B1王者の宇都宮ブレックスは今季、主力をケガで欠く状態で海外遠征も含むホーム&アウェー形式のEASL(東アジアスーパーリーグ)も戦うタフな日程が続くなか、Bリーグ・レギュラーシーズンで20勝5敗(東地区2位、第15節終了・12月23日時点)と着実に勝ち星を積み重ねている。
そんななか、2024年で日本代表活動に区切りをつけた35歳のベテラン・比江島慎はどのような胸中でプレーしているのか。
「正直、予想以上にタフな日程なので、コンディションを整えるのがなかなか難しいです。技術的な部分も含めて、納得のいくパフォーマンスができていません。何が理由なのかはよくわからないのですが、その葛藤はありますね」
今季は例年より若干低めとはいえ平均11.8得点と変わらずその役割を果たしているが、ここまでの前半戦は試合によって波が見られる。
FIBAワールドカップ予選開催によるシーズン中断期間(バイウィーク)明けで見ると、秋田ノーザンハピネッツ(ホーム)との2連戦(12月6・7日)、アウェーの大阪エヴェッサ戦(12月10日)までの3試合ではフィールドゴール(FG)32本中20本成功(成功率62.5%)、3ポイントは16本中11本成功(同68.8%)で平均17.0得点と流石の活躍を見せた。その一方で、三遠ネオフェニックスを迎えたホームでの2連戦(12月13・14日)ではFG14本中4本(28.6%)、3ポイントは11本中3本成功(同27.3%)で平均7.0得点にとどまった。
「(宇都宮のインサイドを警戒して)比較的引いて守ってくる相手にはシュートも高い確率で決まっていますが、前から当たってくるチームには、まだうまくプレーできていませんし、ダブルチームへの対応も納得いく感じではありません」
宇都宮は開幕直後からケガで長期欠場していたシックスマンのグラント・ジェレット、手術の影響で出遅れていた若きスピードスター、小川敦也がバイウィーク明けから戦線に復帰。今季は先発として起用されている25歳の高島紳司や遠藤祐亮らのベテラン勢、アイザック・フォトゥ、ギャビン・エドワーズのビッグマンと2年連続リーグMVPのガード、DJ・ニュービルという強力なラインナップにふたりが戻り、王座を獲得した昨シーズンの主要メンバーが顔を揃えた。
チームとしての完成度を上げていくのは、これからの作業となるが、同時に速い展開を武器にするチームが増えているリーグのトレンドに対応する必要性を感じている。
「速い展開を得意とするチームへの対応は、昨季からチームの課題にしているところです。ケガ人が戻ってきたのでチームとしてもっと良くしていかなければと思います。ただ、ほぼ同じメンバーでプレーしているので、(課題はありつつ)良くはなってきていると思います」
14日の三遠戦、17日のEASL・対ソウルSKナイツに2連敗後、迎えたアウェーでのアルティーリ千葉との対戦(20、21日)では、序盤から激しいディフェンスを軸に96対82、96対83と2連勝。比江島は初戦FG8本中4本成功(3ポイント6本中3本成功)で18得点をマークしたが、2戦目はFG8本中2本成功(3ポイント5本中成功ゼロ)で6得点にとどまった。
そのプレーぶりから衰えを感じられないが、比江島に「3、4年前に比べて体の変化を感じているか」と問うと、率直な答えが返ってきた。
「それはありますね。疲労が抜けにくくなっていますし、以前のように自分の思うように体が動きにくくなっている感覚はあります。ただ、それ(フィジカル面の変化)を技術でカバーしていくことで、いいプレーにつなげていくことを心がけています。その部分がまだ自分ではうまくいっていませんが」
ただ、チームとして、成長を続ける高島紳司と22歳の小川という若手ガード陣の存在は、ベテラン中心の宇都宮に新たな風を吹き込んでいるという。
「(2人の台頭は)めちゃくちゃ大きいですよ。小川は身体能力も高いですし、例えば三遠戦では、向こうのスピードにひとりで対抗できたていた。彼らがチームの幅を広げてくれるので、もっともっと成長していってほしいと思います」
バイウィーク明けのシュート率を基準に話を聞いてきたが、独特なリズムで相手を翻弄するドリブル、リングアタックの際の独特なステップは健在。百戦錬磨の経験と勝負強さは比類なきものだ。
焦る必要はない。比江島は今の自分自身に合う新たな型を模索しつつ、チームとしての成長に貢献していく。
宇都宮は12月24日にホームでサンロッカーズ渋谷と対戦した後、27、28日にはさいたまスーパーアリーナで行われる越谷アルファーズとの2連戦で2025年を締めくくる。
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