イタリアGPを制したマックス・フェルスタッペンは、アゼルバイジャンGPでも圧巻の走りを披露した。
小雨と強風が入り混じる難しいコンディションの予選で多くのドライバーが苦戦する中、ポールポジションを獲得。その勢いのまま迎えた決勝レースでは後続を寄せつけず、最終的にはメルセデスのジョージ・ラッセルに14秒差をつけてチェッカーフラッグを受けた。
一方、チャンピオンシップリーダーのオスカー・ピアストリは、予選Q3と決勝の1周目でまさかのクラッシュ。ランキング2位のランド・ノリスもQ3でのミスに加え、セーフティカー明けのリスタートやタイヤ交換に手間取り、7位に終わった。
フェルスタッペンは、これで今季6度目のポールポジションと4勝目を記録。ポイントリーダーのピアストリとの差を69に縮め、直近2戦で35ポイントを上回る追い上げを見せている。
フェルスタッペンに2025年王座の可能性は残されているのか?
今季4勝目を挙げたフェルスタッペンは、『Sky Sports』を含むメディアにこう語った。
「自分はすべてを完璧にこなさなきゃいけないし、ライバルには多少の不運も必要になる。だから簡単じゃないよ」
「これまで通り1戦1戦に集中して、できる限りの結果を出し、ポイントを最大限に積み重ねていくだけだ。最終戦アブダビが終わったときに答えが出るだろうね」
レッドブルはイタリアGPで新しいフロアのアップグレードを投入し、チーム内からは前向きな反応が多く寄せられている。
しかし、注意すべき点もある。フェルスタッペンが連勝したモンツァとバクーは、いずれもタイヤの熱劣化が少ないサーキットであり、今季レッドブルが比較的得意としてきた条件でもある。
真価が問われるのは、これから控える2戦だ。次戦シンガポールGPは2024年にマクラーレンが制した舞台で、低速から中速のコーナーが大半を占めるレイアウトが特徴だ。
さらにアメリカGPもタイヤへの負荷が大きく、劣化が激しいコーナーが並ぶ。高速コーナーと低速コーナーが入り混じるため、幅広い対応力が求められる。
もしRB21が、こうした特性の異なるサーキットでもフェルスタッペンの手で勝利を収めることができれば、5度目のワールドチャンピオン獲得も現実味を帯びてくるだろう。
過去の事例 1986年、2007年と重なる構図
過去40年で最も象徴的な例は1986年と2007年だ。いずれも、チャンピオンシップをリードするチームの2人が互いにポイントを奪い合い、その隙を突いた別のドライバーがタイトルをさらった。
1986年は、当時最速マシンを誇ったウィリアムズのネルソン・ピケとナイジェル・マンセルがポイントを分け合う一方、マクラーレンのアラン・プロストが安定した成績を積み重ね王座を獲得した。
2007年には、マクラーレンのフェルナンド・アロンソとルイス・ハミルトンが同じ構図を生み出し、最終的にキミ・ライコネンがシーズン終盤の猛追でチャンピオンに輝いた。
ピアストリとノリスも実力が拮抗しているため、マクラーレンがどの順位にいようともポイントを分け合う展開は続くだろう。
Drama on the first lap! 😵
— Formula 1 (@F1) September 21, 2025
Here's Piastri heading into the wall and out of the race ❌#F1 #AzerbaijanGP pic.twitter.com/SN9cCVjSGL
一方、フェルスタッペンのパフォーマンスはマクラーレン勢にとって大きな脅威だ。彼は常にマシンの力を最大限に引き出し、大量のポイントを取りこぼすことがほとんどない。
もしマクラーレンの2人にタイトル争いの重圧がのしかかれば、その心理面での優位もオランダ人ドライバーに働くはずだ。
残り7戦、ピアストリとノリスが依然として本命であることは揺るがないが、次の2戦がフェルスタッペンのタイトル争いへの食い込みを左右する鍵となりそうだ。
原文:Is Max Verstappen back in the championship fight?
翻訳・編集:浄見耕志(スポーティングニュース日本版)
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