「ゴルフを始める」。スポーツに向き合うのは素晴らしい決意です。しかしゴルフほど揃えなければならないギアが多いスポーツも少ないでしょう。ましてできるかどうかも分からないのに高価なクラブを選ぶのは不安を感じるものです。
「初心者セット」や「中古モデル」「貰ったクラブ」などさまざまな始め方がありますが、正直分からないことが多いでしょう。初心者が陥りがちなギア選びの罠から卒業し、自分にあったクラブを見つけるための完全ガイドをご紹介します。
初心者が最初に悩む「ゴルフクラブ選び」3つの選択肢とは?
ゴルフはギア依存度が高いスポーツです。クラブがなければ始めることもできません。そこでクラブを選択する方法として3つのパターンから始まる場合が多いので、その比較をしてみましょう。
初心者セット・中古・譲り受けクラブのメリット・デメリット
選びかた | メリット | デメリット | 向いている人 |
---|---|---|---|
初心者セット | 一式揃っているのですぐに始めることができる | 汎用性が低く、自分の成長に合わせることができない可能性がある | とりあえず始めたい人 |
中古クラブ | コスパが良く、選択肢が広いので自分に合わせることができる | クラブの状態やスペックの見極めが難しい | クラブについての知識を深める意欲がある人 |
譲ってもらったクラブ | 無料で始めることができる | 自分に合っていない可能性が高い | まずは体験してみたい人 |
初心者セットは一式揃っているので、すぐに始めやすいのが一番のメリットです。その反面、汎用性は低いので自分に合わなくなってしまう可能性があります。すぐにコンペに出なければならない場合などは、必要なクラブが揃っているので安心です。
中古クラブは、手ごろな価格で購入できるのが魅力。しかし中古であるがゆえ、状態を確認するのは非常に難しいもの。またクラブはシャフトやヘッドに特徴があり、初心者には難しい単語が並ぶことも予想されます。シャフトの硬さやヘッドなどある程度知識をつけていないと、選ぶのが難しいものです。
家族や友人などに、もう使わないからといって譲り受けることもあるでしょう。でも、そのギアは自分に合っていない可能性が高くなります。
自分に合うゴルフクラブを見極める5つのポイント
自分に合っているギアを知る5つの基準があるので、簡単に紹介しておきましょう。
1. 体格や筋力
身長や腕の長さ、握力はクラブの長さや重さに影響を与えるので、筋力が弱いなら軽量で柔らかなシャフト(R、L)がおすすめです。
2. スイングタイプとヘッドスピード
クラブを振るスピードのことをヘッドスピードというが、速いなら硬めのシャフト(S、X)などで安定性が出ます。
真っ直ぐにボールが飛ぶことが前提ですが、なかなか難しいものです。ボールの曲がり方が右の場合をスライス、左ならフックと呼ぶので、覚えておいてください。例えばスライスが多い場合には、クラブのヘッドの後ろ側が重たい「重心の深い設計」のクラブを選択する方が良いでしょう。
3. プレースタイルと目的
とにかく上手になりたい人と、楽しみながらゴルフができればいいという人では選ぶゴルフクラブは異なります。ゴルフが上手になりたいとは、すなわちスコアを伸ばしたいという意味です。そうなるとフェード、ドローなどの球筋をうちわけることができたり、番手ごとに距離や高さをコントロールしたりといったことが必要になります。
楽しくラウンドすることを目的にするなら、芯を外しても飛びやすいミスに強い設計が良いでしょう。ボールが自然に上がりやすい高弾道設計も魅力。18ホール振り続けても疲れにくい軽量モデルは振りやすいものです。
キャディバッグに入っているクラブは、ゴルファー自身のゴルフ観を映し出す鏡ともいわれます。どんなゴルフをしたいのかでギアは大きく変わるのです。
4. 試打とフィッティング
「もしうまく振れなかったらどうしよう…」と気が重く、気恥ずかしいと思われるかもしれませんが、実際にクラブを試打することは非常に重要です。重すぎる、軽すぎるといった自分にしか判断できないことが分かります。
