もスタートがポイントの一つに。馬場が渋れば面白いかもしれないが、初のコーナー4つの競馬とメンバーレベルが一気に上がる点がどうか。
ノチェセラーダ(牡2、栗東・杉山佳)【評価B】
重賞初挑戦でも大きな期待がかかる1頭だ。
2走前の札幌芝1800メートル未勝利戦で初勝利。後の百日草特別勝ち馬アッカンとのハイレベルな一戦で白星をおさめた。
道中はスローペースを後方追走で、位置取りは絶望的。直線も逆手前のままだったが、凄まじい勢いで差し切り勝ち。道悪は苦にしないパワーを持つ馬だ。
前走黄菊賞はゲート後に脚がつかず、最初のコーナーで進出する競馬を選択。4角では外に膨れる場面があり、万事休すかと思われたが、直線で猛烈な末脚を発揮。またも手前は替えなかったが勝ち切ってしまった。
内容の濃いレースを経験し続けているだけに、着差だけで力を判断するのは避けたい一頭だ。
バドリナート(牡2、栗東・松永幹)【評価S】
コントレイル産駒から期待の1頭がG1に挑む。
この馬の特徴はレースセンスの高さにある。
新馬戦ではスピードが求められる新潟芝1600メートルで勝ち馬とクビ差2着。初勝利を挙げた未勝利戦は阪神芝2000メートルの器用さが求められる舞台。そこで2着に4馬身差をつける圧勝劇を披露した。右回りでは手前の替え方がスムーズに映り、現時点では左回りのレースよりも高いパフォーマンスを発揮しそうだ。
前走萩SはホープフルS好走馬を数多く輩出する出世レース。バドリナートは先行しながら直線で強烈な末脚を発揮する「先行差し」を披露。距離延長に期待ができる勝利の内容なだけに、ここも好走が期待できる。
マテンロウゼロ(牡2、栗東・松永幹)【評価C】
重賞初挑戦で激走を目指す。
新馬戦、2戦目の未勝利と東京芝2000メートルで伸びを欠いた。それでも、舞台をホームの関西、右回りでコーナー4つの阪神2000メートルに替えてパフォーマンスアップ。適性は内回りの方がありそうだ。
今回は今秋4戦目で再びの関東輸送と厳しいレースとなる。一発を起こせるか。
メイショウハチコウ(牡2、栗東・牧浦)【評価C】
新馬戦からの2連勝でG1制覇に挑む。
前半1000メートルが63秒8とスローペースの中でも折り合いを欠くことなく、スムーズに追走。直線ではじわじわと末脚を伸ばし、快勝だった。
長くいい脚を使えるタイプで、中山は引き続き好走が期待できる。だが、新馬戦の鞍上だった戸崎騎手は別馬を選択。期待はそちらの方が大きいか。
また、前走新馬戦を使った馬はG1昇格後【0-0-1-15】で勝率、連対率0%と苦戦を強いられる。加えて唯一の3着はG1昇格初年度のステイフーリッシュのみ。ここは難しいか。
ラヴェニュー(牡2、栗東・友道)【評価S】
来年のダービー馬候補に挙がる1頭だ。
前走はとにかく強かった。2番手で直線に入ると、馬なりで先頭へ。ムチを2発程度入れられると、再び加速。2着に5馬身差を付ける圧勝劇だったが、追えばまだまだ突き抜けそうな手応えだった。
その中で後半5ハロンの時計は57秒2をマーク。これは同コース2歳馬では破格の時計で、ダービー馬のクロワデュノール、皐月賞馬ジオグリフ、三冠馬コントレイル、日本最強馬イクイノックスなど挙げればキリがないほどの名馬を凌ぐ時計だった。
今回は前述の通り、新馬戦からの厳しいローテを迎える。それでも馬の力は今メンバートップ。乗り越えてくれるに違いない。初のコーナー4つの競馬を迎えるが、新馬戦を見ても折り合いに苦労するタイプではない。ここを勝利し、来春クラシック候補へ名乗りを上げる。
ロブチェン(牡2、栗東・杉山晴)【評価B】
こちらも新馬戦からの連勝でG1制覇に挑む。
その新馬戦は京都芝2000メートルの舞台で逃げ切り勝ち。まとまった降雨の中、重馬場と悪い環境の中だったが、フットワークの良さが光った。
スタートも良く、道中で折り合いに苦労する面は見られなかった。直線での手前の替え方もスムーズで、その後の脚の回転は他馬との比較でも光るものがあった。
今回は初の輸送など乗り越えるものは多いが、週中の雨がもし残っていた場合はチャンスがあるかもしれない。
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