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プロ野球のスカウトはドラフト候補の何を見ているのか? 基本となる3つのデータとは

阿部泰斉 Taisei Abe

プロ野球のスカウトはドラフト候補の何を見ているのか? 基本となる3つのデータとは image

Jiji Press

プロ野球のドラフトに欠かせない存在、スカウト。プロ野球のスカウトは、いったいどのようにして選手を発見しているのか。また、見ているポイントはどこなのか。ドラフト候補に挙がる方法とは――。

今回の記事では、取材経験から得たプロ野球のスカウトが見ているポイント、スカウティングの基本的な部分について紹介する。子どもをプロ野球選手にしたい親御さんから、自身がプロ野球選手になりたいプレーヤーまで幅広くチェックしてもらいたい。

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■プロ野球のスカウトはどこにいるのか

スカウトはとにかく試合会場に現れる。他球団が見つけていない逸材を発見するために、全国各地から海外まであらゆる球場に足を運び、しらみつぶしに選手をチェックしている。

新聞などで「ドラフト候補」として取り上げられている選手をチェックする際、その選手ではなく対戦相手の逸材にほれ込むパターンもある。だからこそ『最初は誰もがドラフト候補』と言っても過言ではないのだ。

ネットで検索して「ドラフト1位候補orドラフト上位候補」の選手が存在する高校の都道府県や、大学リーグの選手は特にそうだ。1試合目に注目株がいた場合、「2試合目に別にマークしている選手はいないけど、とりあえず5回まで見てみるか…」という気持ちで球場に残っているスカウトはかなりいる。ダイヤの原石が見つかるのは、このパターンだ。

■プロ野球のスカウトがドラフト候補を見つけるためにチェックしているポイント

①身長

知名度がない選手でも注目されるケースがある。その際に活用されるのが、各大会で販売されているパンフレットだ。選手の名前、身長、体重、利き腕、背番号など簡易的なものしか載っていないが、これがスカウトにとっては貴重なデーターベースになる。特に情報が少なく、選手が多い高校野球では大事だ。

ここでいの一番にチェックするのが「身長」。背番号が1桁でなかったとしても、身長が185cmを超えている選手がいればとりあえず線を引く。身体が大きければ大きいほど、「今は完成されていなくとも育成で獲得して育てれば大物になるのではないか」とスカウトは注目する。

②利き腕

次に「利き腕」だ。「左利き」で背番号が1や10など、投手に分類されていれば特にチェックされる。私もあるスカウトの方には会う度に「左投手でいい選手いない?」と聞かれていた程、注目度は高い。それだけに左利きのサイドスローといった希少価値の高い投手がいたら、完成度次第で一気にドラフト候補へとリストアップされる可能性が大いにある。

また、これは限定的になるのだが、球団によっては「右投げ左打ちが少ない」、「うちは右打ちの遊撃手が少ないからチェックしたい」など、細かく絞り込んで選手を探している場合もある。その場合は、特に大学や社会人などの即戦力になることを期待される選手に求められるケースが多い。これはその時の球団の足りない部分を補うためのもので、年によって大きく変わる。

③数字(タイム)

スカウトはストップウォッチやスピードガンを片手に、バックネット裏から熱視線を送り続けている。試合前のノックから試合中のブルペンの投球練習まで広い視野でチェックしている。選手たちはどんな場面でもアピールチャンスになると心に留めてもらいたい。

特にストップウォッチは試合中ずっと握っている。「捕手の二塁送球のタイム」や「打者が打ってから一塁に到達するまでのタイム」などがどれくらいなのか、あらゆる場面で時間を計測している。

タイムはスカウトにとっても上司に報告する際のアピール材料になる。だから選手としては、捕手なら先述の二塁送球の時計は1秒台を目標に、野手で脚をアピールしたい選手なら一塁到達タイムは3秒台から4秒台前半を目標にしたいところだ。


以上、今回はスカウティングにおける基礎的な部分について紹介した。利き腕や身長に関してはチーム事情や生まれ持ったもので、選手たち自身がどうこうできる問題ではない。

しかし、野手の一塁到達タイムや捕手の二塁送球など、努力で伸ばせる部分は必ずある。今後も同連載では『ドラフト候補になるためのヒント』を提供していく。

阿部泰斉 Taisei Abe

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。法大を卒業後、スポーツ新聞社に就職。アマチュア野球、競馬の担当を経て2024年に退職。現在はお笑い芸人として日々鍛錬を積んでいる。新聞社時代、野球担当では高校までの野球部経験を活かして甲子園取材を経験。競馬担当では美浦トレーニングセンターでの日々の調教から、競馬場でのレース取材まで幅広く担当。結果を出す馬の特徴を研究した。