【箱根駅伝】 駒澤・國學院・中央の優勝争いか 青山学院は再来年から脅威に 区間予想も

市原和之 Kazuyuki Ichihara

【箱根駅伝】 駒澤・國學院・中央の優勝争いか 青山学院は再来年から脅威に 区間予想も image

Jiji Press

全日本大学駅伝で優勝した駒澤大学(2025年11月2日)

第102回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)は、いよいよ29日に10区間のエントリー10人と補員6人が発表され、翌年1月2日に往路がスタートする。

今大会は早くから“5強”の争いと言われてきた。5強とは、前回(101回)大会の1位~5位の青山学院大、駒澤大、國學院大、早稲田大、中央大だ。ただこのうち早稲田は、往路優勝の可能性はあるものの、選手層の薄さから評価を下げざるを得ない。また、3連覇を狙う“絶対王者”青学大も、太田蒼生や若林宏樹ら前回Vメンバー6人が卒業し、戦力ダウンは否めない。

このため、今大会は駒澤、國學院、中央で優勝を争うとみる。3大学の実績、戦力分析、区間予想をしていきたい。

 ※文中敬称略

【駒澤大】4年生カルテットを軸に戦力充実 優勝候補の筆頭

(出雲5位、全日本1位)

藤田敦史が監督に就任してから、箱根は2回続けて準優勝。今シーズンは4年生の戦力が充実しており、是が非でも優勝したいところだ。

主将の山川拓馬、佐藤圭汰、伊藤蒼唯、帰山侑大の4年生4本柱は、とにかく強力。11月の全日本駅伝は全員が安定した走りで、2位中央大に2分の差をつける完勝だった。

特筆すべきは伊藤。4月に学生個人選手権1万メートルを優勝し、さらにレベルを上げ、全日本では5区区間新をたたき出した。藤田監督は「箱根でもゲームチェンジャーになって欲しい」と期待を寄せる。

帰山の成長も見逃せない。2年生時は箱根6区で区間12位だったが、前回は1区で区間2位と好走。今シーズンは5月の関東インカレ2部ハーフマラソンで優勝するなど、着実に力をつけてきた。箱根では「他校のエースに勝って、流れを作りたい」と“花の2区”を希望する。

チーム唯一の懸念材料は、佐藤の回復具合だろう。昨シーズンも悩まされた恥骨のけがで、10月の出雲駅伝を欠場し、復帰レースとなった全日本は7区で区間3位だった。悪くない結果だが、佐藤本来の実力からすると物足りない。佐藤は箱根で2区を希望しており、回復具合が大きなポイントになってくる。

指揮官が今シーズン一番の成長株に挙げたのが2年生の坂口雄哉だ。「夏合宿では山川と同じ練習をパーフェクトにこなした」という。また、坂口が夏に出てきたことで、上級生の目の色も変わるなど、チーム全体の底上げにもつながった。

前回の箱根経験者が9人いることも、大きなプラス材料。藤田監督も胸を張る選手層の厚さで、3大会ぶりの頂点を奪取することができるか。

【区間予想】

①帰山  ②山川  ③谷中(佐藤)④佐藤(谷中) ⑤坂口

⑥伊藤  ⑦桑田 ⑧小山(安原)⑨村上 ⑩菅谷

前回1区で好走した帰山が再び1区と予想。山川はエース区間の2区、成長著しい坂口が5区か。6区伊藤で復路の主導権を握りたい。次期エースの桑田は7区、絶好調とうわさされる菅谷は10区か。

 

【國學院大】強力な5本柱に下級生も成長 山区間がカギ

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(出雲1位、全日本4位)

昨シーズン、出雲と全日本を制覇し、箱根は3位だった國學院。大エース平林清澄は抜けたが、今シーズンは総合力で勝負してきた。前田康弘監督はチームを寿司にたとえて、「特上はいないけど、上握りがいっぱいいるのがうちの強み。1年間、優勝できるだけの練習を積んできた」と力をこめる。

その上握りとは、4年生の青木瑠郁、上原琉翔(主将)、高山豪起、3年生の辻原輝、野中恒亨だ。4年生の3人はこれまで3年連続で箱根を走っており、どんなレースにも対応できる。