フィッティングをしてもらうことは有効ですが、必ずしも必要とはいえないのが現実です。というのも理想的なフィッティングというのはヘッドスピードや打点、軌道などの詳細なデータを取って最適なスペックを提案してもらいます。試打できるクラブが豊富で複数のメーカーを比較でき、自分の目的に応じたアドバイスをしてもらうことが重要です。
しかし実際には店舗によって売りたいモデルありきの提案になることがないとは言えません。試打クラブが少なく選択肢が限られる場合もあります。初心者のクラブ選びに寄りそうというよりは、スペック重視の説明になりがちです。
初心者であっても、ある程度クラブを振れるようになっていて、自分のスイング傾向を数値で知りたい。あるいは予算に余裕があり納得して選びたいという場合は、フィッティングをおすすめします。
ゴルフを始めたばかりの頃は、スイングの軌道や打点が安定していません。そのタイミングでフィッティングを行っても、ばらつきが大きくその時だけの癖に左右されるので、自分に合うクラブが見つかりにくいものです。
まだ自分のゴルフが分からない場合には、フィッティングよりも自分の身長や握力に合わせたクラブの長さや重さを重要視すると良いでしょう。フィッティングは自分の目的や悩みを言語化することです。スライスする、トップが多いといった自分の悩みが明確になってからでも遅くはないでしょう。
5. 予算と成長スピード
予算が限られているなら、1本ずつ揃える戦略もあります。「今の自分に合っている」だけでなく「これから自分を育ててくれるクラブ」という視点も重要です。スイングが安定してきたら、自分に合うクラブがどのようなものなのかが、少し分かってくるでしょう。

Jesse Jennings
「とりあえずセット買い」からの卒業!成長に合わせたクラブ選び戦略
最初にセットを揃えて、ある程度ゴルフのことが分かってきてから買い替えるというのもひとつの方法です。しかしスイングの軌道も定まっていない、プレースタイルも分からない段階で全部揃えるのはかなりの出費を覚悟しなければなりません。そこで自分の成長に合わせてギアを揃えていくという方法もあります。
最初はレンタルや中古を利用して、徐々に自分の癖や得意な距離を知ってから買い替えや買い足しをするのが合理的です。
初心者が揃えるべきクラブはこの順番!おすすめ4本の選び方
STEP1:最初の1本は7番アイアン
スイングの基本を学べるクラブ。打感と長さが自分に合っていることが前提。
STEP2:次に購入するのはドライバーorユーティリティ
ドライバーはティーショットを行うクラブなので、最初から慣れておいた方が良いクラブ。飛ばすための クラブなので正確に打つことができれば、快感を味わえる。ユーティリティは安定性が良く当たりやすいクラブなので、初心者でも扱いやすい。
STEP3:アイアンセットの必要な番手
番手ごとに距離と高さが異なることを理解する。最初は5番からピッチングウェッジ(PW)の6本。ミスヒットに強いかたちとしてキャビティ型がおすすめ。
STEP4:フェアウェイウッド
初心者にとって少し扱いづらいと感じることが多いクラブ 。少しロフト角が大き目の5番ウッドや7番ウッドから始めると良い。
STEP5:パター
グリーン上で18ホール必ず使用するクラブ。スコアのに直結する重要なクラブだからこそ、自宅でも練習したほうが良いでしょう。
有名ブランドよりも重要!クラブ選びは「フィット感」がすべて
ゴルフはどれだけ飛距離が出るのかが重要視されますが、飛距離が出れば必ずしも上手いわけではありません。飛距離信仰者が多いのも事実ですが、何よりも安定した飛距離が重要です。ゴルファーが本当に意識しなければならないのは次の3つです。
- 方向性
真っ直ぐに打つことができれば、OBや池などのハザードを回避してスコアを安定させることが可能 - 距離感
同じクラブである程度同じ距離を出すことができれば、残りの距離を計算してスコアメイクすることができる - ショートゲーム力
