12月28日、中央競馬の1年の総決算、第70回有馬記念(G1)が開催される。
ここでは、2025年に起こった出来事から連想されるレース予想、いわゆる『サイン馬券』をいくつか紹介する。普段は馬体と血統を予想ファクターとする本記事著者だが、なんといっても有馬記念は1年の総決算とも言える競馬の祭典。「普通」の予想は捨て、世相に隠された思わぬ馬券のヒントを探る!
有馬記念とサイン馬券の関係性
中央競馬の1年の総決算であること、競馬界のお祭り的レースであることから、有馬記念のレース予想ではその年起こった出来事に馬番や馬名、騎手名を結びつける手法が競馬ファンの間で親しまれている。
有名な有馬記念のサイン馬券の例を挙げると、2014年の有馬記念では元プロ野球選手・監督の長嶋茂雄が中山競馬場に来場。レースではジェンティルドンナが自身の引退の花道を見事勝利で飾ったが、なんとジェンティルドンナは 誕生日が長嶋と同じ2月20日 であったという。
日本漢字能力検定協会が毎年公表している「今年の漢字」も予想によく用いられており、とりわけ『金』はサイン馬券につながったというエピソードが多い。過去に今年の漢字に『金』が選ばれた2000年、2012年(勝ち馬は ゴールド シップ)、2016年、2021年の有馬記念は全て 1番人気の馬が勝利 していた。
しかし2024年は『金』が選出されながらも勝ったのは5番人気のレガレイラで、記録は途切れてしまった。それでも5回中4回は1番人気が勝利していたと考えれば確率は高い方で、忘れた頃に…もありそうな今後も怖いサインだ。
新語・流行語大賞&今年の漢字に隠された馬券のヒントは?
毎年恒例となっている自由国民社発表の新語・流行語大賞。今年は「エッホエッホ」をはじめとする30語がノミネートされ、年間大賞は「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」が受賞した。
今年のメンバーで最もキャリアの出走回数が多い、働いて働いて働いて働いて働いてきた馬はキャリア36戦の シュヴァリエローズ と ミステリーウェイ。前者も後者も同世代7歳のベテランだが、両者ともに年齢を重ねてから素質を開花させた馬で、特にミステリーウェイはオープンと重賞を連勝しての有馬参戦。老いてなお充実の2頭に期待したい。
「働いて…」の発言者である高市早苗氏は日本で初めて女性の内閣総理大臣となった人物。一般に男社会と言われる政界の新時代を切り拓いた。ともすれば有馬記念で気になるのは競馬界の女性のパイオニア。サンライズジパング を管理する前川恭子調教師は中央競馬初の女性調教師で、話題性だけでなく名門・矢作芳人厩舎で研修を積んだ注目株だ。
新語・流行語大賞の選考委員特別賞を受賞したのは「ミスタープロ野球」。今年亡くなった長嶋茂雄氏の功績を讃え、表彰がなされた。亡くなった日は奇しくも背番号『3』と同じ6月の『3』日。前述の通り有馬記念のサイン馬券とも縁深かったミスター。さらに『3』といえば、新語・流行語大賞トップテンに選ばれた「国宝」は上映時間『3』時間が話題となった作品。今年2枠3番に入ったのはここが現役最後のレースの ジャスティンパレス。引退の花道を勝利で飾って永久に不滅の名シーンを演出する。
前述の『金』の記録が途切れてしまった「今年の漢字」。2025年は全国を騒がせた『熊』が初めての選出となった。一見競馬との接点のなさそうな漢字だが、意外な発見があったのは エルトンバローズ で、なんと所有する馬主は猪 熊 広次氏。マイル戦線からの参戦となる一頭だが、G1での実績がある馬なだけに侮れない存在だ。
ロイヤルファミリー馬券で、「有馬を勝つ」!
