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【有馬記念2025】出走馬全頭診断&注目データ:元競馬記者が予想!

阿部泰斉 Taisei Abe

【有馬記念2025】出走馬全頭診断&注目データ:元競馬記者が予想! image

Jiji Press

2024年の有馬記念はレガレイラ(写真右手前)が制した

有馬記念2025 レース詳細

12月28日(日)、中山競馬場で有馬記念(G1、芝2500メートル、出走16頭)が行われる。JRAはレース2週前の14日に登録馬を発表。2025年の大一番に、昨年覇者で連覇をねらうレガレイラ(牝4、木村)や昨年3着からの巻き返しを目指すダノンデサイル(牡4、安田翔)など好メンバーが名をそろえた。

ここでは、注目データの紹介、出走馬16頭(登録馬の中からファン投票上位10頭+獲得賞金順6頭)の全頭診断を行う。


 有馬記念2025 注目データ

3歳馬

有馬記念は小回り中山で行われるレース。美浦トレセンで取材していた際、関係者がよく「中山なら紛れがあるかも」と話していたのを思い出す。

同じ関東の競馬場、東京競馬場は直線が長く、コーナーの角度は緩い。馬群が詰まったり前が壁になる可能性が比較的に低く、力が出しやすいコースだ。

一方の中山は前述の通り、小回りで直線が短い。不利があって減速すれば巻き返しが難しい。馬の力もそうだが、器用さや脚質なども結果に関わってくる。

その中で一番大きい要素は 斤量。一般的には斤量が1キロ軽ければ、1馬身の差が生まれると言われている。古馬よりも斤量が 2キロ軽い3歳馬 や牝馬は、有馬記念の場合他のG1よりも恩恵を受けやすい。同時期の東京競馬場で行われるG1・ジャパンカップの年齢と結果の関係は以下の通り。

ジャパンカップの年齢別着順(近10年)
年齢着順勝率連対率複勝率
3歳1-6-2-134.5%31.8%40.9%
4歳4-4-5-358.3%

16.7%

27.1%
5歳5-1-2-3411.9%14.3%19.0%
6歳0-0-0-320.0%0.0%0.0%
7歳以上0-0-0-190.0%0.0%0.0%

3歳馬は連対率・複勝率はともにトップ。それでも、勝ちに届き辛いのは2キロ減の斤量以上に馬の力が勝利に直結するということだ。

一方、有馬記念の年齢と結果の関係は以下の通り

有馬記念の年齢別着順(10年)
年齢着順勝率連対率複勝率
3歳5-2-3-1619.2%26.9%38.5%
4歳3-5-1-347.0%18.6%20.9%
5歳2-2-5-443.8%7.5%17.0%
6歳0-1-1-200.0%4.5%9.1%
7歳以上0-0-0-150.0%0.0%0.0%

ジャパンカップ同様に連対率、複勝率はともに1位。加えて有馬記念では、勝率もトップとなった。以上のことから、3歳馬を優位にみるべきだ。

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有馬記念2025 出走馬 全頭診断

ここでは、出走馬全頭の評価を行う。S、A、B、C、Dの5段階評価で、Sが最高評価。
(掲載は50音順)

アドマイヤテラ(牡4、栗東・友道)【評価B】

目黒記念覇者がG1初制覇に挑む。

高レベルだった昨年菊花賞では3着に。京都3000メートルの長丁場で、後方からまくって好走。豊富なスタミナが何よりの武器だ。

重賞初制覇を果たした目黒記念は東京芝2500メートル。坂を2度登る特殊なコースだが、難なく結果を残した。中山の直線急坂攻略にも期待ができる。

今秋初戦の京都大賞典で4着に敗れたが、長欠明けの初戦。レースでは外を回った分の距離ロスと、4角から鞍上の手が動くなど若干の早仕掛けもあり、度外視は可能だ。痛恨の落馬となった前走を見ても、たたいて良化されている様子が見て取れる。

状態が上がっていることが予想される今回は、前走以上にチャンス到来。後は鞍上が想定される川田騎手が有馬記念近10年【0008】で、勝率&複勝率0%。そこだけが気になる点だ。

エルトンバローズ(牡5、栗東・杉山晴)【評価C】

昨年のマイルチャンピオンシップ2着馬が初の2500メートルに挑戦。

今年の下半期は中京記念(芝1600メートル、8着)から始動。毎日王冠(芝1800メートル、5着)、マイルチャンピオンシップ(芝1600メートル、5着)と歩みを進めた。古馬マイル馬の王道ローテを歩んでいる通り、前走が一番のねらい目であったことは確かだ。

