現地16日(火)、テレンス・クロフォードがボクシングからの引退を発表した。これが本当にクロフォードのプロキャリアの終焉ならば、42戦全勝という驚異的な記録でその幕を閉じることになる。
クロフォードは今38歳だ。『バド」』の愛称で親しまれたを彼は2008年にボクシングキャリアを開始すると、その初戦でブライアン・カミングスをわずか26秒でノックアウトした。最後の試合は2025年9月のサウル・『カネロ』・アルバレス戦であり、フルラウンドを戦い抜いた末にユナニマス・デシジョンでの判定勝ちを収めている。
ボクシング界の引退宣言は半信半疑で受け取られることが多い。選手は一度グローブを吊るしたとしても、ビッグマッチのために復帰することがしばしばある。フロイド・メイウェザーのようにエキシビションマッチを続けるという選択肢もある。しかし現時点では、クロフォードは完全にグローブを置くつもりのようだ。
ここではボクシング界を代表する強豪の驚きの引退発表について分かっている情報をまとめる。
クロフォードの引退の理由は?
クロフォードはアルバレスに勝利したことで無敗記録を維持しただけでなく、ベルトのコレクションも増やした。この試合で判定勝ちにより、彼はWBA、WBC、IBF、WBO、そして『ザ・リング』誌認定のスーパーミドル級タイトルを保持した。
米ケーブル局『ESPN』 によれば12月初旬、WBCは彼が団体へ支払うべき手数料を支払わなかったことを理由にスーパーミドル級タイトルを剥奪すると発表した。
声明の中でWBCは次のように述べている。
「WBCはチャンピオンのクロフォード、そのマネージャー、および法律顧問に対し、複数回にわたり連絡を取った。非常に残念なことに、WBCはそれらの連絡に対する受領確認もいかなる返答も受け取らなかった。WBCには他の選択肢はなかった」
これに対して、クロフォードは言葉を濁すことなく、反論動画 をアップした。
「お前たちには一銭も払わない。他の認定団体よりどこが優れてるんだ? WBOやIBF、WBAより何が上なんだ? みんな俺が払う額を受け入れたが、お前たちだけは違う。WBCは自分たちこそが最高だと思い込んでる。…他の団体より多く払えって言うのは、自分の方が上だと思ってるからだろうが」
引退を告げたクロフォードの投稿
クロフォードはX(旧Twitter)の 公式アカウント に発表を投稿した。本人の言葉によれば、「証明すべきことは何も残っていない偉大な選手として引退する」と述べた。
Walking away as a great with nothing else left to prove. #CrawfordERA #1P4P #3xUndisputed #5DivisionChampion #4xLinealChampion #BWAAFighterOfTheYear #2xEspyAwardWinnerhttps://t.co/GwK3TYnIz6 pic.twitter.com/4DElhAJXIg
— Terence Crawford (@terencecrawford) December 16, 2025
クロフォードの戦績
クロフォードは42戦全勝というパーフェクトな記録と共にそのキャリアを終える。42勝のうち31試合はノックアウト勝ちで、判定決着はわずか11試合だった。直近の2試合、アルバレス戦とイスライル・マドリモフ戦はいずれもフルラウンドまで持ち込まれたが、クロフォードは両試合ともユナニマス・デシジョンでの判定勝ちを収めた。
キャリアを通じてクロフォードは5つの異なる階級で世界タイトルを獲得し、そのうち3階級ではアンディスピューテッド・チャンピオンとなった。
| 試合 | 日程 | 対戦相手 | 結果 | 戦績 |
| 1 | 2008年3月 | ブライアン・カミングス | 1回 KO | 1-0 |
| 2 | 2008年4月 | フィリベルト・ニエト | コーナーストップ | 2-0 |
| 3 | 2008年7月 | ダモン・アントワーヌ | ユナニマス・デシジョン | 3-0 |
| 4 | 2008年8月 | アーロン・アンダーソン | ユナニマス・デシジョン | 4-0 |
| 5 | 2008年11月 | マイケル・ウィリアムズ | 2回 TKO | 5-0 |
| 6 | 2009年3月 | トラビス・ハートマン | ユナニマス・デシジョン | 6-0 |
