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井上尚弥を狙い続けた「ムロジョン・アフマダリエフ」とは?|戦績・経歴|9.14 スーパーバンタム級4団体統一戦

一野洋 Hiroshi Ichino

井上尚弥を狙い続けた「ムロジョン・アフマダリエフ」とは?|戦績・経歴|9.14 スーパーバンタム級4団体統一戦 image

(Ed Mulholland/Matchroom Boxing)

ついに井上尚弥に挑む『MJ』とは何者か?

ムロジョン・アフマダリエフ──ウズベキスタンが生んだ技巧派サウスポーは、ついに念願のリングに立つことになった。9月14日、名古屋・IGアリーナで行われるスーパーバンタム級4団体統一戦。対するは“モンスター”井上尚弥。世界中のボクシングファンが待ちわびた一戦が、ついに現実となる。

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アマチュア時代から光る才能

1994年11月、ウズベキスタン東部のナマンガン州チュストで生まれたアフマダリエフは、少年期からその才能を周囲に知らしめていた。アマチュアキャリアで積み上げた実績は圧巻だ。

2015年の世界選手権で銀メダル、翌2016年リオ五輪では銅メダルを獲得。さらに2017年のアジア大会では金メダルを手にし、国際舞台で結果を残し続けた。

スピードとタイミング、そして抜群のリングIQを兼ね備えたボクサーとして、アマチュア時代から「アジア最強のサウスポー」と呼ばれていた。

プロ転向と“最速”での統一王者

2018年にアメリカでプロデビューを果たすと、その才能は一気に花開いた。迎えた2020年1月、プロわずか8戦目でダニエル・ローマンを破り、WBAスーパー&IBF世界スーパーバンタム級の統一王者に。ウズベキスタン初となる統一王者として歴史を刻んだ。鋭いジャブと正確無比な左ストレート、そして冷静沈着な試合運びで世界を驚かせ、『MJ』という愛称は一気に広まった。

防衛戦でも強さを証明した。2021年には日本の岩佐亮佑を5回TKOで下し、地元タシュケントを熱狂させた。その後もホセ・ベラスケス、ロニー・リオスといった強敵を退け、無敗のまま階級の頂点に立ち続けた。

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挫折と再起

そんなキャリアに暗雲をもたらしたのが、2023年4月のマーロン・タパレス戦だ。序盤から手数で主導権を奪われ、接戦の末にスプリット判定負け。王座を失うと同時に、無敗の記録も途絶えた。だが、アフマダリエフの本当の強さが見えたのはここからだった。

2023年12月、ケビン・ゴンザレスをTKOで退けて再起を果たすと、2024年にはリカルド・エスピノザ・フランコを3回TKOで沈め、WBA世界スーパーバンタム級暫定王座を獲得。さらに2025年5月にはルイス・カスティーヨを8回TKOで破り、完全復活をアピールした。

井上尚弥を“追い続けた”理由

アフマダリエフは、井上がスーパーバンタム級に上げた直後から執拗に挑戦をアピールしてきた選手でもある。SNSやメディアを通じ、「イノウエを倒してこそ本物の王者」と言い続け、敗戦後も姿勢を崩さなかった。その執念の裏には、統一王座を奪われた悔しさと、自らが“真のスーパーバンタム級世界一”であることを証明したいという強い動機がある。

今回の試合は、そうした背景を経て実現した宿命の一戦だ。井上の4団体統一王座を懸け、再起を果たしたアフマダリエフが挑む構図は、ボクシング史に残るビッグマッチと呼ぶにふさわしい。

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スタイルと強さ

アフマダリエフの武器は、多彩なコンビネーションと高精度のカウンターだ。右ジャブでリズムを作り、左のストレートとボディショットで試合を組み立てる。距離を自在に操る技術と、近距離での接近戦にも対応できるフィジカルの強さが融合した万能型のファイターだ。戦績は15戦14勝(11KO)1敗、KO率は約79%。その数字が、彼の破壊力を物語る。

一方で、プレッシャーをかけ続けられる展開では被弾が増える傾向があり、そこが井上に突かれるポイントになる可能性もある。だが、それでも彼の実力が井上の過去の挑戦者たちとは一線を画していることは間違いない。

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名古屋決戦の意味

今回の舞台は、名古屋のIGアリーナ。国内外のファンが集うこのリングで、4団体統一の真価が問われる。井上にとっては、最強と謳われたアフマダリエフを退けることで“完全無欠”の地位をより強固にする試合。一方、アフマダリエフにとっては、失った王座を奪還し、長年追い続けた井上を倒すことで再び世界の頂点に返り咲く絶好の機会だ。

試合はNTTドコモの「Lemino(無料通常中継)」で独占無料配信されることが決まっており、日本国内のみならず世界中のファンが視聴可能。日本時間同日の昼には米ラスベガスで“世紀の一戦”カネロ・アルバレスvsテレンス・クロフォードが行われるが、名古屋の夜が、世界最高峰のリングとして注目を集めるのは必至だ。

結末はリングの上で

アフマダリエフは挑発を繰り返しながらも、井上をリスペクトしている。井上も「逃げる理由はない」と堂々と受けて立った。4団体統一王座を懸けたこの一戦は、階級の勢力図を塗り替える分水嶺となるだろう。

勝者が誰であれ、9月14日の夜、名古屋のリングで繰り広げられるのは、スーパーバンタム級の“真の最強”を決める歴史的一戦だ。

ムロジョン・アフマダリエフのプロフィールと戦績

  • 名前:ムロジョン・アフマダリエフ(Murodjon Akhmadaliev)
  •  国籍:ウズベキスタン
  •  ニックネーム:MJ
  •  生年月日:1994年11月2日(30歳)
  •  身長:166cm
  •  リーチ:173cm
  •  戦績:15戦14勝1敗(11KOs)
  •  スタンス:サウスポー
  • 主要獲得タイトル:WBAインターコンチネンタルスーパーバンタム級王座、WBA世界スーパーバンタム級スーパー王座、IBF世界スーパーバンタム級王座、WBA世界スーパーバンタム級暫定王座
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※本記事内におけるLeminoのコンテンツ配信情報は2025年9月12日時点のものです。配信が終了している、または見放題が終了している可能性があります。現在の配信状況についてはLeminoのホームページもしくはアプリをご確認ください。
※試合開催・放送配信内容・各サービスの料金等は主催者・放送局の都合により変更になる場合があります。料金は消費税込み価格。最新情報は各公式サイト等をご確認ください。

一野洋 Hiroshi Ichino

青山学院大学を卒業後、米軍厚木基地に就職。その後、NFLを題材にしたライターを目指して渡米。アメリカでは寿司職人を経て、日系フリーペーパーの編集者となりNFL、MLB、NBAなどを取材。帰国後はNFL日本語公式サイトのディレクション業務などに従事した。ライターとしてNFL、海外競馬、サーフィンをメインに扱い、これまでにスーパーボウル、凱旋門賞などの海外競馬、ジャパン・オープン・オブ・サーフィンなど取材経験あり。