2026年に新たに参戦するキャデラックのF1チームは、グランプリ優勝経験とランキング2位の実績を誇るセルジオ・ペレス、バルテリ・ボッタスの両名をドライバーに迎える。
数週間にわたり発表が待たれていたなか、新たなアメリカのチームは声明で次のように発表した。
「ボッタスとペレスは、経験、リーダーシップ、そして技術的な洞察力を兼ね備えた比類のない組み合わせだ。これにより、キャデラックF1チームは世界最高峰のレースシリーズに参戦するにあたり、万全の態勢で臨むことができる」
「通算500戦以上のグランプリ出走と100回を超える表彰台、さらに豊富な開発面での知見を持つ2人は、参戦初日からチームの競争力の基盤を築くうえで中心的な役割を担う」
過去10年間で、両ドライバーはチームがタイトルを獲るために必要なものを理解してきた。ボッタスはメルセデスのコンストラクターズタイトル5連覇に貢献し、ペレスは2022年と2023年にレッドブルのタイトル獲得に貢献した。
F1に新規参戦するチームにとって、現代的な働き方や組織運営、コミュニケーション、そして実行力を身につけることは非常に重要だ。このスポーツは決して簡単ではなく過酷だが、経験豊富な2人のドライバーがいれば、その成長をより早く加速させることができるだろう。
ゼネラルモーターズの支援を受けるこのチームは、短期間でレースを制したり、中位争いをしたりできるというわけではない。チームは現実的な目標を掲げている。複数年契約と見られる経験豊富なベテランドライバー2人の存在は、2026年以降も含め、その目標を着実に達成するうえで大きな助けとなる。
キャデラックは、2026年と2027年のランキングで下位に甘んじる可能性が高い。しかし、新規参戦チームを率いるドライバー陣の存在により、目標達成に必要な経験を積むプロセスが整う。この経験は、チームにとって大きな助けとなり得る。
All eyes on 2026 👀 Our driver line-up is locked in @valtteribottas @schecoperez 🔒
— Cadillac Formula 1 Team (@Cadillac_F1) August 26, 2025
Read more: https://t.co/6AtpicZS41 pic.twitter.com/tPDme1S7c6
もちろん、役割はそれだけにとどまらない。そもそも2人はスピードのあるドライバーだ。ボッタスは2014年に飛躍の年を迎え、一部では将来のワールドチャンピオン候補と目され、メルセデス所属時には10勝を挙げている。
このフィンランド人ドライバーは、2017年にワールドチャンピオンのルイス・ハミルトンと60ポイント差以内でシーズンを終え、自身のベストパフォーマンス時には、F1界のトップドライバーと十分に渡り合える力があることを証明した。
一方、ペレスはここ5年近くにわたりF1中団勢力のトップに君臨していた。最後尾からの見事な逆転優勝を果たした2020年のサクヒールGPは、ペレスの実力を示す象徴的な一戦だった。
たとえ2人の全盛期が過ぎていたとしても、彼らの経験と価値は確かなものだ。
たしかに、2人とも2024年末にそれぞれのシートを失った。しかし、新規参戦で実績のないチームが2026年に下位に甘んじる可能性が高いことを考えれば、これ以上のドライバーラインナップは望めないだろう。
フェルスタッペンやルクレールのような、より優れたドライバーは確かに存在する。しかし、彼らがほぼ確実に下位に沈む新規参戦チームに移籍することは考えにくい。
このコンビは安全策であり、やや退屈に映るかもしれない。チームは若手のアメリカ人ドライバーや有望な新鋭を起用せず、保守的な布陣となったためだ。
若手ドライバーは、2人よりも純粋なスピードでは勝るかもしれない。しかし、同じく経験の浅いチームとでは、マシン開発やコミュニケーションに苦労する可能性がある。
たとえ2人が長期的に在籍しなくても、今後数年間でのチームの立ち位置を考えれば、まずは基盤を整えることが重要になる。
2026年は、キャデラックにとって学習と成長の年となる。ここで技術面や運営面の厳しさが試される。このチームはゼロからのスタートであり、トレンドを作ることが目的ではない。まずは既存の流れを把握し、理解することが重要だ。その過程で経験が生きるはずだ。
原文:Why Bottas and Perez makes total sense for Cadillac's new F1 team
翻訳・編集:浄見耕志(スポーティングニュース日本版)
✍️この記事はいかがでしたか? 読後のご意見・ご感想をぜひお聞かせください