今年の競馬界をレースの外で大いに盛り上げたのが、TBS系列で放送されたドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」。馬だけではない、競馬を支える多くの人々にもスポットライトが当たったストーリーは、競馬ファンのみならず多くの層の視聴者の感動を呼んだ。
そんなザ・ロイヤルファミリーは有馬記念が重要なテーマの物語で、今週のサイン馬券を探すのには話題性も内容も相まってうってつけ。ここからの予想は ドラマの重大なネタバレを含む ので、未視聴の競馬ファンは注意してほしい。
ザ・ロイヤルファミリーの印象的なシーンといえば最終回で描かれた2025年の有馬記念。主人公たちの所有するロイヤルファミリーが最強馬ソーパーフェクトを離して押し切る体勢に入ったかに思われたが、出遅れから猛然と追い上げたビッグホープがロイヤルファミリーに並びゴールイン。写真判定の結果、勝利したのはビッグホープだった。
物語の中の2025年の有馬記念は1-14-2という結果になった。現実の枠順に当てはめるなら エキサイトバイオ-アラタ-シンエンペラー という歴史的高額配当必至な決着となる。一見現実味のなさそうなサインだが、実はザ・ロイヤルファミリーは既に数々のサイン馬券の実績を出している。
ドラマ内で主人公たちの主戦ジョッキー役を高杉真宙氏が演じると、マイルCSでは若手の 高杉 吏麒が騎乗したウォーターリヒトが15番人気から3着に大激走。「相続限定馬主」というタイトルの回が放送される予定のその日の競馬で、故アガ・カーン4世から現在は遺族と関係者に所有馬が 相続 されているカランダガンがジャパンカップを制するなど、預言者のようなサイン馬券を連発しているのだ。
ストーリー内でのたびたび言及されている『継承』という言葉に目を向けるなら、今年8月に亡くなった松本好雄氏から息子の松本好隆氏に馬主名義が変更された メイショウタバル も当然注目。好雄氏は生前、大手の社台グループ系牧場ではなく中小牧場から仔馬を購入し、まだ出番の少ない若手騎手たちに乗鞍を与えるオーナーだったことで有名。座右の銘であった「人がいて、馬がいて、また人がいる」は、物語に登場する先代オーナーの山王耕造に通ずるところのある信念だ。
よりシンプルなところを攻めるなら、主人公の栗須栄治から連想して クリス トフ・ルメール騎乗の レガレイラ、クリス チャン・デムーロ騎乗の ミュージアムマイル も注目だろう。
万博の人気者から連想
2025年の出来事を振り返ると、「EXPO 2025 大阪・関西万博」が列島の話題を1年中さらい続けたビッグイベントとして思い出されるだろう。開幕前は果たしてどれほどの話題となるか未知数なところがあり、世間では芳しくない評価も多々なされていたが、いざ始まってみると開催期間の6ヶ月間は連日の大賑わい。テレビやインターネットでも評判が大きく伝えられ、10月13日をもって成功裏に閉幕を迎えた。
そんな万博と『顔』といえば、マスコットキャラクターの「ミャクミャク」。2022年にデザインが発表されると、なんとも言えない奇妙ないでたちに賛否が激しく湧き起こり、一般公募を経てミャクミャクという愛称が名付けられるに至った。
いわば「キモかわいい」と言えるようなデザインと可愛らしい響きの名前で徐々に人気が高まり始めると、万博イヤーとなった今年に人気が大爆発。ミャクミャクがデザインされたグッズは飛ぶように売れ、新語・流行語大賞のトップテンにも選ばれた。
そんなミャクミャクの特徴といえば目を引く「赤」と「青」のカラーリング。2025年を象徴する2色は、当然有馬記念の予想にも活かしておきたいところだ。赤帽の3枠には5番 レガレイラ と6番 メイショウタバル、青帽の4枠には7番 サンライズジパング と8番 シュヴァリエローズ がゲートイン。3枠には人気どころが入り、4枠には大穴馬が入った形だ。枠連はもちろん、ワイドや馬連、馬単で狙ってみるのも面白いかもしれない。
やっぱりニュースの顔はドジャース戦士たち
そしてやはり日本における世間の最大の関心の一つといえばMLBロサンゼルス・ドジャース所属の大谷翔平。今年は右肘の傷も癒えてついにピッチングを解禁。自慢の打棒も衰え知らずで「二刀流」復活の一年となった。
今年の有馬記念には芝とダートの「二刀流」の サンライズジパング が出走。チャンピオンズカップを使っての転戦で、まさにマウンドとバッターボックスを行き来する大谷のような真の二刀流だろう。
ドジャースのスターである大谷、そして山本由伸からサインを連想しようとすると、有馬記念はフルゲート16頭の都合から背番号からの予想が行えない。そこで今年頼りにしてみたいのは「令和の怪物」佐々木朗希だ。ドジャースでの背番号は11で、今年の有馬記念の11番枠に入ったのは ミステリーウェイ。果敢な逃げ策を信条とする本馬は展開次第では大駆けもありそうな一頭で、馬券の「抑え」…もとい「押さえ」に入れておきたいところだ。
いかがだっただろうか。正直なところこじつけのような部分の強いサイン馬券だが、有馬記念は年に一度の競馬の祭典。今年も例年通り豪華メンバーが集結した難解なレースであることから、取捨選択に迷ったら今年1年を思い出し、サインに頼ってみるのもアリだろう。
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