11月24日、TOYOTA ARENA TOKYO。空位のWBC世界バンタム級王座を懸け、同級1位の那須川天心（帝拳）と同級2位の井上拓真（大橋）が激突する。Prime Videoが独占ライブ配信するこの一戦は、同サービスの公式Xでの投票でも 那須川64.3％、井上35.7％ と、ファンの間でも意見が割れる注目カードとなっている。
天心の無敗記録が伸びるのか。それとも、元王者の拓真が世界再起を果たすのか。
両者のスタイルや背景を踏まえつつ、この試合の見どころと勝敗を分析する。
見どころ①：スピード vs テクニックの明確な構図
天心の最大の武器は、スピードと反応の良さだ。キックボクシング時代から培った距離感と初動の鋭さ、ステップワークはボクシング転向後も際立っており、過去7戦全てで主導権を握ってきた。
一方で拓真は、無駄な動きを排しながら戦うテクニカルなタイプ。ジャブ、ステップ、コンパクトな右の精度は現役日本選手の中でもトップクラスで、相手を崩れさせずに12Rを組み立てる職人的な強さがある。この“速さ vs 制御”は、試合を語るうえでの大テーマとなる。
見どころ②：中間距離の攻防が勝敗を決める
両陣営も一致して警戒しているのが、中間距離での主導権争いだ。天心陣営の粟生隆寛トレーナーは、試合3日前の公式記者会見でこう語った。
「拓真選手は上手な選手。すごくテクニカルな試合になる。その中で天心が“自分の距離”をしっかりコントロールしながら戦えるかがカギ」。
つまり天心側は、距離を維持できるかどうかが勝利の条件になる。逆に井上がこの距離で“軸をぶらさず”プレッシャーをかけ続ければ、一気に彼のペースに流れ込む。
拓真本人も天心について、「スピードと感の良いところがあるので、そこを警戒しながら総合力で上回りたい」と語っており、天心が距離に入ってくる瞬間への対策は十分だと考えられる。
見どころ③：12Rの経験差とメンタル
今回の試合は天心にとって初の世界戦であり、12ラウンドの“長距離走”自体が未経験だ。
これまでの7戦はすべて短いラウンド構成で、世界戦独特のペース配分やラウンド間の修正力は未知数となる。
対照的に拓真は、世界王座奪取・防衛・陥落と、世界戦の空気を知り尽くした選手だ。1年の沈黙を破って臨む今回の世界再起戦に向け、公式練習でも仕上がりの良さが際立っている。試合が後半に向かうほど、この経験値は確実に差となって表れやすい。
▶格闘技（ボクシング＆MMA）ライター大募集！ 一緒に盛り上げていける仲間のご応募お待ちしています
見どころ④：周囲の評価も割れる“紙一重の構図”
Prime Videoの公式Xでのファン投票では天心の勝利が上回ったものの、専門家やプロのボクサーの間では予想が真っ二つに割れている。
「天心のスピードが勝る」「技術戦なら拓真」
どちらも成立しうる構図で、単純なパワー勝負にはならない。
天心は初世界戦のプレッシャーをどう処理するか、拓真は長期ブランクの影響を完全に消せているか――。これらも勝敗の要素として見逃せない。
勝敗予想：井上拓真の判定勝ちをやや本命に
総合的に見れば、井上拓真の判定勝ちがやや優勢と考える。
▼理由
・長丁場の経験差
・世界戦でのペース配分と修正力
・天心の踏み込みへの“迎撃経験”が豊富
・距離管理というテーマが拓真に有利
・序盤で慌てないタイプで、試合全体を組み立てやすい
ただしこれは、「試合が落ち着いた展開に流れた場合」の話だ。
▼天心の勝ち筋
天心が序盤からスピードで拓真の反応を上回り、距離を支配できた時だけ、彼の判定勝ち、あるいはパンチの質によるストップ勝ちが見えてくる。カギは「最初の3R」。ここで天心が主導権を握るか、拓真が上手く“制動”できるかで試合全体が決まるだろう。
まとめ
那須川天心と井上拓真。両者のスタイルは異なるが、実力は拮抗している。
・スピードで押す天心
・技術と経験で削る拓真
- 分析すればするほど、どちらにも勝ち筋が存在する好カードだ。 “負け知らずの強さ”か、“負けを越えた強さ”か。11月24日、その答えがリング上で明らかになる。
📺📱テレビ放送・ネット配信・PPV中継予定
▼放送・配信チャンネル
- テレビ地上波： なし
- テレビBS/CS： なし
- ネット：Amazonプライムビデオ
※「プライムビデオ」はAmazonプライム会員の特典のひとつ。プライム会員は初回＆久々登録で30日間無料期間あり。
✍️この記事はいかがでしたか？ 読後のご意見・ご感想をぜひお聞かせください
