F1ドライバーの中でも、ルイス・ハミルトンほどブラジルで熱烈な支持を受ける存在はほとんどいない。7度のワールドチャンピオンに輝いたハミルトンが現地に姿を見せるたび、会場は歓声に包まれる。
ブラジルにとっての英雄アイルトン・セナの死後、ハミルトンは単なるドライバーの枠を超え、深い感動とインスピレーションを与える存在となった。
その強い絆は、レースでの勝利だけに基づくものではない。キャリアを通じて築き上げてきた文化的・個人的なつながりによって、ブラジルGPはハミルトンにとってまるで「帰郷」のような特別な舞台となっている。

ハミルトンが受け継ぐセナの影響
ハミルトンは幼少期からアイルトン・セナに強い憧れを抱いており、その思いをたびたび口にしてきた。その率直な敬意の表明が、情熱的なブラジルのファンの心をつかんだ。
7度のワールドチャンピオンは、セナの存在を語るだけでなく、その遺産に敬意を払い続けてきた。ブラジルの英雄をイメージしたヘルメットを着用するなど、あらゆる場面でその思いを示している。
セナが今なお特別な存在として敬われるブラジルでは、ハミルトンの敬意の示し方が多くの人々の心に響いている。
ハミルトンもまた、ブラジルのファンに特別な思いを抱いており、たびたび「インテルラゴスの雰囲気は他に代えがたい」と語っている。
そして2022年、ハミルトンはブラジルの名誉市民権を授与された。本人はこれを「人生で最大の名誉」と表現し、ブラジル文化の一部としてその名を刻んだ。

逆境に立ち向かう精神の共鳴
多くのブラジルのファンは、ハミルトンの人生そのものにも共感を抱いている。裕福ではない家庭に生まれながら、これまでヨーロッパの富裕層が主流を占めてきたモータースポーツ界で、自らの力で道を切り開いてきた「パイオニア」だ。
ブラジルでは多様性を尊重する価値観が根強く、人種的な歴史への意識も高い。だからこそ、偏見を乗り越えてモータースポーツの頂点に立ったハミルトンの歩みに、深い敬意が寄せられている。
情熱や、あらゆる困難に立ち向かう姿勢に自分たちを重ねるファンも多い。こうした「苦難と成功」を共有する意識が、ハミルトンとブラジルの間に特別な絆を育んでいる。
その感情的なつながりが最も強く表れたのが2021年。インテルラゴスで優勝したハミルトンが、ブラジル国旗を掲げながらウイニングランを行った姿は、国への深い敬意を示す象徴的なシーンとして広く受け止められた。
原文:Why seven time Formula 1 champion Lewis Hamilton is so adored in Brazil
翻訳・編集:浄見耕志(スポーティングニュース日本版)
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