【箱根駅伝】中央大学30年ぶり優勝なるか 藤原監督「状態は上昇曲線」と自信 記者会見詳細

市原和之 Kazuyuki Ichihara

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1月2、3日に行われる第102回箱根駅伝で、30年ぶりの優勝を目指す中央大学。先月の全日本大学駅伝は過去最高タイの2位と結果を出したが、その後チームの状態は上昇しているという。12月18日の記者会見で、藤原正和監督から「夏場に距離を踏んだことで11月からの上昇曲線の伸びが例年より大きい。選手も手ごたえを感じている」とのコメントも飛び出した。注目の1区は誰が走るのか?カギとなる選手は?全選手の意気込みや希望区間など含め、記者会見の詳細をお伝えする。

※質問および、監督や選手のコメントは一部補足するなどしています。

Q 現在のチームの調子は?

藤原監督「ここまで順調にきている。あと半月、当たり前のことを当たり前にやって、当日いい形で迎えたい。今年1年間、キャプテンの吉居中心に練習積んできた。上半期はスピードの強化を、夏合宿からは例年とガラっと変えて、箱根を見据えて徹底した走り込みをおこなった。そのかいあって、11月、12月の調子のあがり方が例年と違う。大きく上昇曲線を描いている。選手たちも手ごたえ感じているのでは」

Q 箱根に向けて、吉居駿恭駅伝主将(4年)の抱負は?

吉居「今回が最後の箱根になる。優勝したい気持ちで1年間取り組んできた。最後は優勝して卒業したい。走りたい区間は特になく、与えられた区間で、しっかり先頭でタスキを渡せるよう頑張っていきたい」

Q 全日本駅伝後に監督から「スピードだけのチームに強さが加わった」という発言あった。吉居選手も手応えを感じている?

吉居「全日本は自分たちが大きく外すことなく走れての2番だったが、強さを示す駅伝ではなかった。全日本以降、夏に全員が距離を走った分、選手層が厚くなったり、エース級の走りができたりする選手が増えてきたと感じている」

Q 藤原監督は少し前に「1区迷っている」と発言。今はもう固まった?

藤原「固まってはいるけど、まだ迷っていることにさせて下さい 笑」

Q 今年は接戦になる?

藤原「なると思う。6区が終わって、3~4校が1分以内の差で7区、8区と推移することも想定している。いかに強い選手を7区、8区に置けるか。今、こういうオーダーがベストだろうなあというのは頭にあるけど、まだ半月ある。選手たちの頑張りでピースが入れ替わる可能性もある」

Q 昨年に続き、今年も1万メートル27分台を出している溜池一太(4年)、本間颯(3年)両選手に。昨年と今年の記録で、感覚的な違いはある?

溜池「昨夏は全力を出しての27分52秒だった。今年は、夏に距離を踏んだこともあってMARCH対抗戦の1万メートルが長く感じなかった。箱根の10キロ通過をイメージしてという指示だったので、余裕を持って走って27分52秒が出た」

本間「去年のMARCHは調子よくて27分46秒。今年は出雲、全日本と結果を出せなくて、八王子ロングディスタンスまで少しの期間だったけど、気持ちを入れ直して“苦しむ”をテーマに取り組んだ。八王子は8000以降、集団から離れてしまったけど、その中で粘ることができたので、自己ベスト更新できた」

Chuo University  track and field club 121825

1万メートル27分台の記録をもつ6人

Q 岡田開成選手(2年)は今年の箱根、全日本で、駒大の佐藤圭汰選手と走った。箱根でまた一緒に走るとなったら、どう戦う?

岡田「佐藤選手とは昨年は実力差を感じていて、今年も全日本で戦わせて頂いたけど、まだまだ距離は縮まっていないと感じた。ただ、その悔しさを糧に八王子ロングディスタンスでは、かなりいいタイムで走ることができた(27分37秒)。この八王子の勢いを箱根につなげて、佐藤さんと同じ区間になるのであればもう一度並走したいし、出来れば勝って、自分の中の佐藤さんの壁を破りたい」

Q 吉中祐太選手(4年)と白川陽大選手(4年)は上半期苦しみながらも、状態上げてきた。復活の要因は?

