10月23日、16:50より「2025年 プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が開催される。大注目の指名の様子は、動画配信サイトのU-NEXT にて育成枠終了まで生中継される予定だ。
ここでは、今年のセ・リーグを史上最速優勝記録を更新する独走で制した阪神タイガースが迎える2025年のドラフトを展望。黄金期突入を目指す猛虎軍団の指名を、関西生まれの虎党である筆者が予想する。
大注目スラッガーに競合覚悟?阪神タイガースの1位指名予想
筆者のみならず、大多数のプロ野球ファンが今年の阪神タイガースのドラフト戦略のポイントを「大型野手の獲得」と予想しているだろう。
投手に一切テコ入れが必要ないとまでは言わないが、先発ローテーションはタイトルホルダーの才木浩人と村上頌樹の2本柱、髙橋遥人、大竹耕太郎らが脇を固め、リリーフ陣も岩崎優、石井大智を筆頭に「誰が出ても勝ちパターン」と言える盤石さ。質と量を兼ね備えた投手陣はリーグ優勝に大きく貢献し、リーグトップのチーム防御率2.21を記録してシーズンを終えた。欲を言えばローテーション争いに加われる実力派ピッチャーがもう一枚欲しいところ(才木のメジャー挑戦の可能性もある兼ね合いで)だが、今年ドラ1のカードを切ってまで着手しなければならないほどの急務とは言えないだろう。
打線を見ても近本光司、中野拓夢、森下翔太、佐藤輝明、大山悠輔とリーグ屈指の好打者たちが揃っているが、彼らの後続を打つ6番から8番はシーズン通して流動的。チーム内の競争をさらに活性化させ、新たに定位置を掴む選手の出現を促すためにも、今秋からオフシーズンにかけての補強が鍵となる。今年ここまでの戦力外・引退選手 を見ても、渡邉諒、野口恭佑、原口文仁といったホットコーナー、外野で打力を売りにする選手たちが放出の対象となっており、こういった特色の野手の補強を球団編成も目論んでいるはずだ。
今年のドラフトの野手の目玉はなんといっても 立石正広(創価大・右投右打)だろう。大学ジャパンの4番も務めたスラッガーで、豪快な引っ張りだけでなく逆方向へも簡単に放り込んでしまう広角打者。ここに瞬足、強肩のオマケまで付いてしまう逸材っぷりで、既に 広島東洋カープが1位指名の予定を公表 している。
4年生からはセカンドを務めるがそれまではサードで、阪神としては近い将来のMLB移籍が予想される佐藤輝の後釜候補として抑えておきたいスター候補なはずだ。仮に渡米が再来年以降になったとしても、サードに立石を配し佐藤を外野にコンバートするなどの選択肢も生まれてくる。セカンド起用を視野に入れるなら、流動的なポジションのショートに中野が復帰する線も考えられなくはない。
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立石と並ぶ1位指名必至の好打者と言えば 小島大河(明治大・右投左打)だ。バッティングセンスの光るキャッチャーで、右足を大きく上げるフォームから左右に鋭い当たりをズバリと飛ばす。同大学投手の毛利海大も今年のドラフト1位指名候補で、六大学秋季リーグ制覇に揃って貢献した。
阪神にとってキャッチャーは補強ポイントの一つで、絶大な信頼を築いている正捕手の坂本誠志郎は来月で32歳、長らくチームを引っ張ってきた梅野隆太郎も現在34歳でここ数年不振に陥ってしまっている。2軍からの突き上げにも乏しく、打力が持ち味の中川勇斗も1軍では外野での出場が今のところメイン。ここで小島を指名し世代交代を加速させることも十分選択肢に入るだろう。なお小島に関しては既に 埼玉西武ライオンズが1位指名を予定していることが公表 されている。
【23春タイトル🎊】
— BIG6.TV (@big6_tv) June 2, 2023
ベストナイン捕手
🏅明大 #小島大河(②東海大相模)
打率.282 2本塁打 7打点
2年生にして正捕手を務め全試合でマスクを被った!放った2本は延長での勝ち越し弾と優勝を決定づけるホームラン。勝負強さ光る女房役として優勝へ導いた!#big6tv #六大学野球 #明治 #東海大相模 pic.twitter.com/e2VxCX1tPA
しかし、キャッチャーに関しては来年のドラフトにも注目選手がいる。青山学院大の渡部海だ。東都で圧倒的な強さを誇る青学大で1年春よりレギュラーマスクを被る強肩強打で、気の早い話ではあるが2026年ドラフトの目玉候補とも目されている。無論、小島も見送るには惜しい好打者であるものの、同じ捕手のドラ1候補が来年もいることを考えれば、今年は人員入れ替えが行われる内野の選手かつ「数年に一人」レベルのスラッガーである立石の方に入札するメリットが他の選択肢を僅かにでも上回ると筆者は考える。この1年の猶予を中川のポジションの見極め、キャッチャー陣の整理検討の時間にも充てられるだろう。
