マニー・パッキャオはこの土曜日の夜(日本時間7月20日お昼頃)、ボクシングのリングに復帰し、「時の翁」(Father Time:人にとっての時間の経過・年齢、寄る年波などの意)に挑む。
現在46歳のパッキャオは4年近くのブランクを経て、かつてのホームグラウンドとしてきたラスベガスのMGMグランドガーデンアリーナで、自身より16歳下のマリオ・バリオスのWBC世界ウェルター級王座に挑戦する。
ボクシング史上唯一の8階級制覇王者として、パッキャオは誰も真似することのできない歴史の一ページをすでに刻んできた。
もしフィリピンの伝説が今週末にバリオスを破れば、彼は「ボクシング史上最年長の世界王者ランキング」で何位にランクインするだろうか?
ボクシング史上最年長の世界チャンピオンは?
現在、ボクシング史上最年長のチャンピオンには、偉大な故ジョージ・フォアマンをわずかに上回ってバーナード・ホプキンスが君臨している。
今回のパッキャオの復帰と関連付けられて語られるのは、フォアマンがヘビー級王座の頂点に返り咲いた驚異的なカムバックだ。
『ランブル・イン・ザ・ジャングル』でモハメド・アリに敗れてから20年後の1994年、バリオスとパッキャオが今回対戦するのと同じ MGM グランド・アリーナでフォアマンは IBF世界ヘビー級王者のマイケル・モーラーを第10ラウンドにKOした。
ただしフォアマンは1987年に復帰後、タイトルを手にするまで7年半にわたってボクシングを続けていた点を指摘しておきたい。パッキャオは2021年8月にヨルデニス・ウガスに敗れて以来、プロとしてリングに立っていない。

フォアマンは45歳と300日でモーラーを破って、当時ボクシング史上最年長のヘビー級チャンピオンになった。その後、1995年4月の初防衛戦でアクセル・シュルツに物議を醸すマジョリティ・デシジョンで勝利したが、再戦に合意しなかったため、IBFからベルトを剥奪された。1995年6月29日にタイトルを返上した時の彼の年齢は46歳と169日だった。
こうしてフォアマンはボクシング史上最年長のチャンピオンとなったが、現在ではその記録はヘビー級王者としての記録にとどまっている。2011年にバーナード・ホプキンスがジャン・パスカルとの再戦にユナニマス・デシジョンで勝利し、WBC世界ライトヘビー級タイトルを獲得したためだ。
ホプキンスがケベックで勝利を収めた時の年齢は46歳126日で、フォアマンがモーラーと対戦したときの年齢を上回ったため、『ビッグ・ジョージ』の最年長チャンピオンの記録は更新された。
『死刑執行人』の異名をとったホプキンスはその後、チャド・ドーソンに敗れてタイトルを失ったが、2013年3月9日に48歳53日でタボリス・クラウドを破ってIBF世界ライトヘビー級のタイトルを獲得して新記録を樹立した。その後、ベイブット・シュメノフのWBA世界ライトヘビー級のベルトも獲得したが、2014年11月8日にセルゲイ・コバレフに敗れ、49歳297日で王座陥落となった。
今回、バリオスと対戦する時点で パッキャオは46歳215日のため、もし勝利すればフォアマンを抜き、最年長チャンピオンとして史上2位の記録を樹立することになる。だがパッキャオが番狂わせを起こしたとしても、ホプキンスの座はしばらくは安泰だ。

各階級の最年長チャンピオン一覧
以下のリストは、ボクシング史研究家の @Asurwrath がまとめ、2021年6月にTwitter(現X)で投稿したものをベースにした各階級最年長チャンピオンリストだ。
その後、2025年7月19日現在のWBA世界ミドル級チャンピオン、エリスランディ・ララがミドル級の史上最年長王者となった(41歳157日)。
同リストの年齢は、各チャンピオンが最後に世界王座を獲得もしくは防衛した試合時点での年齢であり、上記のフォアマンとホプキンスの数字との相違はこの点による(フォアマンはアクセル・シュルツ戦時点、ホプキンスはベイブット・シュメノフ戦時点になる)。
なお、2019年7月のキース・サーマンに勝利したことで、パッキャオはウェルター級の世界タイトルを獲得した史上最年長のボクサーとなっている
階級 | ボクサー | 年齢 |
ヘビー級 | ジョージ・フォアマン | 46歳102日 |
クルーザー級 | バージル・ヒル | 42歳9日 |
ライトヘビー級 | バーナード・ホプキンス | 49歳94日 |
スーパーミドル級 | スラニ・マリンガ | 42歳8日 |
ミドル級 | エリスランディ・ララ | 41歳157日 |
スーパーウェルター級 | コーネリアス・バンドレイジ | 41歳169日 |
ウェルター級 | マニー・パッキャオ | 40歳218日 |
スーパーライト級 | エドゥアルド・トロヤノフスキー | 36歳101日 |
ライト級 | フアン・マヌエル・マルケス | 37歳96日 |
スーパーフェザー級 | アズマー・ネルソン | 37歳317日 |
フェザー級 | エデル・ジョフレ | 37歳209日 |
スーパーバンタム級 | ダニエル・サラゴサ | 39歳124日 |
バンタム級 | ノニト・ドネア | 38歳194日 |
スーパーフライ級 | オマー・ナルバエス | 38歳347日 |
フライ級 | モルティ・ムザラネ | 37歳78日 |
ライトフライ級 | ルイス・アルベルト・ラサルテ | 39歳289日 |
ミニマム級 | ムハンマド・ラクマン | 39歳117日 |
原文:Oldest boxing world champions in history: Where Manny Pacquiao ranks alongside George Foreman, Bernard Hopkins
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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