| 7 | 2009年3月 | ルーカス・ローダス | 1回 KO | 7-0 |
| 8 | 2009年5月 | ミゲル・デルガド | 3回 TKO | 8-0 |
| 9 | 2009年10月 | スティーブ・マルケス | 1回 TKO | 9-0 |
| 10 | 2009年12月 | コーリー・ソマービル | 2回 TKO | 10-0 |
| 11 | 2010年5月 | マーティ・ロビンス | 3回 KO | 11-0 |
| 12 | 2010年7月 | ロン・ボイド | 1回 TKO | 12-0 |
| 13 | 2011年2月 | アンソニー・モーラ | 1回 KO | 13-0 |
| 14 | 2011年7月 | デリック・カンポス | 2回 TKO | 14-0 |
| 15 | 2011年9月 | アンジェル・リオス | ユナニマス・デシジョン | 15-0 |
| 16 | 2012年4月 | アンドレ・ゴーゲス | 5回 KO | 16-0 |
| 17 | 2012年6月 | デビッド・ロデア | 2回 KO | 17-0 |
| 18 | 2012年9月 | ハーディ・パレーデス | 4回 TKO | 18-0 |
| 19 | 2012年11月 | シドニー・シケリア | 6回 TKO | 19-0 |
| 20 | 2013年3月 | べレイディス・プレスコット | ユナニマス・デシジョン | 20-0 |
| 21 | 2013年6月 | アレハンドロ・サナブリア | 6回 TKO | 21-0 |
| 22 | 2013年10月 | アンドレイ・キルモフ | 判定勝利(ユナニマス・デシジョン) | 22-0 |
| 23 | 2014年3月 | リッキー・バーンズ | 判定勝利(ユナニマス・デシジョン) | 23-0 |
| 24 | 2014年6月 | ユリオルキス・ガンボア | 9回 KO | 24-0 |
| 25 | 2014年11月 | レイ・ベルトラン | ユナニマス・デシジョン | 25-0 |
| 26 | 2015年4月 | トーマス・デュロルメ | 6回 TKO | 26-0 |
| 27 | 2015年10月 | ディエリー・ジーン | 10回 TKO | 27-0 |
| 28 | 2016年2月 | ハンク・ランディ | 5回 TKO | 28-0 |
| 29 | 2016年7月 | ビクトル・ポストル | ユナニマス・デシジョン | 29-0 |
| 30 | 2016年12月 | ジョン・モリーナJr. | 8回 TKO | 30-0 |
| 31 | 2017年5月 | フェリックス・ディアス | コーナーストップ | 31-0 |
| 32 | 2017年8月 | ジュリアス・インドンゴ | 3回 KO | 32-0 |
| 33 | 2018年6月 | ジェフ・ホーン | 9回 TKO | 33-0 |
| 34 | 2018年10月 | ホセ・べナビデスJr. | 12回 TKO | 34-0 |
| 35 | 2019年4月 | アミール・カーン | 6回 TKO | 35-0 |
| 36 | 2019年12月 | エギディウス・カバリアウスカス | 9回 TKO | 36-0 |
| 37 | 2020年11月 | ケル・ブルックス | 4回 TKO | 37-0 |
| 38 | 2021年11月 | ショーン・ポーター | 10回 TKO | 38-0 |
| 39 | 2022年12月 | ダビッド・アバネシヤン | 6回 KO | 39-0 |
| 40 | 2023年7月 | エロール・スペンサーJr. | 9回 TKO | 40-0 |
| 41 | 2024年8月 | イスラエル・マドリモフ | ユナニマス・デシジョン | 41-0 |
| 42 | 2025年9月 | カネロ・アルバレス | ユナニマス・デシジョン | 42-0 |
原文:Why did Terence Crawford retire? Explaining boxing legend's decision to leave sport after Canelo Alvarez fight
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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