長々とした展望の割に非常にありきたりな結論に至ってしまったが、筆者は阪神タイガースの1位指名を 立石正広 と予想する。右打ちであることも甲子園を本拠地とする阪神にフィットする要素となるだろう。昨年のドラフトで阪神はドラフト前から重複確実と言われていた金丸夢斗に入札を行っており、今年も明確に年度ナンバーワン級と言える選手には重複も辞さない覚悟ではないかと見ている。
もし立石の交渉権を引き当てられなかった場合は投手にシフトチェンジせず、1回目の指名で名前の呼ばれなかった強打者を指名すると考える。立石以外の内野手には青学大の主砲 小田康一郎(右投左打)、長打力とユーティリティ性を兼ね備える 松下歩叶(法政大・右投右打)、外野手では強打のスイッチヒッター 平川蓮(仙台大・右投両打)、走攻守揃ったスラッガー 秋山俊(中京大・右投左打)らが上位指名候補として注目されているが、2回目以降の入札で人気しそうなほか、立石重複を避けた一本釣り狙いで1回目から指名に動く球団も現れるかもしれない。
独自路線かバランス重視か?阪神タイガースの2位以下の指名戦略予想
ウェーバーでの阪神の今年の指名順は11番目。逆ウェーバーでは2番目となる。阪神は2020年からの近5回のドラフトで野手を2回、投手を3回ドラフト1位指名しているが、2位指名は5回全て共通して投手を指名している。2019年は伊藤将司、2022年は門別啓人がこの順位で選ばれており、昨年は地元報徳学園のエース今朝丸裕喜を迎え入れた。筆者はこの傾向が今年も継続されると見ている。高大社独問わず、その時点で残っている中で最も評価の高い投手を指名してくるだろう。
今年の特色が出そうなのは3位からと予想している。昨年はその3位に社会人の木下里都を指名すると、以下4位の町田隼乙から育成4位の川﨑俊哲までの6名を独立リーグ、NPB2軍球団所属選手で固めてくるという戦略をとった。高卒でも大卒でもなく、さらに社会人より独立出身をメインにするという独特の指名にファンからの反応は様々だったが、蓋を開けてみるとシーズン前に工藤泰成、7月に早川太貴が支配下昇格を達成し、ドラ1伊原陵人の活躍も含め1年目から実りのあるドラフトとなった。
本日のドラフト会議2024で、阪神タイガースは、伊原陵人選手(NTT西日本)ら9選手の交渉権を獲得しました。https://t.co/VIVk2tnQXq pic.twitter.com/GwaLB5lyja
— 阪神タイガース (@TigersDreamlink) October 24, 2024
その2024年ドラフトで20代前半から中盤の選手が増えたため、今年は 素質のある高卒、大卒の指名が3位以下のメインになる のではと筆者は考えている。さらに付け足すと、阪神はこれまでアマチュア野球保護の観点から高校生を育成契約で獲得しない方針をとってきているため、支配下指名の中位〜下位は昨年と打って変わって高校生がある程度の比率を占めるかもしれない。阪神は今季より2軍新本拠地の稼働を開始させており、甲子園と同じ大きさの球場、最新鋭の練習設備を若虎たちに用意している。生え抜き主体のチーム作りで近年の成功を収めてきた球団がさらなるスター育成のために「素材型」の指名に動いても不思議ではないだろう。
阪神よりも前の指名順で消えてしまうかもしれないが、筆者は2位以下のどこかの順位に大阪桐蔭コンビの 森陽樹(右投右打)と 中野大虎(右投右打)を推す。190センチ級の上背を持つ森はプロと比較しても非常に高い回転数のフォーシームが持ち味で、現状の完成度に伸びしろも備える。中野は名前からも察せられる通り、一家揃っての阪神ファン。高校日本代表に選ばれるなど実力も証明済みで、大阪桐蔭ではキャプテン、代表ではムードメーカーの役割を担うなど仲間や指導者からの信頼も厚い。近年の阪神は山田脩也(仙台育英)、戸井零士(天理)ら各校の主将の指名も見られており、中野のグラウンド内外での影響力も買った評価を下す可能性も考えられる。
■2025ドラフト会議 主な放送・中継予定
- U-NEXT(インターネット配信)
- スポーツブル(インターネット配信)
- TBS(テレビ)
- スカイA(テレビ)
- ニッポン放送(ラジオ)