白川「今年の箱根終わってから、なかなか練習積めずに試合に出場する機会も減少して、気持ちが落ちるところもあったけど、夏以降、練習積めるようになった。優勝に貢献するという思いを持てたことが、今につながっている」

吉中「前期シーズンが終わってから、体的にも精神的にも苦しい時期が続いた。競技から離れた時もあったが、そこで応援してくださる方々が多くいることを実感した。もう一度箱根に向けて頑張ってみようと思って取り組んできた。元の走力に戻せるように、1つ1つの練習を丁寧にやっている」

Q 現メンバーには5区6区経験者がいない。監督はどう育成してきた?

藤原「今年箱根で優勝した青山学院さんとは平地での差はなく、山で大きく差がついた。そこは課題と思っていたので、夏合宿以降、5区6区の対策はみっちりやってきた。16人の中からそのメンバーを残り半月しっかり仕上げていきたい」

Q 5区、6区の目標タイムは?

藤原「早稲田の工藤慎作選手がまた上れば、68分台も視野に入ってくる。ただ、そこまではうちの選手には望んでいない。70分から71分の間で走ってくれれば(参考:2025年箱根5区 青学・若林宏樹69分11秒、早稲田・工藤69分31秒、中央・園木大斗71分43秒)。6区はいい人材がいる。ぬかりなくやってくれれば58分は十分切れる。この半月でもう少し削れるところも出てくる。山のトータルで、2時間8分切るのが目標」

Q 5区は折居幸成選手(4年)が、6区は佐藤蓮選手(3年)が希望している。2人確定とみていいか?

藤原「えーと、ノーコメントでお願いします 笑」

Q 2年前の100回大会も優勝掲げていた。どちらが手ごたえあるか?

藤原「断然今年です。比較にならないぐらい。理由は選手層の厚さ。また優勝への熱量も、2年前は上位層の選手はもっていたと思うが、部員全員がもっていたかというと、こちらも上手くしてやれなかったところがある。それ(チーム全体の熱量)は今年の方が上」

Q ゲームチェンジャーになる選手は?

藤原「優勝するチームは強い4年生がいるが、その下の3年生世代の活躍がマスト。3年生の4人には非常に期待している。本間は今年の箱根3区で区間賞、箱根でアンカーを務めた藤田も1万メートル27分40秒までタイムを伸ばしてきた。山下りを希望している佐藤蓮もいるし、昨年は駅伝1つも走れなかった柴田も全日本区間賞で帰ってきてくれた。この4人がどれだけ活躍してくれるか」

Q 往路で仮に2位以下の場合、タイム差どれくらいならば射程圏内か?

藤原「往路終了時で1分以内ならば、復路で十分挽回可能だと思っている」

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Q 濱口大和選手(1年)に。出雲駅伝で苦しい走りになった理由と、それをどうMARCHにつなげたか

濱口「入学後、高校と大学のギャップに少し苦戦したところもあった。自分の佐久長聖高校は、がっちり型にはまっている練習をするが、中大は個々に委ねられている。そういう環境を生かしきれなかったのと、夏場の走り込みの疲労が抜けきれなくて、出雲は思うように走れなかった。そこから一度見つめ直す気持ちになり、徐々に疲労も抜け、5000から1万という流れにも対応できた」

Q 今日授業のため欠席している辻誉選手(1年)、三宅悠斗選手(1年)の特徴や長所は?

