日本時間7月30日、横浜BUNTAIで開催された『U-NEXT BOXING.3』は忘れられない一夜となった。WBA世界バンタム級正規王者アントニオ・バルガス(19勝1敗1分、11KO)は、地元ファンの熱狂的な応援を受けた比嘉大吾(23勝3敗3分、19KO)との激闘を繰り広げ、序盤のダウンを乗り越えてタイトル防衛に成功した。
Boxlab PromotionsとMatchroom Boxingが共同プロモートするバルガスは、第4ラウンドに比嘉の鋭い左フックのカウンターを受けてダウンを喫し、逆境に立たされた。
しかし、チャンピオンは崩れることなく、驚異的な粘り強さを示しながら、火で火を制すように戦い続けた。
「ダウンを喫したことで私の中に火がついた」とバルガスは振り返った。
「そのラウンドの残り、そしてその後のすべてのラウンドで勝利するために、気持ちを切り替えてベストを尽くさなければならないと分かっていた。チャンピオンは折れちゃいけない…私たち(バルガスと陣営)は反撃したんだ」
第5ラウンドから第10ラウンドまで、フロリダ出身のバルガスは、比嘉を後押しする日本の観客の前でプレッシャーに動じることなく、着実で計算されたペースで攻め続けた。
「集中力を切らさなかった」と28歳のアメリカ人は振り返った。
「これは派手さではなく、集中力だった。頭を下げ、ジャブを打ち、インサイドで戦い、自制心を維持した。それが敵地で生き残る方法だ」
そして最終ラウンドに決定的な瞬間が訪れた。残り1分余りとなった頃、バルガスは激しいコンビネーションを放ち、右のアッパーカットで比嘉をキャンバスに沈め、タイトル戦の流れを変えた。
「私は(ベルトを守るため)深く精神を掘り下げて、すべての力を出し切った」とチャンピオンは誇らしげに語った。
「あのダウンは単なるパンチではなかった。それは私の意思表明の瞬間だった。それが私のベルトを引き留めてくれた。すべての栄光は私の主であり救い主であるイエス・キリストに捧げる」
判定は引き分けとなったが、第12ラウンドに奪ったダウンがバルガスに世界タイトル防衛に必要な優位性を与え、世界中のファンから尊敬を獲得した。
「アントニオは真のチャンピオンとは何かを世界に示した」と、Boxlab Promotionsの社長アマウリ・ピエドラ氏は述べた。
「敵地に乗り込み、ダウンを喫しながらも強気に戦い抜いた。それには勇気、 自制心、そして情熱が必要だ。私たちは彼を信じられないほど誇りに思っている。彼はミッションを持って日本へ赴き、自身が世界最高のバンタム級選手の一人であることを証明した。ベルトはチーム・バルガスに残る」
試合直後には、休養王者の堤聖也と対峙した。目の手術成功後、すでに練習を再開している堤からは「こちらが本物の王者とわからせる」と団体内統一戦を示唆された。
次戦についてはバルガスは即座に決めることはせず、まず選択肢を確認してから判断する意向を示した。
「チームに任せて、それから決める。防衛戦でも統一戦でも、準備はできている!」
※編注:試合後に比嘉が引退表明したため再戦の線はなくなった。
原文:Antonio Vargas reveals how he fought back against Daigo Higa on enemy turf
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)
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