今回は前走から700メートルの距離延長。前々でスピードを持続させるタイプで、コーナー2つの競馬からコーナー6つの競馬に変わるのはお世辞にもプラスとは言い難い。それでも精神力が強い馬で、直線では他馬に競りかけられても中々競馬を止めないド根性の持ち主。未知の距離設定でも「もしかしたら」と思わせてくれる馬だ。

コスモキュランダ(牡4、美浦・加藤士)【評価C】

中山巧者が暮れの大一番で一発をねらう。

未勝利を突破以降、馬券圏内に好走したのは全て中山。皐月賞ではジャスティンミラノとジャンタルマンタルに挟まれた2着に好走したように、今回は絶好の舞台での出走が叶う。

結果こそ出ていないものの、今年の下半期は調教の動きがとにかく鋭い。フットワークとスピードの乗りが抜群。ただ、それがレースに中々結びついていない点が気になるところだ。

近2走は相手が超ハイレベルで、不向きな東京競馬での敗戦だった。しかし、レースでは集中力が途切れてしまっているようにも映る。今秋は9月以降で4戦目とローテーションもプラスとは言えない。それでも、得意舞台で何とか巻き返したい。

サンライズアース(牡4、栗東・石坂)【評価B】

前走馬体重530㌔。スタミナ自慢の大型先行馬だ。

格上挑戦で挑んだ今年の阪神大賞典で重賞初制覇。スローペースの主導権を握ったが、3角手前で他馬がまくってくる難しい競馬に。それでも直線半ばで再び先頭に立つと、最後は2着に6馬身差をつける圧勝劇だった。

阪神大賞典の舞台・阪神芝3000メートルはコーナーの数が多い内回りで、直線の急坂を2度登る。コースレイアウトは中山2500メートルに繋がるものがある。今回のコース適正は十分だ。

その後は天皇賞春(4着)、京都大賞典(2着)と敗れたが、いずれも下り坂のある京都の外回りでの競馬。大型馬が結果を出し辛い条件で、敗戦は度外視可能。その中で大敗せず、善戦してみせた能力は地力を示すもの。中山で一発が期待できる馬だ。

サンライズジパング(牡4、栗東・前川)【評価C】

今年のフェブラリーS2着馬が有馬記念に登録を果たした。

2歳時にはホープフルSに出走し、13番人気ながら3着に激走。3歳春は皐月賞、日本ダービーと3歳牡馬の王道ローテを歩んだ。

取材していた当時の鞍上の印象は「脚がそこまで速くない馬」。言い換えれば、東京の芝など絶対的なスピードが求められる舞台には不向きだと言うこと。それだけに、中山芝で結果を出したことや、ダート転向が水に合ったことが良くわかる。

元々馬格があった馬が、今春川崎記念以降は馬体を大きく減らしていた。前川厩舎に転厩後、その馬体回復に努めている現在。それが身についてくるであろう、来春辺りでねらいたい馬だ。

ジャスティンパレス(牡6、栗東・杉山晴)【評価A】

23年天皇賞春を制したG1馬が、ラストランで大きな花を咲かせる。

実績は申し分なくトップクラスの同馬だったが、昨年ドバイ遠征後に調子を崩した。長らく本来の走りができていなかったが、今春からその気配が格段と良化。坂路中心での調整だった中間に、ウッドコースでの負荷のある調教を再び入れられる状態になったことが理由の一つに考えられる。

迎えた今秋は絶好調。たたき良化型の同馬が休養明け初戦の天皇賞秋でいきなり3着に好走。前走ジャパンカップも超ハイレベルな各馬相手に強烈な追い込みをみせて5着。最後まで脚色が衰えていないところをみると、やはり中山芝2500メートルは向きそうだ。

今年の宝塚記念や昨年の有馬記念の走りをみても、内回りのコーナリングが得意なタイプ。4角の入りでトップスピードに乗って突っ込んでこられる。典型的な追い込み脚質で、鞍上の手綱さばきや前が壁にならないかなど、運的要素も関わってくる。それでも、2、3着に飛び込んでくるイメージは容易い。