藤原「辻は入学直後、少しけがをしていたが、6月以降継続して練習を積めていて、学内選考であった11月9日の宮古サーモンハーフ、22日のMARCH対抗戦の2本揃えてきた。安定感とロードの強さなどから、16人目という形で入れた。三宅は5月の全日本大学駅伝選考会で起用したこともあり、1年生らしからぬ強さを持っている。ただ距離が踏めているかというとそうではないので、残りの期間、どれだけ箱根の距離にアジャストしてくれるか。また長い目で見た時に、三宅と濱口がチームを引っ張って行ってくれると期待を寄せている」

選手の抱負、走りたい区間

〇吉居駿恭(4年)

優勝したい気持ちで1年取り組んできた。最後は優勝して卒業したい。

走りたい区間は特にない。与えられた区間で、区間賞やチームの先頭でタスキを渡せるよう頑張っていきたい。

〇折居幸成(4年)

チームの総合優勝に向けて役割果たせるよう、残り期間を集中して取り組みたい。

走りたい区間は5区。自分の強みである上りが生かせる。優勝を考えた時に重要な区間となるので、そこで力を発揮したい。

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スポーツ推薦ではなく、一般生から入部した折居選手。寮長を務めるなど人望も厚い

〇白川陽大(4年) 

1年間箱根優勝を掲げて練習してきた。達成できるように頑張りたい。

9区を希望。今年は優勝争いがもつれるかわからない状態だが、9区で自分が勝負を決定づける走りをしたい

〇溜池一太(4年)

今年はどの区間でも自分の力を発揮したい。総合優勝に貢献する走りをしたい。

希望区間は6区以外ならどこでも。

〇吉中祐太(4年)

総合優勝に貢献できるよう頑張りたい。また苦しいときに支えてくれた方々の感謝を胸に走りたい。

希望区間は9区。今年9区で悔しい走りになったので、リベンジの走りをしたい。

〇佐藤蓮(3年)

総合優勝に貢献できるよう自分の役割を全うしたい。

希望は6区。2年前に6区希望していて走れなかったのでそのリベンジと、入学前から6区の山区間に憧れがあった。また下りが得意なので。

〇柴田大地(3年)

箱根ではチームを勝たせる走りができるように頑張ります。

希望区間は1区。区間賞取って、いい流れを持ってくることが重要なので。

〇藤田大智(3年)

総合優勝と区間賞を目指して頑張る。4年生を笑顔で送り出したい。

箱根の区間は、5区6区以外どこでも走れると思っている。任された区間で役割果たしたい。

〇本間颯(3年)

個人としてもチームとしても苦しい1年を過ごしてきた。最後はみんなで笑って終われるように、勝たせる走りをしたい。

希望は3区。前回は先輩が1、2区でいい流れを持ってきてくれて、自分が区間賞取れた。今度は(中大へのマークが厳しくなり)そうならないと予想される。自分が59分台出して、優勝決められるようにしたい。

〇岡田開成(2年)

今まで自分を支えてくれた方々、チームを支えて下さった4年生に恩返しの走りをしたい。

希望区間は強いて言うと7区。今年悔しい結果になったので、リベンジの思いを込めて7区。

〇佐藤大介(2年)

総合優勝に貢献する走りをしたい。

希望は8区。今年の箱根では区間最下位という結果で悔しかった。来年箱根で区間賞取って、自分の力発揮できれば。

〇七枝直(2年)

優勝に向けて、さまざまな方々に恩返しできる走りができるように頑張る。

希望区間は特になし。勝つために必要な区間をだれにも負けない走りで駆け抜けたい。

〇並川颯太(2年)

去年の自分自身の悔しさを糧に、自分が起爆剤となれるような走りをしたい。

希望区間は10区。今年あと一歩のところで出走がかなわなかったので、そのリベンジの意味も込めて。走ることになれば、優勝を決定づけるような走りをしたい。

〇濵口大和(1年)

チームの目標が総合優勝なので、自分がしっかり走って貢献したい。

希望は1区。得意のラストスパートを生かせるので。

※三宅悠斗選手(1年)と辻󠄀誉選手(1年)は授業のため欠席

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