グリーン周りのアプローチやパターは、スコアの40%を占めるといわれており、差が出やすい
そこで初心者がギアを選ぶときに最重要視したいのは、有名ブランドよりもボールを打った時のフィット感です。自分の体格、スイングの傾向、クラブを握ったときの感覚などを基準に選ぶと良いでしょう。「違和感なく振ることができる」ことが重要です。
初心者がチェックすべきクラブのフィット感5項目【表付き】
要素 | 説明 | チェックポイント |
---|---|---|
シャフトの硬さ | スイングスピードに合っているか | R(レギュラー)、L(レディース)など |
クラブの長さ | 身長・腕の長さに合っているか | 長すぎると振り遅れ、短すぎると振りにくい |
グリップの太さ | 振りやすさと安定感 | 細すぎると力みやすく、太すぎると操作性が低下する |
ヘッドの形状 | 構えたときの安心感 | 大型のヘッドは打てるような安心感が持てる。コンパクトなヘッドは操作性が良い。 |
打感 | 手に伝わる振動や音 | 柔らかい打感としっかりした打感を好みで |
自分のスイングタイプが分かってくる中級者になると、ボールのつかまりやすさや打感、弾道の高さなどを選べます。そうなってくるとブランドの持つ個性が武器になるのです。
例えば『テーラーメイド』は飛距離と直進性を重視しているブランド。『キャロウェイ』は優しさと高弾道です。『ミズノ』なら打感と操作性といった個性があります。自分の求めるプレースタイルでスコアアップに直結するといえるでしょう。

初心者が揃えるゴルフクラブはこの4本!選び方を解説
まずはゴルフを始めてみたい、クラブを振ってみたいという場合には、中古クラブを最低限の本数でスタートしてみてはどうでしょうか。おすすめの構成は、ティーショットで使用する「ドライバー」。アイアンの基本を教えてくれるクラブであり、練習場でもラウンドでも使いやすい万能クラブの「7番アイアン」。
注意して欲しいのは、7番アイアンが絶対ではありません。最近ではロングアイアンを敬遠する傾向から、アイアンが5番から設定されたセットが主流です。7番でなくとも6番アイアンで練習するのも良いでしょう。
そしてアプローチやバンカーで使用する「サンドウェッジ」。すぐに必要ではありませんが、家でも練習可能で、スコアの40%を占める重要なクラブ「パター」の4本だ。ハーフセットの約7本やフルセットの14本よりは断然少ない出費で済みます。
最小限で始めて、練習場やショートコースも回ることができ、ゴルフの基本となる動作をしっかりと練習することが可能です。その後は自分のレベルアップに合わせて買い足していけばいいでしょう。
選びかたのポイントとしては、中古モデルならではのフェースのキズやシャフトが真っ直ぐかを確認。シャフトの硬さはR(レギュラー)やL(レディース)がおすすめです。ヘッドの形状としては「キャビティバック」や「中空型」が初心者向けになっています。
ウェッジのロフト角は54~56度前後がおすすめ。ロフト角はフェースの傾き角度のこと角度が大きいほどボールは高く上がり、角度が小さくなればボールが低くなります。バンカーに入ってしまったときのことも考えるとサンドウェッジ(SW)と呼ばれるものがおすすめです。
最小限で始めて、練習場やショートコースも回ることができ、ゴルフの基本となる動作をしっかりと練習することができます。その後は自分のレベルアップに合わせて買い足していけばOK。
選びかたのポイントとしては、中古モデルならではのフェースのキズやシャフトが真っ直ぐかを確認。シャフトの硬さはR(レギュラー)やL(レディース)がおすすめです。ヘッドの形状としては「キャビティバック」や「中空型」が初心者向けになっています。
初心者向けゴルフクラブ4本|ブランド別おすすめ4本セットと特徴
■キャロウェイ…やさしさと高弾道で安心感を重視