シュヴァリエローズ(牡7、栗東・清水久)【評価D】

昨年重賞2連勝を果たしたベテランステイヤー。

今年は結果こそ出ていないが、日経賞、宝塚記念、札幌記念、メルボルンCといずれもこの馬が苦手な雨で湿った馬場での出走となった。唯一の良馬場だった天皇賞春では直線入り口まで「おっ」と思わせる競馬をみせていただけに、綺麗な馬場が欲しいところだ。

今回はオーストラリアからの帰国初戦と調整が厳しい海外帰り。前走がこの秋の目標であったと想像されるだけに、ここは割引か。

シンエンペラー(牡4、栗東・矢作)【評価B】

海外遠征5戦。経験豊富な皇帝が悲願のG1タイトルに挑む。

海外のビックレースを中心にローテが組まれている同馬。日本での出走が少なく、古馬となっては前走のジャパンカップが国内初出走。それが疾病の影響で凱旋門賞を回避した後の初戦という難しさも加わっていた。

その中間は当週の日曜日に調教と呼べるほどの時計を出さず、態勢十分とは呼べない過程で出走に至り8着に敗れていた。結果は度外視と言っていい。一度使われてたたき2戦目の今回は、中間の調整内容にもしっかりチェックしたい。

 

タスティエーラ(牡5、美浦・堀)【評価B】

23年ダービー馬が2つ目の国内タイトルに挑む。

この馬の特徴は先行して長くいい脚が使える点。今春香港芝2000メートルのクイーンエリザベス2世Cを制しているように、小回りの舞台が一番合う。東京などの切れ味が求められる舞台以上に、中山が水に合う。

有馬記念は3歳時の2023年以来となるが、当時は直線で大きく減速するロスがありながら再び差し脚をみせて6着。小回りで前がごちゃついてしまうのが中山の特徴ではあるが、スムーズなら上位の可能性はあった。

今秋初戦の天皇賞秋は鞍上の早仕掛けの影響で最後は脚が上がる結果に。動き出しのタイミグ次第ではこちらも上位があった。前走ジャパンカップも大外枠を引きながら、直線はあわやと思わせる脚をみせた。ここも直線でカラ馬とクロワデュノールに挟まれて減速するロスがあった。スムーズであれば結果が違う。

大得意の香港を差し置いて国内に専念する今回。秋3戦目で上積みがあるとは思えないが、状態次第では上位もある。

ダノンデサイル(牡4、栗東・安田翔)【評価S】

24年ダービー馬が国内2つ目のタイトル獲得へ、大チャンス到来だ。

何と言っても評価できるのは今年のドバイシーマクラシック。後のジャパンカップ勝ち馬・カランダガンを制しての海外G1タイトル獲得。鞍上が「ベリーベリーホース」と呼ぶのに納得な完勝劇だった。

その後2戦は敗れているが、敗因が明確。2走前英国のインターナショナルSは真夏の長距離輸送で現地到着時の馬体がガレていた。レース前のテンションは高く、平常時の精神状況ではなかった。加えてレースは1頭大逃げのドスロー2番手で、他馬の目標にされる存在となってしまった。多くの壁が重なり合っての敗戦だった。

前走ジャパンカップは約3か月の休み明け初戦。レース前の返し馬はテンションが高く、たたいて良化する同馬からすれば馬券圏外になってもおかしくない状況だった。その中でハイレベルな馬たちを差し置いての3着。これはまさしく「負けて強し」の内容だった。

たたき2戦目となる今回、ガス抜きが出来て状態の良化が見込める。加えて鞍上は昨年覇者のレガレイラが出走していながらこちらを選んだ。状態とテンションさえ大丈夫なら、勝ち負けだ。

ビザンチンドリーム(牡4、栗東・坂口)【評価B】

今春ブレイクを果たしたステイヤーが初のG1タイトル獲得に挑む。

馬体重は460㌔前後とあまり大きくないが、徹底した追い込み脚質が板に付いている。今年始動戦はサウジ遠征。初の海外となったが環境の戸惑いなどもなく、レッドシーターフハンデキャップで余裕の勝利をみせつけた。

帰国初戦の天皇賞春はヘデントールの頭差2着に突っ込んでくる驚異の追い込みを披露。馬体も大柄ではないことから、平坦コースでは特に結果を出しやすいタイプだ。

今秋はフォワ賞で後の香港ヴァーズ勝ち馬・ソジーに勝利。凱旋門賞でも日本馬最先着となる5着入線を果たした通り、海外適性の非常に高い馬だ。

有馬記念は冬の中山ということもあり、牡馬は大柄の馬体を誇る馬が結果を出しやすい。加えて追い込み脚質にとってはコーナーのキツイ3~4角で進出する必要があり、綺麗なフットワークのこの馬にとって最適のコースとは言い難い。それでも馬の力はメンバーでも上位。一発を期待したい。