今シーズン、急成長したのが野中。出雲、全日本では留学生と対等にわたり合い、それぞれ区間2位、区間賞を獲得。さらに11月22日の八王子ロングディスタンス1万メートルでは、日本人学生歴代6位となる27分36秒64をマークし、勢いに乗る。

下級生の成長も著しい。全日本ではいずれも2年生の尾熊迅斗、飯國新太、浅野結太が好走。1年生には、11月16日の上尾ハーフで1時間1分29秒の好タイムで6位に入った野田顕臣も控える。

選手上位10人のハーフマラソンの平均タイムは大学界は5区が区間17位、6区か10位。前回大会は5区が同14位、6区が同16位と低迷した。

山の攻略について前田監督は「適性とメンタリティが大事。今回はそういうランナーに出会えたので、期待しています」と下級生の投入をにおわせた。

【区間予想】

①上原 ②青木 ③野中 ④辻原 ⑤飯國(高石)

⑥尾熊 ⑦野田 ⑧高山 ⑨吉田 ⑩嘉数

前田監督は「1、2区が最重要」と語っており、1区は百戦錬磨の上原主将とみる(ちなみに100回大会では伊地知主将が1区)。上尾ハーフ優勝で勢いのある青木は2区に。野中はスピードが生きる3区に。鬼門の5区は高石(1年)ではなく、全日本5区2位の飯國(2年)とみる。期待のルーキー野田は7区、マラソン2時間8分50秒の記録をもち、単独走も得意な高山は8区と予想

【中央大】チーム状態は上昇曲線 復路攻略で優勝も

Kazuyuki Ichihara

(出雲10位、全日本2位)

吉居大和や湯浅仁が最上級生で優勝候補だった2年前よりも、「力は断然上」と藤原正和監督が評する今年のチーム。主将の吉居駿恭を中心に、「箱根総合優勝」を掲げて1年間取り組んできた。

シーズン前半は例年通りトラックでスピードを強化し、8月と9月の夏合宿は箱根を意識したスタミナ作りに努めた。大半の選手が、月間の走行距離を例年より100キロから200キロ増やした。トータルの月間走行距離が1000キロを超えた選手も多かったという。

その反動で10月の出雲駅伝は10位と振るわなかったが、11月の全日本は2位に。さらに同月22日のMARCH対抗戦と八王子LD(ともに1万メートル)では、5人が27分台を記録した。そのひとりの溜池一太(4年)は「夏に走りこんだおかげで、1万メートルが長く感じなかった。余裕をもって走って27分52秒が出た」と話した。

両大会の好記録ラッシュで、上位10人の10000メートル平均タイムは驚異の27分55秒98。これには青山学院大の原晋監督も舌を巻いた。

チームの状態はその後、上昇曲線を描いているという。藤原監督は「夏の走り込みの効果で、曲線の伸びが例年と違う。今年は吉居主将を中心に優勝したいという意識を全員が持って取り組んでくれた。全体のレベルもアップしている」と自信をのぞかせた。

前回の箱根で課題となった5区6区については、「対策をみっちりやってきた」という。

また、藤原監督は「今大会は激戦になるので、7区8区が重要」と指摘した。これは、駒澤の伊藤が6区を走ることも意識しての発言だろう。伊藤は6区の区間賞最有力候補。6区終了時で、流れが駒澤にあることが予想される。そのまま駒澤ペースで進ませるのではなく、7区8区で取り戻すことを考えているとみられる。

2016年に監督就任の藤原は、今回が10度目の箱根チャレンジ。持ち前のスピードにスタミナが加わった最強メンバーで、30年ぶりの箱根制覇なるか。

【区間予想】

①吉居 ②溜池 ③本間 ④岡田 ⑤柴田(折居)

⑥佐藤蓮 ⑦濱口 ⑧佐藤大介 ⑨白川(吉中) ⑩藤田(並川)

今大会も前半から優位に進めたいところ。1区~3区に惜しみなくエースを投入するとみる。ポイントは5区。ともに上りが得意な柴田か、折居か。柴田は1年生時に青学勢を破ってハーフマラソン優勝、2年生時は日本選手権3000m障害で2位の実績を持つ。ゲームチェンジャーの役割が求められる7区は、27分台のタイムを持つルーキー濱口と予想。

 

箱根駅伝 中央大30年ぶり優勝なるか 会見詳細

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