初心者が苦手としていることは「ボールが上がらない」「クラブの芯にボールが当たらない」こと。キャロウェイのコンセプトは「やさしいクラブ」設計が魅力のひとつになっています。
クラブの種類 | シリーズ | 特徴 |
---|---|---|
ドライバー | WARBIRD(ウォーバード) | 軽量で高弾道。スライスしにくいのでティショットの不安を軽減。 |
アイアン(7番、6番) | X HOT | 大型ヘッドでミスに強い。打点がズレても飛距離が落ちにくい。 |
サンドウェッジ | X HOT SW | フェースが広くバンカーやラフから高さが出しやすい。 |
パター | ODYSSEY DFX | 柔らかい打感で距離感がつかみやすい。ショットパットの成功率がUP。 |
■テーラーメイド…飛距離と直進性を求める人へ
テーラーメイドは飛ばすことの楽しさを重視しています。最新テクノロジーを搭載してスライス軽減設計です。
クラブの種類 | シリーズ | 特徴 |
---|---|---|
ドライバー | STELTH HD(ステルス) | スライス軽減設計で打点がズレても直進性が高い。飛距離が安定。 |
アイアン(7番、6番) | M2 | 打感と直進性のバランスが良い。芯を外しても飛ぶ。 |
サンドウェッジ | MG3 SW | スピン性能が高く、グリーンでしっかり止まる。 |
パター | TP COLLECTION | 操作性と安定性の両立。構えやすい狙ったラインに打ちやすい。 |
■ミズノ…打感と操作性に優れる
ミズノは、言わずと知れた日本のメーカー。日本人向けの設計が特徴です。また打感の良さにも定評があります。クラブを振っている感覚を重要視す人向けです。
クラブの種類 | シリーズ | 特徴 |
---|---|---|
ドライバー | JPX Fli-Hi | 日本人の体格に合わせた設計。構えやすく打感が柔らかい。 |
アイアン(7番、6番) | JPX923 | ボールをクラブのどこで打ったかが感覚的にも視覚的にも分かりやすい。成長に合わせて使える。 |
サンドウェッジ | S23 SW | 打感とスピン性能に特化。グリーン周りでの繊細なタッチが可能だ。 |
パター | RV-03 | 安定感があり、距離感が出しやすい。 |
■ゼクシオ(ダンロップ)…軽量で振りやすく、シニアや女性にも人気が高い
ゼクシオの特徴として、「軽くて振りやすい」ことが最大の魅力。力に自信がなくても自然にスイングできる設計が広く支持されています。
クラブの種類 | シリーズ | 特徴 |
---|---|---|
ドライバー | XXIO MP800 | 軽量で振り抜きやすく飛距離が出やすいスイング慣性モーメント設計。 |
アイアン(7番、6番) | XXIO8 | 打感が柔らかく、ミスに強い。キャビティ構造で安心感がある。 |
サンドウェッジ | XXIO SW | 高さが出しやすく、フェース下部にミスヒットしてもしっかり止まる。 |
パター | ミズノ RV03 | ゼクシオのパターは初心者向けのモデルが少ない。ミズノのRV03はマレット型で打感が柔らかく安心感がある。さらに距離感もつかみやすい。扱いやすくフィット感を重視したブランドミックスはひとつの戦略。 |
予算に余裕があれば予算3万円のクラブにウェアウェイウッド5番、ユーティリティ6番を加える、アイアンをセットで6本と増やしていくことができます。

予算が限られていても、戦略的にクラブを揃えていけば無理なく楽しいゴルフを始めることはできます。大切なのは自分に合ったクラブを選択すること。ゴルフは自分のペースで楽しむスポーツです。スコアを競うのはもちろんのこと、リフレッシュできることも魅力のひとつ。
飛距離やブランドにこだわるのはゴルフが分かってからでいいでしょう。敷居が高いと思っていたゴルフかもしれないですが、軽いフットワークで始められるのではないでしょうか。ぜひその一歩を踏み出してみてください。
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