ヘデントール(牡4、美浦・木村)【評価D】

天皇賞・春を制した名ステイヤーが有馬記念に登録。

今年は当初、インターナショナルSからジャパンカップに挑むローテを計画していたが、脚の故障が見つかり白紙に。長期の休養を余儀なくされた。

実力は抜きん出ているが、14日時点で放牧中。前述の経緯があることから、ぶっけ本番のローテで無理をするとは考えられず、出走回避が想定される。

ミステリーウェイ(セ7、栗東・小林)【評価C】

7歳秋で重賞初制覇を遂げた競走馬界の〝おじさんの星〟で逃げ候補。

その前走アルゼンチン共和国杯はノーマークの中で番手以降を離す逃げが実現。鞍上松本大輝騎手のラップ刻みも秀逸で、好騎乗での1勝を果たした。

今回は同型にメイショウタバルがおり、近2連勝の様な楽な逃げは厳しいか。それでもこの秋の好調さには頭が上がらない。

ミュージアムマイル(牡3、栗東・高柳大)【評価A】

皐月賞馬で唯一の3歳馬が古馬たちを一蹴する。

データの通り、有馬記念は3歳馬が結果を出しやすい。同馬は皐月賞でクロワデュノールに勝利すると、今秋始動戦のセントライト記念でも余裕残しの出来ながら勝利をおさめた通り、中山適正が非常に高い。コーナリングが上手で、器用さを持つ馬。今回メンバーで競馬場への適性はトップクラスだ。

それだけに、前走天皇賞秋の激走が驚きだった。直線の手前の替え方を見るに、決して左回りが得意とは言えない走法。それでも勝ち馬と3/4馬身差の結果はこの馬の力を表す結果だった。

距離適性は2000メートル前後が一番で、有馬記念は少し長い印象もある。それでも3歳馬なら斤量の差で補える。今年は狙うべき馬だ。

メイショウタバル(牡4、栗東・石橋)【評価S】

オーナーに、勝利を届け―。上半期グランプリホースが有馬記念制覇に挑む。

枠と並びにもよるが、今レースの主導権を握るのはこの馬だ。脚質的にハッキリとした戦績を歩んできた同馬。キャリア12戦の内容が【5007】で、馬券圏内なら2着、3着はなく勝利のみ。それ以外なら負けと、馬券が絞りやすいのが同馬の特徴だ。今回も馬券は単勝がねらい目か。

この馬はとにかく道悪に強い。重賞初勝利となった毎日杯は重馬場、2勝目の神戸新聞杯は稍重、G1初制覇の宝塚記念は稍重だった。今回開催の中山は14日に雨が降り、馬場が重くなった。この馬向きの馬場が作られつつある。

中京芝2200メートル、阪神内回りで勝利を挙げてきた通り、今回の内回りと直線急坂はこの馬にとってプラスになるコースレイアウト。反対に前走天皇賞秋は長欠明け&不向きな東京コースで度外視可能だ。

今年8月、同馬の馬主だった松本好雄氏が死去。競馬界を支えた偉大なオーナーに白星を届けられるか。

レガレイラ(牝4、美浦・木村)【評価A】

昨年覇者が連覇に挑む。

今春は手術を行った影響で、宝塚記念の一戦のみに。11着に敗れたが、手術明けと長欠明けを考えれば度外視で構わない。今秋はオールカマー、エリザベス女王杯ともに力の違いを見せつける圧勝劇だった。今秋3戦目となり、疲れの有無は要チェック。中間の動きをみて判断したいところだ。

昨年タッグを組んた戸崎騎手がダノンデサイルを選択。コンビで今秋も2連勝をおさめていただけに、この乗り替わりは大きな痛手となるのは確かだ。それでも鞍上はルメール。ゲートが遅かった過去のレガレイラはもうおらず、今なら鞍上の描くレースプランをこなしてくれるはずだ。

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有馬記念2025 出走馬総括

2週前時点では、ダノンデサイルメイショウタバル への本命を考えている。また、現時点でヘデントールやサンライズジパングなどが登録しているが、両馬は回避する可能性がある。登録しているライラックなど穴候補で面白い存在もいるため、動向にはしっかりチェックしたい。

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Staff Writer