1月12日(月・祝)、国立代々木競技場第一体育館。第101回天皇杯(全日本バスケットボール選手権)の決勝で、シーホース三河はアルバルク東京に64−72で敗れた。8年ぶりの決勝の舞台。前身のアイシン時代を含めれば、10年ぶりの王座奪還はならなかった。それでも、試合を重ねるたびに磨かれていった多彩なチームディフェンスは、確かな進化を感じさせた。
そんな三河の中で、ダバンテ・ガードナー、西田優大の主軸と並び、オフェンス面でも存在感を放ったのが、ベテランの石井講祐だ。
決勝こそ無得点に終わったが、準々決勝の琉球ゴールデンキングス戦では21得点、準決勝の宇都宮ブレックス戦では15得点。いずれもチームのスコアリーダーとして勝利に貢献した。さらに両試合では3つのオフェンスリバウンドを奪取するなど、石井らしい泥臭さも光った。
「決勝は、チーム全体で決めるべきシュートを決められず、アルバルクさんは逆に決めてきました。イージーショットや3ポイントが入らなかった。どこか1本でも入っていれば流れが変わったかなと思うところが多く、ありました。
ただ、ディフェンスでは大会を通じてみんなが集中力を見せるようになりました。強く芽生えたそうしたマインドセットを、シーズン後半戦にも活かしていければと感じました」
敗れた悔しさは、もちろんある。だが、その表情からは、シーズン後半への「手応え」を感じ取った落ち着きがあった。
感謝を胸に、目の前にあることに全力で
石井はBリーグ開幕シーズンの2017年から千葉ジェッツで3年連続、2020年のサンロッカーズ渋谷時代と合わせる4年連続で天皇杯優勝を経験した。
現在、三河では3シーズン目。38歳となった今も、第一線のコートに立ち続けている。
同年代の選手が次々とユニフォームを脱ぐ中、石井の心境にも変化がある。
大学時代の同期・大塚裕土(アルティーリ千葉)、1年先輩の西村文男(千葉ジェッツ)が今季限りでの引退を表明した。
「同年代の選手が引退を決めていくのを聞くたびに、僕自身も“そう遠くはない”と感じています。だからこそ、1試合1試合を楽しむ、と言うと、少し軽く感じますかね? 限られた時間だからこそ、最近は、失敗したらどうしようと思ったり、緊張してプレーするのがもったいないといった気持ちが強くなってきています。
天皇杯でもリーグ戦でも、素晴らしいチーム、選手相手に、素晴らしい仲間たちと戦えることの楽しみを噛み締めていければと考えています」
語る口調は穏やかで、どこか清々しい。「今この瞬間を味わいたい」という静かな情熱が、自然とパフォーマンスに反映されているのだろう。
今シーズンは、序盤こそプレー機会に恵まれなかったが、試合を重ねるごとに出場機会が増し、年明けからは先発出場も果たしている。
何よりその経験と存在感は、チームに大きな安心感をもたらしている。
西田優大は「どんな状況でも常に準備を怠らず、いつもチームを引っ張ってくれる」と語る。
「自分でゴール(引き際)を決めているわけではないですし、それは自分でコントロールできない部分も多分にあります。だからこそ、一瞬一瞬に感謝しながらプレーしていきたい。あと何年プレーするのかわかりませんが、1年ごとに自分の持てるものを出し切っていきたいです」
三河は現在、B1西地区3位(20勝10敗)。再開するシーズン後半戦では天皇杯で掴んだ手応えをさらなる自信に変え、チーム、そして石井自身も成し遂げていないB1制覇を目指す。
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